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♂転性してもエアラインパイロット♀  作者: 月隠優
第一章 パイロット復帰
22/29

18話 奏の朝

誤字報告ありがとうございます。

とても助かります。

朝4時。奏は洗面台の鏡の前に立ち、右後ろにできた寝癖を櫛で撫でる。歯を磨いて顔を洗った後、両手で軽く頬を叩き気合を入れる。苺ジャムを塗った食パンをかじりながらテレビの電源を入れ天気予報を横目にYouTubeを見て一服。

コーヒーメーカーに水を入れ温めている間にオフィスカジュアルな服に着替え腕時計をつける。電源を入れるため腕を振ってスマホで時間合わせ。


「えーっと、5時26分...にじゅう...」


腕時計の時間を合わせた後、一回スーっと深呼吸。


「26⁈ やっべ、ゆっくりしすぎた」


昨夜準備した荷物と傘を持って家を飛び出した。

駅でタクシーを見つけ早足で乗り込む。


「お客さん、どちら...」

「羽田。なるべく早くお願いします」


運転手も悟った顔をして車を進める。


「早いね。どこか行くの」

「えーっと(第一便は)沖縄の方に」

「沖縄?この季節に珍しいね」


なんやかんやいって12月に入ってしまった。なんかこの体での生活も完全に馴染んでしまっている。別にいいけど。


ーーーーーーーーーーー


B787は国際線だけでなく国内線でもよく使われている。

国内線は国際線とは異なり、飛行時間が短いため、一日何便も飛ばす。

今日は羽田→沖縄→伊丹→新千歳(宿泊)

明日は新千歳→福岡→羽田→帰宅

というスケジュール予定だ。


タクシーに乗ったおかげで、予定よりも早く羽田に到着できた。

到着したらまず更衣室で制服に着替え、事務室に向かう。

今日は羽田雨、伊丹曇り、沖縄晴れ、新千歳は吹雪。

パソコンで大まかな天気予報、風向きや気温を確認してると後ろから肩をポンポンと肩を叩かれる。


「あれ、拓也じゃん、」


拓也は奏の同期で相棒である。(第6部分参照)


「今日はどこ行くの?」

「千歳、関空かな、奏は?」

「伊丹、沖縄、千歳ステイかな」

「千歳、夜やばいらしいな」

「ね。また予報変わるかもだけど、函館か仙台のダイバートも視野に入れとくよ」

「ダイバートしたら寝床ないかもな、野宿でもするか」

「到着7時過ぎだから余裕有りますよーっだ」


「あの...」


拓也と奏が軽く睨めっこしてる間に、今日と明日奏とペアになる副機長がやってきた。

奏は小さく咳払いして席を立つ。


「あっちで話そ」

「あの、俺野宿は嫌ですよ」

「しねーよ。凍え死ぬわ」


ジョークが通じるいい副機長だ。


「先日はロサンゼルス(ロス)往復でした。小出です。2日間よろしくお願いします」

「有馬です。こんな見た目だけど一応成人してます。なんならもうおっさんです。こちらこそよろしく」

「いやーいつかご一緒したいと思ってましたが...」

「え、何? ロリコンなの」

「いいえ」

「嘘つけ。顔にはいと書いてある。今日は忙しいぞ覚悟しとけ」

「はい」


まああの顔はロリコンというより、ただ興味があるだけだろう。それにしても最近の若い人達、なかなか優秀である。

ディスパッチャーが提示した燃料計算や航空路に疑問を抱きすぐに口に出す。こっちの航路の方が燃費がいいし、揺れが弱いのではないかなどなど。大変よろしいが、

「そっちは多分他の機体が多いんでしょ、先行機の影響受けてかなり長い時間揺れることになっちゃうからこっちなんだと思うよ」

「その通りです、いかがしますか」

「なるほど、わかりました」

小出くんが少し小さくなってしまったが、

「小出くんの方の航路で燃料計算もらえますか?」

「え、いいですけどだいぶ混んでますよ」

「フライトレベル350でお願いします」

「キャプテン、燃費大丈夫ですか?」

「少し悪くなるだろうけど、揺れないだろうし。まあでも計算みてあまりにもひどそうだったら元のルートで」


結局ディスパッチャーが初めに用意してくれたウェイポイントを辿ることになった。


「しょうがないよ、燃費悪すぎたんだもん」

「わかってますよ、やっぱりあの人達すごいっすわ」


奏と小出は国内線ロビーを進みながら雑談をする。

朝の羽田は所々早朝便で皆忙しそうだ。


2人でコックピットに入り荷物を置いて必要な物をカバンから取り出す。

さてと、今日も一日頑張りますか。


パイロットの出勤時間はバラバラです。

土日休みなんて概念ももちろんないですから。

ただ有給は希望日にほぼ確実に取れます。またその気になれば1ヶ月丸々休んだりもできるので、そういう意味では魅力的です。

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