13話 そういえば女の子
メリークリスマス!
『奏ちゃん復帰おめでとう。どう?元気』
晴美さんから朝電話がかかってきた。
『おはようございます。はい、お陰様で。どうかしました?』
『年末に亜由美と一緒にパリ行くことにしたわ』
『クリスマスシーズンですね、やっぱりクリスマスマーケットは外せませんね』
『旅行サイトにもオススメって書いてあって、これは行くしかないってなって、』
流石晴美さん。インターネットも使いこなす。奏はなかなかネット慣れできなかった民なので少し感心...。
『あと、亜由美が長期休み取れるのが年末しかないらしいから』
『わかりました。細かい日程とか決まったら2ヶ月前には、だから10月末までには教えてください。スケジューラーにお願いしておきますので』
晴美さんと電話で話した後は会社に電話をかける。
『もしもし、有馬です。申し訳ないのですが少々体調が優れないので今日のフライトおやすみさせてください』
実は朝から体調が悪い。晴美さんには、嘘をついてしまった。
『別にすごく体調が悪いって訳じゃないんだけど、この体になって体調に違和感あったの初めてだから...って拓也聞いてる?』
『わかったて、お前は休みかもだけど俺は普通にフライトあるから準備しないと』
『なになに奏ちゃん?』
咲たちもフランクフルトから帰ってきてたらしい。いつの間に…。
『あー、咲こいつの相手頼んだ』
『はいはーい。でどうしたの奏ちゃん』
『え、咲さん?おかえりなさい』
『で?どうしたの奏ちゃん』
『いや、別に大したことじゃないですよ。お腹痛くてダルいだけです』
『ふーん。熱あるの?』
『37度って熱ですか?』
『人によるでしょ。じゃあお大事にね』
『ありがとうございます』
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「で、なんで私の家知ってるんですか?」
「お父さんから聞いた」
「大丈夫奏ちゃん。体調悪いって」
拓也の携帯に電話をかけてから1時間半。なぜか咲と千尋が奏に住むマンションの入口にいた。2人をソファーに座らせる。
「奏ちゃんなんでそんなめっちゃぶかい服着てるの?」
千尋が尋ねてきたが、今日の奏の服装、奏が中学生だった頃使っていた灰色のパジャマなので気になっても仕方ない。正直残っていたことに驚いたが、使えるなら使っておけばいい。
「この前買った新品のやつ汚さないようにでしょ?」
咲が当たり前でしょと言わんばかりの顔で問いかけてくる。
「え?」
奏は理解できず首をかしげる。
「え?」
咲は意思疎通に失敗し首をかしげる。
「え?」
千尋は状況が分からない。
「えーっと、ジュースでも飲みます?」
「大丈夫だよ。奏ちゃん調子悪いんでしょ。もう、咲なんで様子見に行こうなんて言うの」
「だってお父さんが様子見てこいって...、て、奏ちゃん、血が」
「ほんとだ。奏ちゃん動いちゃダメ」
「え、え、どこですか?」
周りを見渡すがそれらしきものはどこにもない。
「ズボンズボン」
「え?」
「前じゃなくて後ろ!」
ーーーーーーー
気づいたらお風呂に放り込まれていた。
頭真っ白。
一方その頃2人は奏の家の探検会が開かれていた。
「咲ちゃん。奏ちゃんの家どこ探してもナプキンないんだけど」
「普通トイレに置くよね?」
「私の家もトイレの棚」
「だよね。トイレットペーパーしかないんだけど」
「隠し収納庫とかないよね?どうしよう、買ってくる?」
「私電話貰った時そうだと思って予備持ってきたから大丈夫」
奏がお風呂から出ようとすると2人が待ち構えていた。
「ごめんなさい。2段目に入ってるタオル取って貰えますか?」
「いいよ。まさかとは思うけど、奏ちゃん、初めてじゃないよね?」
千尋がタオルをドアの隙間から渡す。
「え、わかっちゃいますか?」
「マジで初めてなの?」
「う、うん」
「だと思った」
咲はため息をつく。
「奏ちゃん高校生だよね?」
「高校生で初めてなのは珍しいですか?」
「あんまり聞かないかな。私小学校高学年頃だったし、え、千尋は?」
「私も6年生の頃かな」
え、やめて。ちょっと生々しい...。
「じゃあこれの使い方知ってる?...。知らないって顔してるね」
咲がナプキンをドア越しに顔を覗かせる奏の前にチラつかせる。
「奏ちゃん兄弟は?」
「一人っ子で」
「じゃあしょうがないか」
母親の存在についてはあえて触れてこないのか。実際奏には妻も母親もいない。
「教えるからおいで」
「ごめんなさい。もう1回身体洗ってきます」
何かが太ももを伝う感触がした。
クリボッチっと言うか、明日も仕事というか...。
Flight radar 24というアプリで、実際の飛行機の飛行状況を無料で見ることができます。
初めて見る人は飛んでいる旅客機や貨物機の量に驚くかも知れません。
そのアプリでSANTA1と検索すると
サンタが高度38000フィート(約11500m)
速度40ノット(約75km/s)で飛んでいます。
よかったらみてみてください。
一木川臣様。感想、レビュー本当にありがとうございます。




