【幕間 】ファンクラブ会員紙 Vol.133
【麗しの騎士、ヴィンセント様の今!】
先日から領都へお戻りにならない我らが至宝、ヴィンセント・グスクーニア様の最新情報が手に入った。なんとシェフィール領内のカルバートンでお倒れになって療養なされていたとの事。日頃の激務による疲労からとの見方がある一方、実は呪いに侵されていたとの噂もある。この情報をくれたのはファンクラブ会員の一人だ。もし呪いの話が本当だとすると犯人はいったい誰であろうか。神から愛されし最高傑作であるヴィンセント様を害する不届き者は、この世の全ての地獄を味あわせてよい。あの魔女はこの件にどう絡んでいるのだろうか。
ヴィンセント様がカルバートンへ行かれた経緯は魔女の護衛が目的とされる。馬車で約五時間かかるほどに遠い彼の地は、いったいどのように過酷な土地であろうか。関係者によると魔草の栽培以外では特に特出した産業はない田舎町だそうで、ヴィンセント様が快適に過ごせているか筆者は心配でたまらない。
お倒れになった後の業務はどうなるのか、変わらず魔女の護衛なのかと筆者が領城騎士課へ問い合わせをしたところ、以下のような回答があった。
『療養をして体調を戻すことが優先。その先は未定のためお話できるのはここまで』
これから察するに、ヴィンセント様の容体はよろしくない。護衛の任を解かれグスクーニア家のお屋敷での療養されるのが一番可能性が高いと思われる。以前より鉄壁のガードを誇るグスクーニア家に籠られると我々はヴィンセント様の様子を知る機会がほぼ無くなるに等しい。一刻も早いヴィンセント様の復帰を心から願うばかりである。
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【その女、何者か? 魔女の実態に迫る】
領城での目撃情報を照らし合わせると、少しずつだが例の魔女について分かってきた。長くウェーブがかかった赤毛。年のころは20ほどで、身長は平均よりいくらか高い。派手な赤毛でありつつも、その容姿はいたって凡庸。さして美人でもなければひどくブサイクという訳でもないという。自ら馬を操るなどという淑女とはかけ離れた存在であり、その格好も庶民そのものだった。
しかし、まじないについて多くの知識を有しているらしく、領主様を始めとした関係者に重宝されているのが実情だ。その証拠としてヴィンセント様が直接護衛に携わっている。そのような価値があの一人の女にあるのかはいささか疑問も残るだろう。聞くとその性格は傲慢で苛烈。以前お城で働く有志が『身をわきえないと恥ずかしい思いをするのはご自分よ』と注意したところ、厳しい表情でにらみつけたという。しかしその場に居合わせたフィリップ・オーネル様が仲裁に入り、魔女はそのまま城の中へ入っていったそうだ。
そのような品位でヴィンセント様の隣にいることが未だに信じられないと思う同胞は多いことだろう。これをご覧の皆様にはぜひとも魔女の情報提供をお願いしたい。
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【シェフィール領主催、力自慢大会開催】
ヴィンセント様の話題に戻ろう。毎年秋に開催される力自慢大会が今年もやってくる。ヴィンセント様も例年通り出場されると期待したい。昨年は惜しくも筋肉達磨ディーバ・ウィルソンに敗れたが、日々の努力と鍛錬を欠かさずストイックに強さを追い求める我らのヴィンセント様なら、今年はその雄姿にさらに磨きがかかっているだろう。奇跡的な美しさを持つヴィンセント様が立派な武芸者であるとは、まさに天が二物も三物も与えたようなものである。
会員の皆様におかれましてはよい席をお早目に購入してほしい。壮麗な甲冑に身を包み、剣を振るう尊いお姿を合法的に拝見できる貴重なチャンスである。なお、投げ銭は迷惑になるのでそこはご了承いただきたい。
文/ドニア・シェイム
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