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水樹のご飯作り

 土曜日。

 普段であれば学校が休みなのだが教育委員会のお偉いさんが来るとか授業参観をするとかで午前授業があるらしいので早めに起きた。


 普段の7割ほど長嶋に起こされているので今日は珍しく自力で起きたという事だ。……それが普通なんだけどなぁ……。


 ちょっと隣の部屋を覗いてみるとすぅすぅと静かな寝息を立てて寝ている長嶋の姿が。起こすのも可哀想なので朝飯を作ってから起こすか。


「……よし」

 とりあえずトースト4枚とコーンスープと余裕があったので目玉焼きも焼いた。

 そろそろ起こしてもいい時間帯なので起こしに行きますか……。



 そーっと長嶋の部屋に入っていったので本人は気づく様子も無く寝ている。

「長嶋さーん。朝ですよー。起きてくださーい」

 そう声を掛けると、

「……ん、むぅ……。……今日土曜日でしょ?もうちょっと寝かしてよ……」

「今日は土曜日だけど学校あるぞ。先生の話聞いてなかったのか?」

「あぁ〜そう言えばそんな事も言ってたっけ……。なんでわざわざ土曜日に授業参観する必要があるの……」

 それは思う。

「まぁ月曜に振替休日あるしいいだろ。朝飯作ってあるからさっさと食べて学校行くぞ」

「はぁ〜い。って言うか朝ごはん作らせちゃったねごめん」

「いいよ別にこれくらい。まぁいつも起こしてもらってるお礼みたいなもんだよ」

「まったく、君は今日みたいに自分で起きる事が出来るなら自分で起きたらどう?」

「うーん、普段から早起きするのって疲れない?睡眠時間削られるし」

「確かに普段早起きしてる分その反動で土日は遅くまで寝てるからなぁ……」


 そうこう話してるうちに長嶋も目が覚めたようで、

「ほら、着替えるからあっち行って」

 シッシッ、と追い払われてしまった。まぁそのままいた所でどうにもならないのだが。


 しばらくすると長嶋が制服姿で出てきた。

「おぉ、今日は目玉焼きがオプションで付いてきましたか。美味しそう」

「まぁ時間を持て余してたしな。いただきます」

「いただきます」


 ご飯は静かに食べる派なので普段あまり会話は無い。長嶋もそうなのか俺に合わせているのか自分から話しかけてくることはほとんどないのだが、今日は珍しく自分から話しかけて来た。


「樹生君!私今日から夜ご飯作ってみるよ!」

「え、マジ?まぁ頑張れ」

「あれ、てっきり反対されるのかと思ってた」


 確かに前なら普通に反対していたが、コイツ俺の料理手伝ってる間にどんどん料理の腕を上げてきて普通の料理なら作れるレベルにまで達していたので反対する理由も無いし素直に応援する事にした。


「今のお前なら普通に料理作れるだろうし任せるわ。ただし買い物から自分でするんだぞ」

「え!?それは困るよ!私1人で食材買いに言ったことほぼ無いよ!?無理無理!」

「ほぼってことは行ったことあるんだろ。なら大丈夫だよ。レシピに載ってる量だけ買ってくれば何も問題ないよ」

「むぅ……。あんまり納得いかないけど頑張ってみるよ」


 帰宅後。

 昼飯は面倒だったのでカップラーメンで済ませた。あまりいい事では無いが長嶋がそれでいいんじゃない?って言ったのでそうする事にした(究極の責任転嫁)


「じゃあ樹生君!行ってまいります!」

「何をそんなに畏まってるんだお前。ただの買い物なんだからそんなに気負うなよ」

「で、でも初めて行くから余計に緊張しちゃってね」

「ま、もしどうしようもなくなったら俺に連絡よこせよ」

「はーい。じゃあ行ってきます」

「行ってらっしゃい」


 30分後、

(おせぇ……。どこまで買い物行ってるんだアイツ)

 連絡は来ないので多分大丈夫なのだろうがやはりちょっと心配である。


「ただいまぁ」

 そう考えてるうちに帰ってきた様だ。

「おかえり。無事で何より。ちゃんと買えたか?」

「うむ。いや〜ちょろかったね〜。これなら毎日行っても問題ないかもね〜」

「そうか。袋の中ちょっと見せてみろ」


 今日は唐揚げを作る予定だったので大して悩む要素も無いし問題はないとは思うが念の為見ておく。


「……ん?鶏肉多くね?あとキャベツは1玉じゃなくて2分の1玉で良かったんだが」

「えっ、嘘間違えてる?」

「いや、量が多い分にはそこまで問題じゃない。まぁ初めてだしこんなもんだ。次も頑張れよ」

 そう言うと

「へ〜い」

 となんとも気の抜けた声で頷くのだった。



 そして飯が出来たらしいので食べる事に。

「お〜」

 見た目も悪くないし普通に美味そうだったので思わず声を出してしまった。

「食べようか!」

 そう言われて席に着く。


「いただきます」

「いただきま〜す」

 そう言って唐揚げを口に運ぶ。その時長嶋がこちらをずっと見ていることに気付いたので、すぐに味の感想は出さずに不安がらせてみる。


「ん〜、んー?」

「ど、どう?美味しくない?味見した時は大丈夫かなって思ったんだけど……」

 正直美味い。ただまぁ美味いものを不味いと言う程天邪鬼でも無いので、

「うん、美味しいよ」

 その瞬間長嶋の顔がパァーっと明るくなっていった。

「ほ、ほんとう?無理してたりとかしてない?」

「大丈夫大丈夫、ホントに美味しいって」

「良かったぁ。初めてだし不安しか無かったけど少し自信が付いたしこれからも頑張るよ!」

 そう言うと今までで1番良い笑顔を見せた。

 少し恥ずかしいので目線を外しつつ、

「ま、まだまだ俺のには到底追いつけてないけどな!」

「出た!樹生君の素直じゃない所!そういう時はちゃんと褒めてあげるのですよ?」


 少し気恥しいが、

「美味かったし次はもっと美味いものを作れるように頑張れよ」

 と素直に褒めておいた。

お待たせしました。

少しずつ投稿頻度も上げられそうです。


感想で主人公の名前が分からないとあったのでルビを振りました。


樹生(たつき)

水樹(みずき)

(あつし)


と、こんな感じです。これからも読み方が分かりにくいキャラに関してはルビを振ります。

感想を下さった方ありがとうございました。こういう指摘等はいつでも言って貰えるととても助かります!


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