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第一話 人間不信、クラスメイトと異世界転移する

 俺は水無月葵(みなつきあおい)。今日も学校が始まる。今では慣れたものだが、退屈な物は退屈だし、憂鬱な物は憂鬱なのだ。俺は、はぁとついにため息を吐きながら門を潜り、教室へ向かう。


 俺は大低一人でいる。つまりはぼっちだ。何故1人かと言うと、別にいじめとかに遇っているわけじゃない、ただ人が大の苦手。そもそも俺はそんな強い人間では無いのでいじめにあった時点でもう人との関わりを全てなくすだろう。


 しかし、クラスにたった一人の親友がいる。俺とあいつが小学生からの付き合いで幼馴染?なのは周知の事実だけどあいつは人気者で、他のクラスからも会いに来る奴がいるほどで結果、俺がぼっちとなるのだ。


 そんなことを考えていたらあっという間に教室についてしまった。

 俺は重たい手をドアにかける。


 また一つため息をついてガラッと音を立ててドアを開けた。


「……っ!」


 教室に入った瞬間、待っていたかのように眩い光がクラスメイトと俺を包んだ。俺はとっさに腕で目の辺りを覆った。


 光が無くなったと思い、腕をゆっくり落とし目を開けるとそこには何もない白い空間に呆然と立っているクラスメイトと中性的な白髪の綺麗な小柄な人がいた。いきなりのことで「へぁ?」と少し間抜けな声を出してしまった。


「やぁ、やっと来たね。僕の名前はケノン。えぇーと君たちの言う神様っていうやつかな。よろしくね」


 ケノンという神様は嬉しそうに笑っていた。









 あれから体感で数分がたった。実際にはそんなに経っていたいだろうが、それだけ沈黙が場を支配していた。クラスの人は、放心状態で一歩も動かず棒のようになっていた。ケノン…いや自称神はどうやっているのか分からないが胡座をかいて宙に浮きながら、髪を弄ったりしている。その行動がこの不可解な状況を証明しているようだった。


 俺は何がどうしてこうなったかを把握しようとするぐらいには冷静になっていたつもりだが、つもりなだけで具体的に何を考えていたわけでじゃなかった。


 そしてようやく、クラスメイトの一人がこの静寂を打ち破った。

「………いきなりこんな真っ白な空間に連れてきて君は神様とか言って本当になんなんだ……。ふざけるのも大概にしろっ!」


 彼は暁京介(あかつききょうすけ)、イケメンでスポーツも出来て、頭も良いという、なんというか主人公のようなやつだ。同時に俺にだって気さくに話しかける奴で、怒りとは無縁な彼が開口一番にあんな事を言った姿に驚きを隠せなかった。


 そんな神に全てを与えられた様な奴が、自称神に激怒している様に場違いにもも笑いそうになった。


 そして俺はふと、ここで気づいてしまった。

 神様と名乗った奴が俺たちを呼び出し、その証明に真っ白な空間と、宙に浮くと言うありえない事が目の前に広がっている。これ即ちラノベによくある異世界召喚。テンプレとして元の世界にもどる為、魔王を倒すやつだ。そしたら俺も戦うんじゃなかろうかと。 

 そこから俺の思考(ネガティブ)は一気に加速した。


 それはクラスメイトと一緒に戦うってことで、クラスの奴等と過ごすってことだ。最悪の場合、一緒に暮らすことになるかもしれない。

 そんなことは断固として拒否だ。今の俺は学校に居る約7時間ぐらいが活動限界なんだ。それもほとんど会話無しで、だ。これを超えると俺の精神衛生上宜しくない。

そして異世界となると、インターネットなんぞはなく、それ即ち対面でのコミュニケーションが大切になる。


 俺はこれからの生活を考えれば考える程、頭を抱えたくなった。


 とにかく、ぼっち、コミュ障、いや『人間不信』にはクラスメイト(他人)とほとんどの時間を共に過ごすことは、言葉に出来ないほどの苦痛だ。確かに全男子諸君(俺も含めて)が憧れる展開だが、他人とずっと一緒に過ごさなくてはいけない、そのことに絶望する。


 不意にやっとか、とケノンの呟きが聞こえて、一瞬で現実に引き戻された。


 さっきまで魂が抜けてるように突っ立ってた奴らが、俺と同じようにはっとした。

「……そうだ!、こんな所に連れてきやがって説明しろ!」 「そーよ!」 「早く説明しろ!」 「さっさともとの場所に戻せよ!」


 愕然としていたクラスメイト達が暁に続いて騒いでいる。


「そう急かさないでおくれよ。僕だって君たちの訴えは良く分かるし、そんな意地悪するつもりはないよ。あっ、それと僕は嘘をつかないから安心しておくれよ」


 ケノンは弾んだ声色で、でもいたって冷静に静かに言い放した。

 ケノンの醸し出すオーラみたいな物に気圧されクラスメイトは、さっきのウザさが嘘みたいに黙りこくった。

 俺はそんな嘘っぽい自称神様を怪訝に見つめていた。

少し考え、訝しむのを俺は止めた。


嘘をつかないってことが嘘ならその時点で信じられない。どのみち、こんなに人間臭い神様を俺が信じられるはずもない。


「まぁ、話すことは沢山あるけど、まずはこれからかな?……まず君たちを此処に連れてきた理由だね。気付いている子も居るようだけど君たちには魔神を倒してほしい」

  ケノンは笑いながら初めて、真剣な眼でそう言った。

 そして俺は、なんでこんな事に巻き込まれるかなぁーと心の中で諦めの思考をしていた。


やはり、神様なんてクソッタレだ。




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