ゲームの始まりは視線~クロフォード~
遅くなってすみませんでした。
久々の更新です。
ちっ。
クロフォードは周囲に聞こえないくらいの
大きさで無意識に舌打ちをしていた。
また舞踏会かよ。
近頃は戦いもないし退屈でしかたない。
そんな心のつぶやきを顔には微塵も出さずに
彼は壁によりかかっていた。
背も高くしなやかな身体をしているクロフォードを
見つめているのは令嬢たち。
すらりと長い脚には黒いタイツを履き、
上着も黒字に金の刺繍が施された落ち着いたもの。
しかし、そんな装いであっても一層引き立つ彼の美貌。
青い目に黒髪をしたクロフォードは騎士であった。
騎士といっても三男であるため、実家の爵位は継がない。
結婚もできるかどうかわからない。
彼はいわゆる家のお荷物だった。
爵位を継がない男子は宮廷で王に仕えることになっている。
そこには多くの男たちが集まり、
女達を手に入れようとあらゆる手を使うゲームの場でもあった。
15歳の時から宮廷に仕えている彼は
いい加減この性欲を解消するだけのゲームにうんざりしていたのである。
そんな彼の目に一人の令嬢がうつった。
彼女はターコイズ色のドレスに身をつつみ、
多くの男たちに囲まれている。
あれは確か......。
なかなか父親が社交界にデビューさせなかった
高嶺の花といわれているリ...
なんだったか。
記憶をたどろうとしていると
突然彼女がふとこっちを見た。
っつ!
彼女の視線に囚われる。
周囲の音が聞こえなくなる。
心臓の鼓動だけが耳に響いて聞こえる。
クロフォードは身動きがとれなかった。
そのまま彼女を見つめ続けてしばらくすると
再び、今度はしっかりと視線が絡まりあう。
彼女の瞳は心なしか潤んで見えた。
次の瞬間視線をそらされる。
俺から視線をはずすとは。
久しぶりに面白くなりそうだ。
取り巻き達を押しのけて
彼女の前に進み出る。
「麗しき人。」
俺をその瞳にうつすがいい。
「わたしはあなたの瞳に囚われました。」
目の前の顔が驚きにかわるのを確認して
クロフォードは心の中でほくそ笑んだ。
これが自分の運命を変える出会いだとは
まだ気づいていなかった。
さぁ、どうなっていくのでしょうか......。
定期的に更新できるよう頑張るので
よろしくお願いします。