トラップ、突破できる?
しばらくはトラップには出くわさないまま、最初の直線が終わろうとしている。直線の最後はT字路になっていた。
「このT字路は昔と同じだな。これなら俺の考えが合ってるかもしれない。」
「なんなの?さっきから考えって。」
「いいから着いてきてみれば分かるよ。ここは左な。」
俺は先にドローンを左側の通路に進ませる。俺とアリハナもトラップがないことを確認するとドローンに着いていく。
左の通路はさっきまでの道よりもなんとなく湿っぽく、松明も少なく薄暗い感じがした。
少し進んだところでドローンを止め、立ち止まる。
「ちょっと、どうしたの?なにかあったの?」
「たしかここにトラップがあったんだ。俺の記憶ではブラインドが掛かるトラップだったんだよな。」
このことに関しては結構な自信があった。何度もソロで攻略してトラップの位置は完全に把握していると言っても過言ではない。入り口すぐのトラップで、少なくともトラップの位置については記憶が正しいと確信が持てた。
問題はトラップの中身だ。
「よし、いけ。」
俺はドローンをゆっくり前進させる。すると突如ドローンは動きが止まりついにはガシャンと音をたてて墜落してしまう。
……アリハナが冷たい目でこちらを見ている気がする。
「落ちたけど。」
「あぁ、落ちたな。」
落ちる直前、どうにもドローンにへの指示が通じない感覚がした。ドローンとの魔力リンクが断ち切られたという感じだった。まぁ、それだけでもトラップの種類には大方見当はつく。
「アリハナ、もう一回灯りを出す魔法を頼む。」
「え、なにいきなり?さっきは風情が~とか言ってたのに。」
「トラップの正体を明かすためだ。頼むよ。」
「しょうがないなぁ。やってあげる。」
再びアリハナが魔法を唱えると杖の先が強く光りだす。
「そのまま杖の先端の方でドローンをつついてくれないか?できる限り杖の下の方持ってな。」
アリハナは言われるがままに杖の石突き近くを持ち、先端をドローンに近づける。すると、ドローンに触れるか触れないか辺りのところで魔法が解け、灯りがフッと消えてしまう。
「アリハナ、そのままだ!」
アリハナは少しビクッと驚いたようだったが俺の指示通りその姿勢のままで止まってくれた。
「な、なに?これ、魔法が無効化されるトラップ?」
「それを確かめるためにそのままもう一回灯りを出す魔法を使ってみてくれないか?」
アリハナは黙ってこくっと頷くと杖に魔力をこめる。だが魔法は発動しなかった。
「だめ。魔法が発動しないっていうより魔力そのものがこめられない。」
「ということは"魔法の無効化"じゃなくて魔力の無効化ないしは消滅ってとこか?」
もともと、ドローンは魔法ではなく魔力によるリンクで動いている。だから魔法の無効化という線は薄いとは思っていたが。
だが、やはりアップデートではトラップの位置の変更はなく、変わったのは中身だけのようだ。これならトラップの位置さえ思い出せればどうにかなりそうだ。
「ねぇ、私どうしたらいい?」
アリハナは体勢が辛くなったのか、ドローンに杖を伸ばす手をプルプルと震わせていた。
「あ、悪い。もう大丈夫だ。助かったよ。」
するとアリハナは杖を引き戻しふぅっと一息つく。
「別に魔力の無効化ならこのまま進んでも平気じゃない?私、魔法使えなくてもこのダンジョンレベルの敵なら近接で倒せるし、eRavnは剣士だし。魔力使えなくても困らないよね?」
「いや、"魔力の無効化"ならそれでもいいんだが、"魔力の消滅"という可能性が残ってる限りそれは危険な気がする。俺はいいけどこの先アリハナの魔法が使えないのはな……。」
そう、トラップの正体の見当がついたところでそれの対処をしなければなんの意味もないのだ。




