6 プログー
次の日アリスが目を覚ましたのは突然だった。
「メケッ!メケッ!メケケッ!!」
「なんだ!!?敵襲か!?」
アリスが急いで部屋から出るとそこにはのんびりと座っているミハイルとソフィアがいた。
「あら、そんなに慌てて、まさか、何かあった?」
「いえ!なにかあったというよりこの声は?野生動物から襲われているのではないのですか?」
するとソフィアは少しきょとんとした後口を大きく開けて笑い出した。
「もしかして、この鳴き声のことかしら?ごめんなさいね。説明してなかったわ。あら?でもあなたはこの鳴き声の持ち主にあったことあるのではないかしら?」
「あったことがある、ということはもしかしてあの羊とカンガルーが混ざったような生き物のことですか?夜は全く泣かなかったのですが朝はここまで鳴くのですね。あまりに鳴くので家が攻撃されているのかと思いました。」
「羊もカンガルーもわからないけれど多分正解よ。この惑星で鳴くのは今はもう一種類しかいないもの。プログーというのよ。良い狩りの友になるのだけれど縄張り意識が強くて彼らに素手で勝たないと縄張りに入れてもらえないの。おもしろいでしょう?」
アリスはそれを聞いて緩やかに笑った。
「そんな動物がいるのですね。私がこの惑星についてから質問したいことが多すぎてワクワクしてばかりです。そんな感情は本当に久しぶりなんですよ。だって、もうこの宇宙についての9割は知られ尽くされているのですから。それなのに、この惑星のようにまだ同盟から未発見かつ、寿命、形、その他において等しい人類がみつかるなんて。」
「昨日も聞いたけれどこの空が宇宙のほんの一部なのでしょう?それなのに、9割も知られているなんてあなたが来たところはすごいところなのね。もう、ミハイルさんは来たところについて全然話してくれないんだから。」
「・・・。私の時は宇宙についてほとんどわかることはなかった。惑星についても話すことはない。人間の醜さが現れたような惑星だっただけだ。」
あたりは静まり返った。このときアリスはミハイルは空気を凍らすのが得意な人なのだなと場違いにも思ったが、話すべきことがあるのを思い出して話し始めた。
「少年はどこに?昨日のお礼と質問について答えてあげたいのですが。あと、ミハイルさんについてはどこまで話していいのでしょうか。」
「お前さんが墜落した場所を見に行くと言っていた。お前さんが乗ってた期待には何も触るなとは言ったが。私のことはなにも喋るな。あの子は私のことをただの森の番人としか思ってない。」
「わかりました。ついでに先生についても詳しくきいてみますね。それでは、そこに行ってきます。外に出てもプログーにおそわれたりしませんよね?」
「あいつらの縄張りは森だけだ。それより外にいるならこちらから襲わない限り襲ってこない。だが、お前さんなら勝てるように見えるが。」
「なんとも。私は彼らの強さを知らないので用心に越したことはないのですよ。」
そういって、アリスは立ち上がった。昨日墜落した場所は覚えている。扉を開けて奇妙な動物が大量にいるのはわかっていても驚いたが、星のない夜のような見たことのない空を見ながらゆっくりと少年のもとへ歩いて行った。
機体が見えたかと思うと直ぐそばで少年がうずくまっていた。
「おーい、ヒュー!!!」
「アリスさん!」
少年はぱっと振り向いて嬉しそうな笑顔を見せた。
「アリスさん、ソフィアさんたちと何話したの?秘密?いまから僕の質問に答えてくれるよね?あ!昨日なんで僕の名前呼んでくれなかったの!!少年ってよんでたでしょ!」
「ああ、それは私が悪かったから落ち着いてくれ。昨日は家まで案内してくれてありがとう。・・・ただ仕方がないだろう。さすがにまじめに話すときにあだ名を使うのはどうかと思ったんだ。質問には答えるよ。ソフィアさんたちとの話も少しだけなら。でもその前に一つ。先生について知りたい。今どこにいるのか?なにものなのか?そしてどこからきたのか。今私は宇宙に帰る手段がない。だが、かすかな可能性ではあるが先生がてがかりを持っているかもしれないんだ。」
「・・・。先生は自分のこと<CAP《キャップ》>って名乗ってた。拾ったのはこことほとんど同じ場所。そして今が僕が持ってる。」




