辺境伯襲撃アニマエウンヴラエ
王城地下の円形の石室。灯りは燭台のみ。
壁に刻まれた古代の紋章。闇のように沈む空間に、影の5人──ノクティア・ミセリア・ヴェスペラ・フリナ・タキタ──が集う。
机の上には、辺境伯の館から回収された文書と血に染まった地図が広げられている。
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ノクティアが低い声で唸るように言った。
「……ルクシアが生きていた…」
地図の一角、辺境伯の居館に赤い印がつけられている。
「そして、一人じゃなかった。
……信じがたいことに、あの時、彼女には“仲間”がいたのよ。──しかも、私たちと同じ“力”を持つ者が」
腕を組んだフリナは苛立っていた
「見た。剣を自在に操る小娘。妖精を使う者。……まるで、過去の私たちを見ているようだった」
「彼女は来る。復讐のために。
そう思う。最初から……。
“私たちのような目”をしていたもの。あのときの彼女……子供じゃなかった」
ミセリアは独り言のようにつぶやいた。
「なら、歓迎しようじゃないか!─“堂々と”」
ノクティアはそういうと黒い布に包まれた物体を机の上に置いた。
それは“新たな鎧”だった。黒曜石のように漆黒で、全身に金色の不気味な模様が刻まれている。
「これを着て、“国王の親衛”になる。人々の前に出る。
この姿で、堂々とルクシアの前に立つ」
ヴェスペラの目は少し笑っていた。
「目立ちすぎる。──普通ならね。でも、私たちの目的は“隠れること”じゃない」
「呼び出すの。あの娘を。
わざと……そう、私たちがここにいると知らしめて」
タキタはそれに静かに頷いていた。そして無言のままその黒い仮面を手に取った。
「奴らは来るわ。必ず。
私たちが“復讐の対象”である限り、ルクシアは立ち止まらない。
なら──この身で受けてやる。この手で終わらせる」
「“私たちが過去を終わらせる”。
私たちが始まりであり、終わりでなければならない」
ノクティアの声は決意を秘めていた。悲愴感を含みながら。




