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39日目:再び、エタンセルへ!

「できた、これでどうかしら。ナツさんのブローチとあわせてみたの、お揃いよ」

 穏やかなマーチャさんの声に、テトの瞳がきらきらと輝く。


 テトの首輪には、ソウさんの羽と白八重花のドライフラワーがついてたんだけど、そのドライフラワーの真ん中に紫の宝石を縫い付けてもらったのだ。正しくは、宝石をはめ込んだ台座を縫い付けてもらったって感じかな。僕が先日作ったテトのホーム装着用ブローチも、白いお花の真ん中にテトのホームをはめ込む形だから、確かにお揃いっぽい。

 テトはきらきらの目で僕のブローチと自分の首輪を見比べて、満足そうににゃふっと息を吐いた。それからマーチャさんにすりすりして「ありがとう!」を全身で伝える。

 とってもすてきー。ナツとおそろいうれしいのー。マーチャありがとー!

「良かったねテト。素敵な首輪になったよー」

 くびわつけてほしいのー!

 出来上がった首輪を咥えて僕の方に差し出すテトさん、とっても嬉しそうである。受け取ってささっとつけてあげると、首輪がよく見えるようにポーズをとってくれる。

 にあうー?

「いい感じだよテト。宝石結構目立つね」


 そう、お花に埋もれて目立たないかと思った宝石だけど、意外ときらっきらでよく目立つ。こころなしかテトさんの魅力が増しているような……。あ、そういえばなんか効果あるかも。<鑑定>!

「毛並みツヤ感10%UP……テトがますます美猫になってしまう……!」

「そういう効果もあるのか……」

 微妙な顔をするイオくんである。宝石はアクセサリとかに使うと美容系の効果が出るのかもしれないね。リゲルさんは無言でテトを撫で、撫でられたテトはご満悦だ。

 そう言えばこのホーム用のアクセサリ、リゲルさんのくれた素材で作ったんですよ、って言ってみたら、リゲルさんは「あれか」と思い当たったようだった。

「あれが使えるならいくつか渡しておこう」

「いやいやいや。なんか貴重な素材なんですよね? そんな気軽にほいほい配っちゃだめですよ」

「ナツになら良いだろう。悪用できそうにない」

「なんだろう何故か褒められたような気がしない」

「褒めているが」

 ばかな……! とか思っているうちに、正方形の板を5・6枚持たされていた。リゲルさん素早い、素早いよ! でもくれるって言うならもらっておきます! なんか良いもの出来たらあげよう。

 ちょっと複雑な気持ちを抱えつつ、白い板をインベントリにしまい込む僕である。


 マーチャさんの作業を見守っている間に、如月くんの卵にみんなで魔力を注いで、今日の分の上限までいったので、明日には生まれてくるかも? 生まれたらまたホームを買いに来ないと行けないんだけど、如月くんちなみに予算は大丈夫?

「昨日の救出クエストで結構良い金額入ってますよ」

「全然見てなかった!」

 そう言えばクエストクリアになったんだっけ。と思って財布の残高確認したら、どかんと増えている。僕の財布でこれだけ増えていたら、共有財布の方も結構貯まってそう。武器強化のためのお金はバッチリだね。

「あ、これキャノンフラワーの報告クエストの報酬も入ってるのか。ありがたい」

「地味に食い物に使いまくってるからな、クエストはもう少し積極的にこなしていきたい」


 マーチャさんにまた来ますねー! と手を振って、僕達は契約獣屋さんを出た。テトは首輪を自慢したいらしく、先頭をぴょいぴょい歩いていく。

「テト、今日はマレイさんのお店だよー」

 きらきらのおみせー。テトあんないできるよー。マレイにむらさきのきらきらありがとーっていわなきゃなのー。こんなにすてきになったよーってみせなきゃなのー!

 というので、ご案内はテトにお任せだ。9時は回っているし、ちゃんと住人さん情報確認して、マレイさんはお店にいるのがわかっている。

「えーと、リゲルさんが言ってたホワイトシープ、って一族は宝石の流通を仕切っているんでしたね。星の民ではないんですか?」

「……ふむ。ナツにもわかるように説明すると、星の民というのは建国の際に国王によって任命されている。2等星・3等星はある程度盤石だが、4等星はそれなりに入れ替わりがある。取り潰しとなることもあれば、新たに任命されることもそれなりにある。直近だと、イチヤで新たに4等星に任命される家があるな。ナナミにも少なくない数の4等星が住んでいて、城や他の星の民の屋敷に雇われている。具体的には、整備や管理などの雑用だな、煩雑だが必須な仕事だ」

 一度言葉を切って、リゲルさんは改めて口を開く。

「4等星は、建国の際に地方領主をやっていたり、地主だったりした家がそのまま任命されたパターンが多い。だが、そのすべてが4等星を喜んで拝命したわけではない」

「拒否した人もいるんですか?」

「いる。ホワイトシープは、そう言う家の一つだ」


 理由は様々、とリゲルさんは言う。

「単純に、貴族になることに興味がない。国王に忠誠を誓うことを良しとしないもの。この国に縛り付けられたくない、というのもあるだろう」

「あ、他の国にも縁があったりすると、この国の貴族はイヤって場合もあるかもですね」

「他にも、地位を得ることで仕事がやりづらくなるとか、明確に平民と区別されるのが気に入らないとか。あとは国が示した条件が合わないとか……本当に様々な理由がある」

 その気持ちは正直わからなくもない。だってなんか貴族って堅苦しそうだし、責任もあるわけだし。あとなんか覚悟がいるというか……例えば僕が「爵位やるよ!」って言われたら「無理!」ってなっちゃうよなあ。

 それなりの能力が無いと、偉い人って無理だよね。


「ホワイトシープというのは昔の商会名でな、宝石加工業の元締めのようなことをしていた一族だ。名前の通り白羊の獣人の家系で、代々相当の目利きと言われる。彼らは国に属することで、宝石の利権が国の財源として奪われることを嫌った」

 あ、なるほど。

 確かに、宝石の流通って国の事業になったらすごく儲かりそうでもあるね。首都ナナミでは宝石の需要もあるし。でもだからこそ、不正とか横行しそうなところでもある。国の介入を嫌ったっていうのもちょっとわかるかも。

「星の民にはならなかったけど、平民としてそれまで通りに流通を握ったんですか?」

「すんなりそのままとは行かなかったようだ。当時の資料によると、多少領主や商業ギルドに譲った部分もある」

「なるほど」

 それでも今も有名な一族ってことだから、相当やり手の商人さんなんだろうなあ。マレイさんもなんかこう、品が良くて上流階級な感じあったし、相当顧客とやり取りをしていると見た。

 そう言えば僕、ゴーラに来てから<上流作法>スキルが2も上がっています。カパルさんとマレイさんのおかげだと思う。


 雑談をしながらマレイさんのお店へ到着すると、テトが楽しげにお店のドアを押し開けようとした。慌ててイオくんがドア開けてあげてるけど、高そうなお店だからちょっとはらはらする。

「ここです!」

「エタンセル。……確かに」

 あ、ちなみに今日はエクラさんは呼んでない。昨日ラメラさんやメリカさんと会ってはしゃいだから疲れちゃったらしい。微笑ましいね。

 マレイー! あそびにきたのー♪

 と元気にご挨拶するテトの鳴き声が、にゃーんと静かな店内に響き渡る。……テトさん本当に物怖じしないなあ。まあこのお店、店内も全体的に白くてとてもテト好みだから、テンション上がっちゃうんだろうね。

「こんにちはー、マレイさんいますかー?」

 と僕も声をかけてみると、奥の方から静かに目的の人が出てきた。白いドレスに白い髪、オリーブ色の瞳、そしてくるんと丸まった角。相変わらず上品なマレイさんである。


「あら……どなたかご紹介いただけるのかしら。ようこそ『エタンセル』へ。友人の紹介ならば、門前払いにするわけにもいきませんわね」

 くすりと笑ってそんなことを言うマレイさんなんだけど……それ冗談なのか本気なのかよくわかんない……! リゲルさんのローブみてちょっと表情変わったみたいな感じだし、星の民だってわかったのかな?

 マレイー! すてきなくびわにしてもらったのー。みてー。

 とりあえずテトがてててっと駆け寄って、マレイさんの前でおすましポーズを取りつつドヤ顔をした。とってもご機嫌な表情である。

「マレイさん、首輪見てあげて。テトが交換してもらった宝石つけてもらったんだ、マレイさんに見せなきゃって、お店に来るまでずっとウキウキだったんだよ」

「あら」

 マレイさんはポーズをとっているテトの首輪に紫色の宝石が追加されているのを見て、品の良い来客用の表情を崩した。柔らかな微笑みが唇に乗る。

「素敵ね、テトちゃんのためにある宝石のようだわ。それに、ナツさんとも合わせているのね」

 わかっちゃうのー? さすがきらきらのプロなのー。ナツとおそろいだからテトだいまんぞくなのー。

 褒められてますますドヤるテトさんなのだった。


 うちの猫かわいいなーと思いながら見ていると、隣のイオくんが僕を肘でつついた。……あ、そうだった忘れるとこだったよ。

 今日の本来の目的は、リゲルさんの紹介だ。テトを優しく撫でてくれているマレイさんに、慌てて話しかける。

「マレイさん、友達を紹介してもいい?」

「よろしくてよ」

 唐突な僕の呼びかけにも動じず、すっと背筋を伸ばすマレイさん、できる女って感じだなあ。では、許されたので隣から順番に……。

「こちら、僕の親友のイオくん! 美形で気さくで優しい上に努力家でえらい!」

 イオはねー、とってもすてきなりょうりにんなのー。ナツのつぎにだいすきだよー。

「どうも。ナツの褒め言葉は話半分で聞いてくれ」

 なんでさ! もっと言ってもいいんだよ僕は! と思ったけど、今ではないか。後で必ず褒め殺しをすると誓います。

「その隣、緑髪の爽やか青年は如月くん! 今一緒に行動してる友達なんだけど、気配り上手のお兄ちゃん気質で頼れるよ!」

 きさらぎはねー、なでるのじょうずなのー。おくすりもつくれてえらいんだよー。

「はじめまして、如月です」

 無難にぺこりとお辞儀をする如月くんである。そして今回のメインゲストはこちら!


「こちらはなんかすごい魔法士のリゲルさん! お仕事できてえらい! ゴーラにもお仕事できています」

 リゲルはねー、まりょくきらきらできれいなのー。エクラとなかよしさんだよー。

 テトさん、さっきから僕の紹介に続いて色々教えてるけど、多分マレイさんにはそれ伝わってないよ。でもなんとなく雰囲気で褒めてるなっていうのは察せるので、みんなテトがにゃにゃっと一生懸命なのを微笑ましい顔で見ている。

 マレイさんの視線がすっとリゲルさんに向けられ、その視線を受けてリゲルさんは会釈をした。

「リゲルだ。魔物の調査に来ている」

「……全く、ナツさんったら驚かせるのが上手ね。こんな有名人が出てくるとはさすがの私にも予測できなくてよ」

 軽くため息を吐くマレイさんを、最後にみんなにご紹介。


「最後に、こちらが店主のマレイさん! 上品でお話上手な美人さんだよ」

「ナツは美人好きだよな」

「そうなんですかナツさん」

「いやまあ美人は普通に好きですが! イオくんもリゲルさんも美形だし、如月くんはどっちかっていうとイケメン。テトはかわいい」

 ありがとー! ナツもほんわりですてきー。

「ありがとうテトさん!!」


 頑張って僕を褒めてくれるテトさんが優勝です!

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 テトの可愛さ炸裂で、あまり紹介を歓迎しなさそうなマレイさんも微笑み不可避。ナツ本人もコミュ強ですが、テトとの相乗効果がとどまることを知りませんね! そしてリゲルさん、やっぱ…
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