第21話 魔王令嬢、封印解除された瞬間に俺の腕を取る
封印の間に、まだ光の残滓が漂っていた。
紫色だった暴走魔力は薄れ、代わりに白と金の粒子が、雪のようにゆっくり落ちている。
中央の魔法陣には、ミュレア・ノクターンが立っていた。
黒髪。
金色の瞳。
小さな角。
夜そのものを縫い固めたような黒いドレス。
ただし、完全に自由になったわけではない。
彼女の左手首には、細い鎖が残っていた。
それは床の魔法陣へと繋がっているが、先ほどまでのように彼女を削るためのものではない。
力を制限し、暴走を防ぐための鎖。
俺のスキル表示にもそう出ていた。
ミュレア・ノクターン
状態:力制限付き部分解放
危険度:高
暴走リスク:中
監視者設定:未確定
推奨監視者:レン
推奨監視者、レン。
見なかったことにしたい。
切実に見なかったことにしたい。
しかし、表示は消えない。
それどころか、ミュレア本人が俺を見て、実に楽しそうに笑っている。
「ふふ」
嫌な予感しかしない笑い方だった。
「何ですか」
「いや、なに。そなたが実に困った顔をしておるのでな」
「実際、困っています」
「正直な男じゃ」
「よく言われます」
俺がそう答えると、ミュレアは小さく肩を揺らして笑った。
先ほどまで消滅しかけていたとは思えない余裕だ。
いや、そう見せているだけかもしれない。
ミュレアは強がるのが上手い。
封印の奥で長い時間、退屈と孤独と裏切りに耐えながら、魔王令嬢としての顔を保っていた少女だ。
その本音を少しだけ見てしまったからこそ、俺には彼女の笑みを単純に信用できなかった。
ミュレアは一歩、魔法陣の縁まで近づいた。
鎖がしゃらりと鳴る。
リリアがわずかに身構える。
セリカさんは剣の柄に手を置く。
ミュレアはそれを見て、金色の瞳を細めた。
「白き聖女に、赤き剣姫。そなたら、妾が少し動いただけで殺気立つとは、なかなか可愛いのう」
「私はもう聖女ではありません」
リリアが静かに言う。
ミュレアは口元を緩めた。
「そうであったな。ギルド所属の治癒師、リア」
「はい」
「ならば、白き治癒師と呼ぼうか」
「普通にリアで構いません」
「つれないのう」
ミュレアはわざとらしく肩を落とす。
次に、セリカさんを見る。
「赤き剣姫は、そのままでよいか?」
「好きに呼びなさい。ただし、妙な呼び方をしたら斬るわ」
「ほう。では、赤き嫉妬姫などは」
「斬る」
「早いのう」
セリカさんの剣が半分抜けた。
俺は慌てて両手を上げる。
「待ってください。封印の間で喧嘩はやめましょう」
「喧嘩じゃないわ。しつけよ」
「剣で?」
「必要なら」
ミュレアが愉快そうに笑う。
「レン、そなたは賑やかな娘たちに囲まれておるな」
「なぜかそうなりました」
「なぜか、か。ふふ。そなた、本当に自覚が薄い」
「何の自覚ですか」
「そこが面白いのじゃ」
答えになっていない。
けれど、ミュレアはそれ以上説明する気がなさそうだった。
ダリウスさんが低く咳払いをした。
一瞬で空気が引き締まる。
「ミュレア・ノクターン。状況を確認する」
「うむ。聞こう、人間の長よ」
「俺は王都冒険者ギルド長ダリウス・ガルドだ。王ではない」
「人間をまとめる者は、多少なりとも長であろう」
「勝手に解釈するな」
「細かい男じゃのう」
ダリウスさんの眉がぴくりと動いた。
ミュレアはたぶん、相手をからかわないと息ができないタイプだ。
問題は、その相手がギルド長だろうが聖女だろうが女騎士だろうが関係ないところである。
ダリウスさんは気を取り直し、続けた。
「お前は現在、完全解放ではない。封印術式を再定義したことで、消滅は避けたが、力は制限されている」
「分かっておる。身体が重い。魔力もほとんど使えぬ。まるで三日寝込んだ後のようじゃ」
「三日寝込んだ経験があるのか?」
「ない」
「なら例えに使うな」
なぜか普通に会話が続いている。
オルフェさんが魔力計を見ながら言った。
「封印術式は安定しています。ただし、ミュレア本人の存在がレンさんとの好感度リンクに依存している部分があります」
全員の視線が俺へ向いた。
やめてほしい。
「依存って、言い方が重いんですが」
「術式的には、そう表現するしかありません」
オルフェさんは真面目な顔だった。
「レンさんがミュレアの存在補助の基点になっています。今すぐ離れれば消滅する、というほどではありませんが、一定距離以上離れると封印が不安定化する可能性があります」
「一定距離って、どれくらいですか」
「現時点では不明です。調整が必要です」
「つまり?」
嫌な予感がする。
オルフェさんは申し訳なさそうに言った。
「しばらく近くにいていただく必要があります」
やっぱり。
俺は頭を抱えたくなった。
ミュレアは、ぱっと顔を輝かせる。
「つまり、妾とレンは離れられぬ仲ということか」
「違います」
俺、リリア、セリカさんが同時に言った。
ミュレアは目を丸くし、それから腹を抱えるように笑った。
「見事な合唱じゃ。そなたら、息が合っておるのう」
「合わせたくて合わせたわけではありません」
リリアが静かに言った。
セリカさんも続ける。
「言葉の選び方が悪いからよ」
「そうか? では、魔術的な都合でレンのそばにおらねばならぬ美しき魔王令嬢、という言い方なら」
「もっと悪いです」
俺は即答した。
ミュレアは唇を尖らせる。
「そなた、命の恩人に冷たいのう」
「命の恩人は俺の方では?」
「では、妾は助けられた美少女じゃな」
「自分で言いますか」
「事実であろう?」
たしかに、ミュレアは美少女だ。
しかし、ここで認めると非常にまずい。
リリアが静かにこちらを見ている。
セリカさんも見ている。
俺は視線をダリウスさんへ逃がした。
「ギルド長、話を進めませんか」
「逃げたな」
セリカさんが即座に言う。
「逃げました」
俺は認めた。
ミュレアがまた笑う。
この調子だと、彼女が加わっただけで俺の精神疲労が倍増しそうだ。
◇
結論から言えば、ミュレアをその場で討伐するという話にはならなかった。
まず、彼女は封印暴走の被害者でもある。
教会密偵と白灯商会が封印術式を弄り、消滅しかけた。
次に、現在のミュレアは力を大きく制限されている。
危険度は高いが、即座に王都を滅ぼせるような状態ではない。
そして何より、俺の好感度リンクとやらが彼女の存在安定に関わってしまっている。
勝手に始まった関係なのに、切ると危ない。
納得いかないが、現実はそうなっている。
ダリウスさんは低い声で言った。
「ミュレアの身柄は、当面ギルド管理下に置く」
「身柄とは、なかなか無礼な言い方じゃな」
ミュレアが言う。
「では、存在管理だ」
「余計に怪しいわ」
「お前が危険存在なのは事実だ」
「否定はせぬ」
そこは否定しないのか。
ミュレアは薄く笑った。
「妾は魔王令嬢。人間どもにとっては、危険であって当然じゃ」
その声は少しだけ寂しそうだった。
リリアも気づいたのか、わずかに目を伏せる。
セリカさんは腕を組んだまま黙っている。
ダリウスさんは続けた。
「ただし、お前を教会や白灯商会へ引き渡すことはしない。少なくとも、今回の件が明らかになるまではな」
ミュレアの金色の瞳が、少し揺れた。
「ほう。妾を所有するつもりはないと?」
「ギルドは所有者ではない。管理責任者だ」
「その違いを、人間はよく都合よく使う」
「そうだな。だから、監視もつける」
ダリウスさんの視線が俺に向く。
俺は目を逸らした。
無駄だった。
「レン」
「はい」
「お前をミュレアの暫定監視者とする」
「やっぱりですか」
「やっぱりだ」
短い。
逃げ道がない。
ミュレアが満足そうに頷く。
「よろしく頼むぞ、妾の監視者殿」
「その呼び方も嫌です」
「では、運命の男でよいな」
「監視者でお願いします」
「ふふ。選ばせるとそちらを選ぶか」
完全に遊ばれている。
リリアが静かに手を上げた。
「ギルド長」
「何だ、リア」
「私も監視に同行します」
俺は驚いてリリアを見る。
「リリア」
「レン一人では負担が大きすぎます」
「それはそうかもしれませんが」
「それに、ミュレアさんの封印には聖力の安定化が必要です。私の力も役に立つはずです」
言い方は理性的だった。
だが、その奥に別の理由もある気がした。
ミュレアに対する警戒。
同じように力を利用されかけた者としての関心。
そして、俺を一人にしたくないという気持ち。
表示が出る。
リリア・セレスティア
状態:決意、静かな警戒
備考:レンをミュレアと二人きりにするつもりはありません
最後。
最後の備考が非常に具体的だった。
俺は見なかったことにした。
次に、セリカさんが手を上げる。
「私も同行します」
ダリウスさんは特に驚かなかった。
「理由は?」
「戦力です。魔王令嬢の監視に、レンとリアだけでは前衛が足りません」
「それだけか」
「……それだけです」
少し間があった。
表示が浮かぶ。
セリカ・ヴァンブレイド
状態:対抗心、責任感
備考:レンをミュレアと二人きりにするつもりはありません
同じ備考だった。
俺はもう何も見ていないことにした。
ダリウスさんは二人を見て、小さく息を吐いた。
「分かった。監視班はレン、リア、セリカの三名を中心とする。ただし、ミュレアの外部移動にはギルド職員または上位冒険者の同行を義務づける」
「外へ出られるのか?」
ミュレアが目を輝かせた。
ダリウスさんは首を横に振る。
「すぐには無理だ。まずは封印区画からギルド管理施設への移送を検討する。王都内に入れるかどうかは、その後だ」
「むう。空を見たいのじゃが」
ミュレアは不満そうにした。
その声は、少し子どもっぽかった。
俺はふと、彼女の記憶で見た幼い姿を思い出した。
赤い月の下で、ひとりで部屋にいた少女。
魔王令嬢としてでも、封印対象としてでもなく、ただ誰かに自分を見てほしかった少女。
「……少しずつにしましょう」
俺が言うと、ミュレアはこちらを見た。
「そなたが言うか」
「はい。急に出ると危険です。ミュレア自身も、周りも」
「妾を心配しておるのか?」
「危険管理です」
「素直ではないのう」
「素直に言うと面倒なことになるので」
ミュレアはにやりと笑う。
「ふふ。白き治癒師と赤き剣姫の視線が気になるか」
「かなり」
「認めたぞ」
「そりゃ気になりますよ」
俺が言うと、リリアが少しだけ顔を赤くした。
セリカさんも咳払いをする。
ミュレアは楽しそうだった。
「これは退屈せずに済みそうじゃ」
「俺の胃は痛くなりそうです」
「胃とはどこじゃ?」
「そこからですか」
魔族に胃の概念があるかどうかは知らない。
だが、説明している場合ではなかった。
◇
封印区画での処置がひとまず終わると、ダリウスさんたちは一度王都ギルドへ戻ることにした。
ミュレア本人は、まだすぐに迷宮外へ出せない。
封印の再定義が安定するまで、最低でも一晩はこの区画で様子を見る必要があるらしい。
そのため、ギルドは封印区画に仮の監視拠点を置くことになった。
俺たちも、その場に残る……ことになりかけたが、ダリウスさんが止めた。
「レン、お前は一度戻れ」
「でも」
「顔色が悪い。好感度リンクとやらを使った負担が出ている」
「俺は大丈夫です」
「今の言葉を自分で信用できるか?」
できない。
俺は黙った。
リリアが静かに言う。
「戻りましょう、レン」
セリカさんも頷く。
「ここはギルドの人員に任せるべきよ」
「……分かりました」
ミュレアが鎖の内側からこちらを見ていた。
「もう帰るのか」
「一度だけです」
「また来るか?」
「必要があれば」
「それはもう聞いた」
「じゃあ……来ます」
ミュレアの金色の瞳が、少しだけ柔らかくなった。
「そうか」
たった二文字。
でも、それはどこか嬉しそうだった。
リリアがそれを見て、静かに目を細める。
セリカさんも腕を組んでいる。
ミュレアは二人に気づき、わざと俺へ手を伸ばした。
「レン」
「何ですか」
「近くへ」
嫌な予感がした。
だが、彼女の存在安定を確認する必要もある。
俺は慎重に近づいた。
すると、ミュレアは鎖の届く範囲いっぱいに手を伸ばし、俺の腕を取った。
ぎゅっと。
しっかり。
リリアの空気が静かになる。
セリカさんの眉が動く。
「ミュレア?」
「ふむ。触れられるのう」
「確認ですか?」
「確認じゃ」
彼女は俺の腕を離さない。
「そなたの魔力は、妙に温かい」
「そうですか」
「少し、安心する」
その言葉は、予想外に素直だった。
俺は返事に困った。
ミュレアも、自分で言って少しだけ恥ずかしくなったのか、すぐに口元を吊り上げる。
「故に、監視者として励むがよい」
「急に偉そうに戻りましたね」
「妾は偉いからな」
「はいはい」
「はいは一度でよい」
そう言いながら、ミュレアはゆっくり俺の腕を離した。
表示が浮かぶ。
ミュレア・ノクターン
好感度:91 → 96
状態:安堵、名残惜しさ、照れ隠し
備考:レンとの接触で存在安定を実感しています
九十六。
また上がった。
俺は見なかったことにしようとした。
しかし、リリアが静かに言った。
「レン」
「はい」
「上がりましたか?」
「……少し」
セリカさんが聞く。
「いくつ?」
「九十六です」
沈黙。
ミュレアは楽しそうに笑った。
「ほう。妾はさらにそなたを気に入ったらしい」
「気軽に言わないでください」
「では重々しく言おうか?」
「そういう意味ではありません」
リリアは微笑んでいる。
微笑んでいるが、目が静かだ。
「ミュレアさん」
「何じゃ、白き治癒師」
「レンは疲れています。あまりからかわないでください」
「心配性じゃのう」
「はい」
リリアは即答した。
セリカさんも言う。
「それと、腕を取るなら事前に言いなさい」
「許可制か?」
「そう」
「厳しい」
「当然よ」
ミュレアは俺を見て、実に楽しそうに言った。
「レン。そなたの周囲は監視が厳しいのう」
「主にあなたのせいで強化されそうです」
「光栄じゃ」
「褒めてません」
封印の間に、少しだけ笑いが戻った。
けれど、問題は何も終わっていない。
ミュレアの移送。
白灯商会の追及。
教会の動き。
リリアの正体。
俺のスキル。
むしろ、これからが本番なのかもしれない。
◇
王都ギルドに戻った時には、夜明け前だった。
空はまだ暗いが、東の端がわずかに白んでいる。
ギルドの中では、エマさんがまだ起きていた。
俺たちを見るなり、駆け寄ってくる。
「皆さん!」
「ただいま戻りました」
「ご無事で……」
エマさんは本当にほっとしたように息を吐いた。
「ミュレアさんは?」
「消滅は避けました。ただ、完全解放ではなく、力制限付き部分解放です。今は迷宮の封印区画でギルドが監視しています」
「そうですか」
エマさんは理解しようとするように、ゆっくり頷いた。
「それで、レンさんの顔色が悪いのは」
「疲れです」
「すぐ休んでください」
「はい」
即答した。
さすがに今回は反論する気力もない。
リリアとセリカさんが左右から俺を見る。
「本当に寝てくださいね」
「寝ないと明日の訓練はなしよ」
「それはむしろ」
「代わりに説教するわ」
「寝ます」
俺は即座に答えた。
ギルドの一室を借りて、少し仮眠を取ることになった。
宿まで戻る時間も惜しいという判断らしい。
簡易寝台に横になると、身体が沈むように重かった。
目を閉じる前に、リリアが毛布をかけてくれる。
「おやすみなさい、レン」
「おやすみなさい」
セリカさんは扉のそばで腕を組んでいる。
「見張ってるから、ちゃんと寝なさい」
「見張りつき睡眠」
「贅沢でしょう」
「そうですね」
少し笑うと、セリカさんも小さく笑った。
意識が沈みかけた時、頭の奥にミュレアの声がかすかに届いた。
『レン』
「……何ですか」
『礼を言い忘れた』
「さっき言いましたよ」
『もう一度じゃ』
少しだけ間があった。
『ありがとう』
その声は、本当に小さかった。
からかいも、偉そうな調子もない。
ただの感謝だった。
俺は目を閉じたまま答える。
「どういたしまして」
『ふふ。よい夢を見るがよい、妾の監視者殿』
「その呼び方は、まあ……運命の男よりはましです」
『では、次から両方使おう』
「やめてください」
ミュレアの笑い声が遠ざかった。
俺は深く息を吐く。
そして、ようやく眠りに落ちた。
◇
だが、穏やかな眠りは長く続かなかった。
目を覚ましたのは、昼近くになってからだった。
ギルドの廊下が騒がしい。
扉の向こうから、エマさんの焦った声が聞こえる。
「ギルド長、教会から正式文書が届きました!」
俺は寝台の上で目を開けた。
リリアとセリカさんも、すでに起きていたらしい。
二人の表情が硬い。
ダリウスさんの声が廊下に響く。
「内容は?」
エマさんが読み上げる。
「一つ、逃亡中の元聖女リリア・セレスティアと思われる人物の引き渡し要求」
リリアの顔から、少し血の気が引いた。
だが、彼女は逃げなかった。
「二つ、古代迷宮封印対象ミュレア・ノクターンの教会管理下への移送要求」
セリカさんが剣の柄に手を置いた。
「三つ、レン・クロフォード氏を異端容疑者として事情聴取する要求」
俺は完全に目が覚めた。
「……俺も?」
思わず声が出る。
セリカさんが低く言った。
「来たわね」
リリアは静かに立ち上がる。
「はい」
ダリウスさんの声が続く。
「全員、会議室へ集めろ。返事は一つだ」
少し間があった。
そして、ギルド長ははっきりと言った。
「渡す気はない」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に少しだけ力が戻った。
教会が動いた。
リリアを取り戻すため。
ミュレアを管理下に置くため。
俺を異端として調べるため。
静かな生活は、ますます遠のいていく。
けれど、俺はもう一人ではなかった。
リリアが隣にいる。
セリカさんが隣にいる。
迷宮にはミュレアがいる。
ギルドも、少なくとも今は俺たちを売らないと言ってくれている。
俺は寝台から起き上がり、杖を手に取った。
「行きましょう」
リリアが頷く。
「はい」
セリカさんも笑う。
「寝起きにしては、いい顔ね」
「顔に出てますか」
「出てるわ」
今度は悪い意味ではなかったらしい。
俺たちは会議室へ向かった。
教会との正面衝突が、いよいよ始まろうとしていた。




