第三百七十七章〜聖蹟桜ヶ丘
書かせていただきます。少し傷ついた蘭馬てましたが、歩はとめません。立ち止まればやられる。そう思っているかのようです。果たして この展開の行き着く先は?お楽しみにしていただけましたら幸いです。
降りてから気づいたが、そこは聖蹟桜ヶ丘という駅だった。聖と桜という字が着くだけで、なんだか新しい未来を感じて少し気分が高揚した。
取り敢えず東口の改札を出た。通路の両側に店舗が並んでいた。夏美の目が気になったので、どの店にも入らなかった。通路の出口には、百貨店のエントランスがあった。ふら、と入ってしまった。エスカレーターで2階へ上がり、アパレル店舗を少し見て回った。気分が落ちていたからか、何も欲しいものはみつからなかった。疲れてきたので上階に上がり喫茶店に入った。蘭馬にはコーヒーの味はよくわからなかったが、それでも美味しいと思える味であった。少し高いと思える会計を済ませ、店を出た。と、その時。
「あのう……」
という声が背後に聴こえた。
「こちら、お忘れではありませんか?」
差し出されたのは、見覚えのあるスマートフォンであった。蘭馬のものだ。
「あ…!有り難う御座います。そうです。わたしの物です」
スマートフォンを受け取ると頭を下げてから外に向かおうとした。その時だ。
「あの、お暇ですか?ちょっと外をぶらぶらしませんか?」
また男から声を掛けられた。男は、ジルサンダーのTシャツの上に、ユニクロのジャケットをカジュアルに着こなしていた。なかなか長身だ。見上げる男の顔は、彫りが深く今風ではないとも思えたが、精悍な顔つきが頼れそうな印象を与えた。
「遠くへ行きたい」
やはり蘭馬の吐いた台詞はそれだった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。




