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8話 新人さんの護衛なの!

 今日は冒険者としての活動はお休みにした。


 流石に街に来てからバタバタしすぎて疲れてしまった様で——


 このままゆっくりベッドの中で——


 バタンッ!!


「マルク!!訓練しよう!!」


 エミリ……


「今日は休みにしようって言ったよね?」


「暇なのよ!わかる?ひま!」


「僕眠いよ……」


「えー!行こうよ」


「たまにはエミリ一人で依頼行ってみたら?」


 冗談で言ってみたら、


「それもそうね」


 と言ってエミリは部屋を飛び出していった……


「……ドア、閉めてよ」



 —— ギルド内・掲示板前 ——


「何かいいのないかな~」


「あら?今日はマルクさんと一緒ではないんですか?」


 いつもの受付嬢さんだ。


「う、うん……」


 受付嬢さんはにこにこして私を見ている。


「え、えと……なにか?」


「あ、いつもマルクさんと一緒にいるときはもっとハキハキしているのに、今日は違うんだなって思いまして」


「い、いつもと同じだし……」


 受付嬢さんが何かを思い出したように提案してきた。


「エミリさん、よかったら新人冒険者の護衛依頼を受けませんか?」


「護衛?」


「エミリさんもDランク冒険者ですから。しかも安全にお仕事出来ますよ?」


「う、うん。やってみる」


 受付嬢さんと一緒に窓口まできた。


 受付嬢は他の職員の人と話をしてからこちらに来た。


 話をしていた職員の人は走って奥に行ってしまった。


「では、お仕事の内容をお伝えします。まず、新人の試験に護衛として同行してもらいます。」

「次に危険がせまった場合ですが、彼らを守ってあげてください。」

「基本的には冒険者ですから、何かあった場合、自己責任となります」


「うんうん!私もマルクとやったことある」


「はい。最初はみなさん受けるんですよ。先輩冒険者に護衛として付いてきてもらうの」


「行き先ですが、街から少し離れた場所に初心者用のダンジョンがあります。目的は一番奥に台座がに置いてある木の札を持ち帰ることです」


「エミリさんが護衛の同行者、あと試験官が1名付きます」


「試験官はだれですか?」


「私です」


 にっこりと微笑む受付嬢さん。


「そういえば受付のお姉さんの名前知らない……」


「あれ?名乗っていませんでしたか?」


「うん。私もマルクも知らない」


 受付嬢は何か考え事をしてから——


「……失礼いたしました。私、ミズナと申します」


 ミズナさんは深々とお辞儀をしてくれた。


「今から新人冒険者の方々と顔合わせを致しますので付いてきてください」


 私はミズナさんの後をついてギルドの奥にある部屋へと入っていった。


 そこには十四〜十五歳くらいの少年少女が六名いた。


「はい、これから最終試験を執り行います。」


 一人の男の子が手を上げた


「はい、何でしょうか?」


「試験官と護衛の方が入れ替わったのはなぜですか?」


 入れ替わったの?私はミズナさんを見た。


「なんでも、予定していた冒険者パーティーの皆さんが、まだ来られていないようなのです。」


 ミズナさんはお詫びの一礼をしてから

 

「皆さんはマルクさんをご存じですか?」


「知ってます!Sランクの剣士を破った凄腕のDランクですよね!僕、あの試合見てました!」


 他の子たちも見た見たと言って盛り上がる。


「はい。そのマルクさんのパーティーメンバーであるこちらのエミリさんが今回の護衛になってもらえましたので」


「え?マジで!」

「すごくかわいい子なんですが!」

「大丈夫なんですか?」

「戦えるんですか?」

「噂だとただ守ってもらうだけとか……」

「マルクさんのおまけとか聞いたことあるんですが」


 え?なんですか?


 おまけなの私……ちょっとショックだよ。


「はい!そういうことは言わないでくださいね。彼女もDランクですから、あなた達よりも上なんですから」


「……はい」


 納得してなさそう……何人か顔に出てるね。


「では準備をしてきますので。あ、エミリさんの武器は?」


「アイテム袋に入れて持ってますよ。ほら」


 と言ってアイテム袋から剣を取り出す。


「鞘から抜いてもらってもよろしいですか?」


「え?でもギルド内で剣抜いたらダメじゃないの?」


「私が許可を出したので問題ありませんよ」


 なるほどと思い、鞘から剣を抜いて見せた。


「軽く振ってもらえますか?」


「はい」


 言われた通りみんなの前にある机に向かって“軽く”振ってから鞘にしまった。


「問題なさそうですね」

 

 ミズナさんがそういうと、準備があるので出て行った。私もそれに付いていった。


 残された六人は、


「あのエミリって子、大丈夫か?」

「わかんない」

「でも、マルクさんのパーティーの人なんでしょ?大丈夫じゃない?」

「でも、すごくかわいい子だったね」

「それはわかるわ」


 一人が机に近づき、


「ま、期待しないでおこうか」


 言って、机に手を置いたとき……


 ガタンッ……


 ——机が綺麗に二つに別れ、


 崩れた。


 六人は「……まさかな」


 それ以降、誰も口を開かなかった。



 —— ギルド入り口 ——

 

 入り口前には手配されていた馬車が止まっている。


 私と新人冒険者は外でミズナさんを待っていた。


 少し遅れていつもと違う格好のミズナさんが現れた。腰にはレイピアを下げている。


「では、これから新人用ダンジョンに向かいます。皆さん、馬車に乗ってください」


 新人君たちが馬車に乗り込む。最後に私とミズナさんが乗り込んだ。


 ミズナさんが御者の人に指示を出すと馬車が動き出す。


 新人の女の子がミズナさんに話しかけた。


「すみません。いいでしょうか?」


「はい。なんでしょうか?」


「エミリさんてどんな人なんですか」


「? マルクさんのパーティーの人ですよ」


「いえ、そうではなくて……なんていうか強さとかどうなのかなって……」


「先ほどの剣筋から見て、おそらく“普通”のDランクの人と変わらないと思いますよ」


「……ふ、ふつう……ですか」


 話を聞いていた他の子たちが何故か気落ちしていた……どうしたのかな?


 私は通りを眺めていたら、マルクが目に入った。


「あぁ! マルクが子供たちと遊んでる!」


 思わず声を出してしまった。


 私の声にミズナさんや他の六人も外を見た。


「あら、子供たちに人気ですね」


 ミズナさんが微笑ましいものでも見るようにつぶやく。


「でも、あれって逆にいじめられてないですか……?」


「僕もそう見えるんだけど……」


 馬車は通りを抜けて街の外へ、マルクはもう見えなくなっていた。


 御者の人が、


「ここから少し速く移動します」


 中にいる私たちに声をかけると馬車が物凄い勢いで走り出す。


 はやいはやい!気持ちいい!他の人を見ると皆馬車にしがみついている。なんで?


「ば、馬車が……飛ばしすぎですよ!!」


 ミズナさんが叫んでいる。


 他の子たちは恐怖に引きつった顔をしていた。


「みんな大丈夫?」


 気遣いは大事だよね。


 馬車はあっという間にダンジョン入口まで着いた。


 私と御者さんだけが元気だった。


「みんな着いたよ?降りないの?」


「エ、エミリさんは……へいきなんですね……」


 ミズナさん、顔が真っ青だよ……


 他の子たちもよろよろと馬車から降りる。


 私はアイテム袋に入れていた飲み物を皆に配る。


「少し休もうね」


 私はダンジョン入り口の方を見ながら飲み物に口をつけた。



 しばらくして、みんな復活した。


「気を取り直して、これからダンジョンに挑んでもらいます」


 ミズナさんは何事もなかったように振る舞う。流石です。


「はい!」


 六人は返事をした。


 みんな、いい子たちだね。


「基本、六名が先頭を行きます。私とエミリさんは後方からみなさんの行動を見守ります」


「非常事態以外の場合はこちらからの手助けはないと思ってください」


「わかりました」


 六人は真面目な顔で返事をする。


「では始めます」


 試験の開始だ。


 一年前を思い出す。


 似たような試験を受けた覚えがあるよ。


 私とマルクの時は、モンスターが一匹も出なかったんだよね。何でだろう?

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