表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

22 番外編 レディアの婚活話

 王立魔術大研究所に勤め始めて一年。


 フィリップとカタリナは、驚くほどあっさりと結婚してしまった。

 平民同士ゆえに式は王都の小さな教会で、二人だけでささやかに行われたらしい。


 本来ならカタリナの複雑な生い立ちのせいで、結婚にはエドワード王弟殿下の許可が必要だったが――


「フィリップなら大丈夫だと思います。研究バカなので」


 ヨハン卿がそう推したことで、あっさり許可が下りたという。もっともその裏事情をレディアが知るのは、だいぶ後のことだった。


 ただ一つ確かなのは、カタリナには生涯監視が必要なため、フィリップがヨハン卿の屋敷に部屋をもらって引っ越してきたこと。


 結果として――毎日がうるさい。


◇◇◇


 その日、大研究所の食堂にて。


「結婚って、とてもいい」

 カタリナが満面の笑みで言った。


「そう……」レディアはスープをかき混ぜながら相槌を打つ。


「レディアは結婚どうするんだ?」


「うちは政略結婚とか必要ないし。好きにしていいって言われてる」


「どんな人が好みなんだ?」カタリナが真剣な顔になる。

「あたしはマッチョが好きだと思ってたけど、フィリップが最高に好きだし、人生をかけて築いてきた価値観が揺らぎつつある」


「……ちょっと待って。あなた、そんな言い回しもできるの?」


「ヨハン卿が言ってた。で、どんな人?」


◇◇◇


 レディアはスプーンを置き、これまでに出会った男性たちを思い浮かべた。

 パートナーだったら、素敵だろうな――そう思える誰か。


「エドワード王弟殿下……」


 カタリナが盛大に吹き出した。


「高望みすぎだろ! あはははは!!」


「理想よ! 理想なんだから高くたっていいでしょ!!」


 レディアは頬を赤くして叫び、食堂の隅で昼食をとっていた研究員たちがこっそり笑いを噛み殺した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ