plus/minus=0
11月23日、午前3時40分、東京三鷹台。辺りは完璧に静まり返り、まるでゴーストタウンのようだ。照らすものを失った街灯たちは、ただひたすら無意味に地面を照らしている。そこに一人の人影が現れた。少年だ。年は10代半ば辺り、黒いタートルネックの上にブラウンのアディダスのコートを着ている。時折街灯に反射する大きな瞳は、氷のように冷たかった。
少年はうねるような路地をすり抜け、住宅街に出た。その中でも一際大きい一軒家の前で歩を止めた。外側は、赤レンガの門でぐるりと囲まれており、中の家がかろうじて見えるぐらいだ。門は鉄柵で、そこから庭や持ち主の愛車であろう、BMW760Liが見える。少年はポケットから鍵を取り出し、門を開ける。門を閉じた後、少年はポケットから別のものを取り出した。黒色に光るそれは、CZ100自動拳銃、先端には、消音機がついていた。少年は家のドアを開け、暗闇の中へと消えた。数十秒間、沈黙が流れる。そして、
パシッ
パシッ
パシッ
くぐもった銃声がかすかに聞こえた。12秒後、少年は家から出てきた。なにやら、露骨にがっかりした表情だ。少年は数回舌打ちした後、尻のポケットから携帯電話を取り出す。
「もしもし、うん、終わった。あのさ、吉祥寺のヨドバシカメラの前にいるからさ、迎えに来てくれない?うん、ありがと。」
電話を切り、少年は、吉祥寺方面へ歩いていく。そして、暗闇に消えた。




