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1、今、なぜ国際情勢の知識が必要なのか?(改訂版)

○価値観の違いについて学ぶのが、「国際力」のキーワード。

 国際情勢について書かれた本はたくさんあります。しかし、仕事や生活の中において具体的にどう国際情勢が関わってくるのかについて書かれた本は皆無でしょう。

 現在(2026年)、イランのホルムズ海峡封鎖でナフサ不足が起こっています。国際情勢の変動が、皆さんの日常生活に関わって来るのです。

 また、円安が進めば、円の国際的な競争力が低下してということです。その結果、海外からの観光客が増え、輸出品の価格は上昇します。そして、輸出品で生産される商品の価格が上昇するのです。

 1ドル=100円が、120円になるのが円安。1ドル=80円になるのが円高です。1980年代の日本バッシングで、日本は米国に円高を強制され、国内の製造業が大ダメージを受けます。そして、国内製造業が、海外に製造拠点を移転します(円高不況)。


 現在、ムスリムの方のために、「土葬墓地」を作る、作らないで揉めています。

 国際理解は、「善悪の話」ではありません。

 イスラム教の聖典、『クルアーン』には土葬に関する記述はありません。アラーの言葉を文字に書き留めたものが『クルアーン』です。しかし、『クルアーン』にはアラーの言葉を文字で残すなという記述があります。ムハンマドを通じて、出されたアラーの言葉をムスリムは暗唱していました。ムハンマドの死後、派閥闘争(シーア派とスンナ派の暗殺合戦)でアラーの言葉を暗唱している信者が死んでいく中で、仕方なく教えが途絶える前に、文字化されたのがクルアーンなのです。ムスリムの土葬の根拠は、ムハンマドの言行録の中に、「死者の尊厳を守るために、可能であれば、なるべく早く土葬すること」という一説があります。この記述を元に土葬をしているのです。


 イスラム教は、現実的な宗教なので、「災害時に豚肉しか食べ物がなく、食べなければ飢え死にするような場合には、迷わず豚肉を食べなさい。なぜなら、アラーは慈悲深いから」と書かれています。ムハンマドが商人として各国と貿易をしていたので、イスラム教国以外では、豚肉を食べることを黙認しているのです。

 土葬に関しても、絶対視して、紛争になるくらいなら、「強制」はしていません。


 「多文化共生するために土葬」という政治家もいます。しかし、その理屈なら、ゾロアスター教やチベット仏教が行っている「鳥葬」(鳥に死体を食べさせる埋葬法。現在、チベットやインドの一部で行われている)も、認めるのでしょうか?

 土葬の最大の問題点は、墓地の管理費を払えなくなったムスリムのご遺体をどうするのでしょうか?日本人の場合、土葬墓地で維持費を支払えなくなった場合、共同墓地に移転させることが可能です。墓地そのものが使えなくなり、ご遺族がいなくなった場合にどうするのでしょうか?イスラム教国でも、土葬のスペースが不足してきています。また、慣習上、遺族の許可があれば、古いお墓を掘り起こして、そこに新しいご遺体を埋葬することも可能です。


 個人的には、法務局などに100万円程度の補償金を委託できる方であれば、土葬に応じればいいと思っています。維持費が支払えない無縁墓地になった時等に、イスラム教国に移送する費用が担保できるなら、土葬すればよいのです。しかし、実際は、出稼ぎなどでイスラム国に移送できない信徒の墓を作ろうとしています。火葬に反対する宗教の方の安易な土葬を行ってもトラブルにならないのか?と思うのです。例えば、私の友人の作家や学者がムスリムとして亡くなり、土葬して欲しいというなら、土葬します。なぜなら、維持費が払えなくなったり、墓地がとり潰されたら、クラファンでイスラム教圏での改葬が出来るからです。現在、日本人ですら、墓じまいをしている時代です。火葬して共同墓地に埋葬不可能な宗教の信者の方の土葬を行っても、本当に大丈夫なのでしょうか?

 イスラム教の教義的には、火葬しても、土葬しても、アラーは死者を復活させられます。

 死者への尊厳として、可能であれば土葬が望ましいのです。


 中東では、イスラム教とユダヤ教のイスラエルが未だに宗教戦争をしています。イスラエルとアラブが戦争をするとどうなるのでしょうか?トイレットペーパーがなくなります。

ナフサが消え、塗料が不足します。

 風が吹くと桶屋が儲かるという諺があります。差別的な意味の諺ですから細かく解説しませんが、一見無関係なことが実はつながっていると言う意味の諺です。

 日本は、1985年のプラザ合意による円高不況、そして、中東戦争を原因とするオイルショックで産業構造の転換が進みました。円高不況では、海外に生産拠点を移す産業の空洞化が起こりました。オイルショックでは、造船や鉄鋼のような大型産業から省エネ化の軽薄短小化が進み、燃費のよい自動車等の省エネというジャンルの世界的な技能を確立したのも、オイルショックで石油の輸入が足らなくなり関連産業であるトイレットペーパー等の買いだめが起こり、日本はエネルギーの多様化(原発の推進)、一定量の石油備蓄、石油の輸入先の多様化、そして、石油そのものの使用量を抑える自動車の開発というように社会構造全体の大きな方向性が変わりました。

 

 あまりに大きな話は、当事者は何が起こっているか分からないことが多いのです。

 日米安保条約も、1960年代に岸信介首相が可決させました。日本中で学生運動と岸信介退陣デモが起こりました。しかし、日米安保と言うアメリカの核の傘の庇護下において、日本は経済力の発展に力を入れることに成功し、世界有数の経済成長を成し遂げることに成功しました。

 

 オイルショックも、日本が低燃費の自動車や産業全体の省エネ化に成功しました。産油国であるアメリカは低燃費化を行いませんでした。ですから、アメリカで日本の自動車輸入がボイコットされるレベルまで、日本車が高性能化した直接の原因はオイルショックなのです。オイルショックの原因は、イスラエルとアラブのイスラム教国の戦争です。

 中東戦争やパレスチナ問題は、イスラエルや中東を植民地化していた大英帝国が、ユダヤ人にイスラエルをあげてしまったことに由来します。つまり、国際情勢は文化と歴史を理解してはじめて何が起こっているのか?、そして、それが、どういう結果をもたらし、具体的にミクロ・レベルの日常生活で私たちの生活に関わってくるのかが予測可能なのです。

 

 今というこのときは、実は、「過去」作られています。イスラエルと中東で戦争が起こっている原因は、大英帝国がアラブとユダヤ人の双方に第二次世界大戦に協力してくれたら、イスラエルをプレゼントしますよと約束をしたことから、火種がはじまります。しかし、さらに遡れば、イスラエルがユダヤ人の約束の地「カナン」であり、「イスラム教ではメッカに次ぐ2番目の聖地であり」、「キリスト教の救世主であるナザレのイエス、イエス・キリストが磔にされた聖地」であるというキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の共通の聖地であることから中世の十字軍の時代から、争いの火種になってしまったのです。

 

 日本という国民性が島国根性と揶揄されることがあります。島国根性というのは、具体的には、「他国の文化の理解不足から起こることでしょう。」

 

 ある日本の調味料メーカーが、イスラム教圏で豚肉由来原料を加工したうまみ調味料を発売し、暴動が起こったことがあります。インド独立につながるセポイの乱では、インドを植民地化していた大英帝国の新型銃の油脂が牛か豚であろうということでインド人の兵隊が大規模な反乱を起したのです。インドはヒンズー教とイスラム教が大多数です。ヒンズー教では、牛は聖なる動物であり牛を食べるとアウトカースト(宗教的な最下層の階級に落とされます。現在、インドの憲法ではカースト制は禁止されています。)になります。イスラム教では、豚は不浄な生き物であり、食べることはできません。

2012年9月、アメリカでイスラム教の預言者ムハンマドを侮蔑する短編映画が公開されたことで、イスラム教圏で大規模な反米デモが起こりました。イスラム教では、ムハンマド等の預言者の肖像を書くことは偶像崇拝として禁止されています。宗教問題に関して、日本人は深刻ではないところがあって、イスラム教圏からの難民を認めないことが多いのです。しかし、バハイ教はイランでは信者は死刑になります。バハイ教というのは、イスラム教に他の宗教をミックスした多神教ですが、イスラム教圏で邪教指定を受けているので、信者が死刑になります。しかし、日本の出入国管理庁はバハイ教の信者を強制送還することがあります。「強制送還したら、本国で死刑になります。」

 

 日本人が、バハイ教であることは難民申請の理由にならないと難民申請を認めずに本国に強制送還すると死刑になります。アルカイダの9.11テロがNYで起こりました。宗教戦争で、人が死なない国は日本くらいでしょう。宗教が違えば、国が割れるか(インドは英国からの独立後、イスラム教系のパキスタンとヒンズー教系のインドに分離)、イギリスのようにプロテスタント系のイギリス国教会(国王が大司教、初代エリザベス女王の父親がローマ法王が離婚を認めてくれなかったので自分を教祖にしてローマ法王庁から独立、イギリスの国教となる。当然、国内のカトリックと紛争が始まる。)とカトリックのアイルランドで紛争中、最近、ロンドンで爆弾テロが減りましたが、数十年前のロンドンの地下鉄はよくカトリック系の独立軍の爆弾テロがありました。


 9.11は、多くの人にとって衝撃だったようですが、アメリカ人が衝撃だったのは、アメリカ国内で爆弾テロを行われたことです。テロそのものは、アメリカが軍事介入している世界中の国でアメリカ人相手に行われています。9.11は、アメリカ国内で行われたことが、アメリカ人には衝撃的だったのです。その前に、アメリカ国内に攻撃に行ったのは、大日本帝国の12.8の真珠湾攻撃です。アメリカ合衆国は、イギリスの宗教戦争で迫害されたピューリタン(清教徒)がアメリカまで逃げてきてイギリスと戦って独立した歴史から、アメリカ国内に対する攻撃に対しては、かなりヒステリックとも思える対応をします。ですから、9.11ではアルカイダ討伐のためにアフガニスタンを空爆してアフガニスタンを亡くしましたし、真珠湾に攻撃してきた大日本帝国も原爆を2つ落として、国の統治機構を解体したのです。

 

 こうした各国が抱える文化的特性を理解することが、「国際理解」の基本でしょう。

最近、国際化を公約にする首長や政治家が増え、「英語」の授業を公立学校でも充実化させるようになりました。しかし、英語そのものはツールです。スマホやAIが翻訳してくれます。英語を話す人達の奥にある文化的特性を理解しなければ、「国際理解」は不可能です。第二次世界大戦中にゴボウを食べさせて、「捕虜虐待」にされたという話があります。

この話は、漫画「はだしのゲン」で広まったと思います。「食べ物」、文化、ようするに「価値観」です。価値観の違いを学び、理解しておく力が、「国際力」です。

 

 英語教育の落とし穴ももう1つあります。日本人の英語教育は、読解中心で会話力がないと批判をあび、会話力重視の英語カリキュラムに変えました。しかし、海外留学に必要なTOFELは従来の読解力中心のカリキュラムの方が点数が取れます。TOEICとTOFELの違いを理解していない可能性があります。TOEICは会話力をはかるテストですから、回数をこなせば点数が上がります。TOFELは、英語圏の大学、大学院に入学するための専門書を読む力があるかどうかを見るためのテストです。ですから、TOFELで高得点を取れる人間なら、1ヶ月くらい海外にいけばTOEICの点数はあがります。逆は無理です。TOEICの点数が、高い人間をTOFELで高得点を取れるようにするのはかなり困難です。「目的を明確化」させた英語教育をしないと、どういう英語教育をしたいのかわからなくなります。英語は、旧植民地国の人間なら話せます。ですから、英語教育ということであれば、「英語圏」で高収入になるカリキュラムにすべきではないでしょうか?

 

 民間企業が、TOEICや社内会話を英語にすると、すぐに飛びつく政治家や首長がいます。

しかし、大切なことは、「何のために、英語が必要なのか?」ではないでしょうか?。政治家でも、トップ会談で英語を使うべきだと主張する人がいます。しかし、大統領に決定権があると思われますか?。アメリカ合衆国でも、日本でも組織で動いています。トップダウンに見える組織でも、99%、ブレーンがいます。アメリカ大統領もブレーン集団がいて、代表として大統領がいるだけでしょう。

なぜ、英語学習に際して、この話をするかというと、覚えなければいけない英単語の絶対数の桁が違うからです。通常の会話でよいのなら、数千語で会話は通じます。しかし、大統領のブレーン集団ならノーベル賞を貰っているレベルですから、数万語以上の単語を覚えなければ議論は無理です。通訳を使った方が速いでしょう。


 そして、各国のブレーンは何語で話すかを気にはしないでしょう。「何を話すかに興味があるだけ」です。「何語で話すか」より、「何を話すか?」の勉強時間にあてた方が効率的ではないでしょうか?。


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