81.貴方と、私 ◇★
銀色の彼女は、しばらく黙って私を見つめていた。
先ほどまでの彼女にあった、甘く濡れたような熱はもうない。
代わりにあるのは、凪いだ水面のような静けさだった。
けれど冷たいわけではない。触れればどこまでも沈みそうな深さを秘めた、澄んだ静けさだ。
熱は引いたはずなのに、むしろ目を逸らせなかった。
恋しいだけでは足りない。
祈りを向けた相手であり、救われた相手であり、それでもなお、抱き締めずにはいられない相手だった。
その全部を含めて、私はこの人を失いたくない。
彼女はほんのわずかに睫毛を伏せ、それから静かに言った。
「……ようやく、こうしてきちんとお話できますね」
その声は穏やかで、微笑みは温かみを帯びていた。
だが、ただ優しいだけではない。
背筋が自然と伸びるような、厳かな空気を纏っている。
――浄化と裁定の女神イズミール。
――私に神秘への崇敬を取り戻させた存在。
跪いて、その御言葉を受けるべきだという意識が、私の中にもまだある。
だが、そんなふうに頭を垂れれば、また彼女がひとりで全部を背負ってしまうとも分かっている。
「私はまず、貴方にお礼を言いたいと思っていました」
白い世界の底で、どく、とひとつ鼓動が鳴る。
「貴方は、何者にもなれずにいた私に役目をくださいました」
その言葉に、胸の奥が強く軋んだ。
「やめてくれ」
気づけば、口を挟んでいた。
彼女の銀の瞳が、静かに私へ向く。
「それを礼として受け取ることはできない。
私は君を救ったのか、それとも追い詰めただけなのか……今も分からない」
彼女はすぐには答えず、ただほんの少しだけ首を傾けた。
否定ではない。
それでも最後まで聞いてほしいという、静かな意志がその眼差しにはあった。
「それでも、言わせてください」
穏やかに言って、彼女は続ける。
「私は、最初からこうではありませんでした。
外と繋がることを怖れて、閉じたまま揺れていました。
何も知らず、何も選ばず、そのままでいようとしていたのです。
けれど貴方は、私を見出し、祈りを向け、人を救うものとして見てくださった」
彼女はそこで小さく微笑んだ。
それは金色の彼女のような艶を帯びた笑みではなく、遠いところを静かに振り返るような、穏やかな微笑だった。
「言葉は通じずとも、貴方が真っ直ぐな人柄で、心から私の身を案じてくださっていたことは分かっていました。
離れている間もずっと、貴方の祈りは届いていました。
貴方は、私の知る誰よりも“ちゃんとしたひと”でした――だからこそ、憧れたのです」
“ちゃんとしたひと”――。
その言い方だけは、妙に俗で、女神としての彼女らしからぬものに聞こえた。
だがそのぶん、心からのものだと分かってしまう。
そんなふうに呼ばれる資格が、自分にあるとは思えなかった。
否定しようと喉が動く。だが、まっすぐこちらを見つめる銀の瞳に押しとどめられた。
いま彼女が語っているのは、私への評価ではなく、彼女自身が何に救われてきたか、その核なのだと分かってしまったからだ。
彼女は穏やかなまま、言葉を紡ぐ。
一つ一つの言葉が、胸の奥を容赦なく掻き乱した。
「貴方がいてくださらなければ、私はきっと、ここまで来られませんでした」
彼女の言葉が整っているほど、耐え難かった。
静かに責任も感謝も引き受けるその声音が、かえって彼女を遠ざけるようで怖い。
ついに堪え切れず、私は一歩、彼女へ近づいた。
「イズミール、私は君にそんなふうに――」
そこまで言って、言葉が途切れる。
彼女が、はっきりと首を横に振ったからだ。
どうしても伝えたいことがあるのだと、それだけで分かった。
「それだけではありません。貴方は、私の子どもたちも守ろうとしてくれた。
貴方が連れて来てくださった、あの子――ミュルナと過ごすことができた」
彼女は胸に手を寄せる。
そこに我が子のぬくもりが残っているかのように、指先がそっと衣を押さえた。
「あの子をこの胸に抱いた時、私は初めて、本当の意味であの子の母になれたのです」
ミュルナを抱きしめた時の、あの不器用で、おそるおそるした接し方が脳裏によみがえる。
あの光景を、私はたしかに美しいと思った。
だが目の前の彼女にとって、あれはもっと切実で、掛け替えのないものだったのだろう。
だからこそ、あの愚かな争いの中で、ミュルナを守り通さねばならなかった。
彼女の目の前で、あの子を失いかけるなど、あってはならないことだった。
強い悔恨に、思わず拳を握り締める。
彼女もまた、その瞬間を思い出したのか、白銀の睫毛を震わせ、唇をきゅっと結んだ。
細く白い肩が、恐れるようにわずかに寄る。その仕草を、私は見過ごせなかった。
もう考えるより先に、身体が動いていた。
私はそっと手を伸ばし、その細い肩に触れる。
彼女は一瞬だけ目を見開いたが、振り払おうとはしなかった。
ただ、触れられたところから、静かな波紋が白い世界に広がっていく。
「ミュルナは無事だ。君はまだ、何も失ってなんかいない」
彼女は顔を上げ、私に微笑みかけた。
「……貴方と、あのリディアという方が、あの子を呼び戻してくださいました。私はあの子を失くしたと思い込み、嘆き悲しむばかりで何もできなかった」
微笑が、深い悔恨に蔭る。
違う。そんな顔をさせたかったわけではない。
陰りを帯びたまま、それでも微笑もうとするその在り方が、たまらなく痛々しかった。
「あの子たちに名前を付けてくださいましたね。
ミュルナ。ミュリナ。ミュシア――とても愛らしい名だと思います」
彼女は、憂いを帯びた銀の瞳にやわらかな光を灯しながら、ひとりひとりの名を噛み締めるように口にした。
そして次に、その視線がまっすぐ私へ向けられる。
「もうひとつ。先ほどまでの“わたし”を否定せず、惜しんでくださったことにも感謝を。
あの“わたし”は、貴方に求められて生まれたのでしょうが、紛れもなくイズミールです。
貴方に否定されることなく、惜しまれたことに、どれほど救われたことか」
胸の奥が、強く鳴った。
彼女はそのまま少し目を伏せる。
「貴方は私を女神としてだけでなく、イズミールという存在として見てくださった。
……それが、嬉しかった――いえ、嬉しいのです」
そこまで言って、彼女はひとつ息をつく。
礼を言うためだけにここへ現れたのではないと、その呼吸の変化だけで分かった。
「けれど……お詫びしなければならないこともあります」
白い世界の空気が、ひとつ張りつめる。
私は無意識に、肩へ置いていた手に力を込めていた。
彼女は、逃げずに私を見た。
「私は、貴方が最初に信じてくださったようなものには、なりきれませんでした」
「そんなものに、ならなくていい」
今度ははっきり、遮った。
肩へ置いていた手を滑らせて彼女の手首を取る。
冷たくも熱くもない、澄んだ水のような感触だった。
「私は、そんな言葉を聞くためにここへ来たんじゃない」
銀の睫毛が震える。
けれど彼女は手首を引こうとはしなかった。
「……私には、大切なことなのです」
その声音は穏やかだったが、揺らがなかった。
「慈悲深く、気高く、迷いなく、人を救うもの。
貴方はきっと、私をそのようなものとして見てくださったのでしょう」
彼女は、ただ、自分の足りなさを一つずつ確かめるように、言葉を置いていく。
「押し付けられたなどとは思っていません。私も、そう在りたかったのです。
私の力で救われた人々の祈りは、私に正しさを感じさせてくれました。
ああ、こう在れたなら、正しいのだと――そう思えたのです」
子を想う時の彼女と、正しき女神であろうとする時の彼女は、同じ顔をしていなかった。
女神であることを手放せば、自分が何者なのか分からなくなる者の顔だった。
「けれど、私は、貴方が信じてくださったほど強くも、清くも、賢くもありませんでした」
「そんなことはない。君は私を救ってくれた。
黒禍に苦しめられた多くの人間の命を救い、希望を与えてくれた」
白い世界の鼓動が、どくりと少しだけ重くなる。
「黒禍……あの黒い災いをそう呼ぶのですね」
彼女はその名を、小さく反芻するように口の中で転がした。
「私は、あれが何なのか、未だによく知りません。
どうしてあんなふうに人を侵し、どこから来て、どうすれば完全に止められるのか……。
何も知らないまま、ただ恐れていました。
私を穢し、人を傷つける、退けなければならないものだと、それしか分からなかった」
声は平坦だった。
だがその平坦さの奥に、深い悔しさが沈んでいる。
「名も理も知らないまま、ただ退けなければならないものだとだけは分かっていました。
ですが、結局、私にはうまく対処できませんでした。
押し返しきれなかった。防ぎきれなかった……私の力は足りませんでした」
「君のせいじゃない!」
「――いいえ」
彼女は静かに首を振る。
「私の無知と無力が招いたことです。それに……」
そこで一度、言葉を切る。
銀の睫毛が伏せられ、声がわずかに低くなった。
「私が生んでしまった黄金は、人の欲を刺激してしまいました。
救いになるはずのものが、人を狂わせる火種にもなってしまったのでしょう」
彼女の視線が、私の手から髪、瞳へと巡った。
銀の瞳が微かに潤む。そこに込められた感情が何なのか、私にはもう分かっていた。
「あの力もまた、私にとっては未知のままなのです……よく知らぬまま、使ってしまった。
貴方の身にも、意図しない変化を与えてしまったのかもしれない」
喉の奥が強く締まる。
私の身に何が起きたかなど、どうでもいい。
彼女は身を守るために、あの力を用いた。それを破ったのは人間の愚かさだ。
……何が、無知で無力だ。
この世の誰が彼女を責められる。
そんな資格は誰にもない。
イズミール自身にだって、そんなことは言わせたくない。
「だから、貴方が信じてくださったような女神になれなかったことを、私はお詫び――」
彼女はなおも続けようとした。
その声には、背負う必要のないものまで自分のものとして受け取る硬さがあった。
胸の奥で、何かが限界まで軋んだ。
「やめろ」
被せるように放った言葉は、強く、硬い口調になってしまった。
不敬だ、と叫ぶもう一人の自分を心の裡に感じながらも、後悔はしていない。
彼女は、自分が理想の女神であることを、自分の正しさのように語る。
それは、まるで自分の中の正しさに殉じることだけが、自分の価値だと思い込んでいた、かつての私そのものだった。
「もうそれ以上、言うな……君は君に出来ることを精一杯やった。
結果が出なかったからなんだ。そんなことで君を見限るとでも思うのか」
彼女の瞳が、大きく揺れた。
その動揺は拒絶ではなかった。そうして止められること自体への驚きだった。
「……いいえ、私は取り返しのつかないことをしてしまいました」
小さく、そう答える。
その声に初めて、女神の奥にいるイズミール個人の細い震えが滲んだ。
「それが、最後にお伝えしなければならない、私の過ちです」
彼女はまっすぐに私を見た。
「夜明けとともに、この一帯の森は水の底へ沈みます。もう、始まっています」
彼女の言葉に応じるように、足元の白の底へ、木立の影がひととき滲んだ。
木々の合間から覗く地面には、黄金色の輝きを底に秘めた水面が見える。
私はそれが、これから訪れる夜明けの先に広がる光景なのだと、遅れて悟った。
私は息を詰めた。
予感していた最悪を、彼女の口から確定として告げられた気がした。
「今は地面から染み出すように進んでいますが、もうじき、この湖から洪水が起こります。
森は音もなく沈み、木々も獣も家々も、水に触れた端から黄金へ変わり、底へ引かれていくでしょう。
それがどこまで広がるか、いつまで続くか……私にも分かりません」
その言葉を、私はすぐには飲み込めなかった。
「……君は、それを止められないのか」
「今の私には、もう止めきれません」
彼女は淡々と言った。
あまりに静かなその声が、かえって息を詰まらせる。
「私は、ただ壊したいわけではありませんでした。
あの黒い災いが私を染めた時、それがどこまで広がるのか、私には分かりませんでした」
彼女は何かを捧げ持つように両手を掲げ、自らの掌を見つめた。
その指先は小さく震えていた。
「人や、私の子どもたちが、あれに侵されないようにしなければならなかった。
人同士の醜い争いも、奪い合いも、終わらせたかった。罰しなければならなかった」
彼女は一度、目を閉じる。
「それらを止め、人を侵されないまま残そうとした時――私に見えた道は、もうそれしかなかったのです」
目を開く。
その銀の瞳には、涙も熱もない。ただ、澄み切った決意だけがあった。
「私自身が源の流れへ溶けてしまうとしても、人に救済と罰を。
人を水の底へ沈め、あの黒い災いは洪水と浄化で消し去る。
それが、あの時、私が始めてしまったことです」
「君は……後悔しているのか……?」
掠れた声が、ようやく出た。
彼女は少しだけ黙った。
それから、ごく小さく笑った。
「していない、と言えば嘘になります」
その答えに、胸が痛む。
「本当は、もっと違う方法があったのかもしれない。
あの子たちの名を、私自身がつけて、呼んであげられたかもしれない。
貴方とも、こんな形ではなく、別の場所で、もっと穏やかに話せたのかもしれない」
そこにあるのは激しい悔恨ではなく、淡い未練だった。
「けれど、もう私と“わたし”は、救済と断罪のために、源へ繋がってしまった」
私は拳を握る。
何か言わなければならないのに、どの言葉も軽すぎた。
彼女はゆっくりと、私へ一歩だけ近づいた。
さきほど自分から置こうとした距離を、ただ、言葉をまっすぐ渡すために縮めてきたのだと分かる。
「どうかこれだけは知っていてください」
白い世界の鼓動が、低く整っていく。
「貴方に出会えて、嬉しかった」
息が止まる。
「貴方に信じていただけて、救われました」
もう一歩。
彼女は私のすぐ前で立ち止まり、まっすぐに私を見上げた。
「たとえ貴方が最初に信じてくださった通りの女神ではなかったとしても、それでも私は、最後まで貴方の前で、私でありたいと思っています」
その言葉は、告白のようでもあり、祈りへの返礼のようでもあった。
※※※※※
私は、迷わなかった。
彼女の手首を引き寄せ、そのまま肩へ手を移して抱きしめる。
銀の髪が頬を掠め、澄んだ水の匂いが胸いっぱいに満ちた。
これは慰めではない。
これ以上、彼女に自分を投げ出させないための、ほとんど拒絶に近い抱擁だった。
銀の睫毛が震え、彼女の指先が、行き場を失ったように私の衣をかすかに掴んで、離れた。
振りほどこうとはしない。ただ、どう受け止めればいいのか分からないまま、腕の中で静かに息を乱していた。
「――駄目だ。そんなこと、私は認めない」
耳元で、はっきりと言う。
抱き締められたまま、肩越しに震えた息が落ちた。
「君を救いの女神と信じ、広めてしまったのは私だ。
その女神になりきれなかったことを、君が謝りたいと思うのなら、それは君の痛みなのだろう。
だが私は、もう君に、女神であることだけを望んではいない。君だって知っているはずだ」
抱く腕に、少しだけ力を込める。
「ミュルナは君に抱き締められる前から、ずっと君を母と呼び、慕っていた。
ミュリナも、ミュシアも、あの子たちはきっと同じだ。
何より、あの触れ合いが必要なのは、あの子たちだけじゃない。君にもだ」
銀の睫毛が震えた。
私の胸元に触れるほど近いところで、彼女が息を呑む。
「今ここにいる君を、私は失いたくない。どの君かなんて関係ない。
世界のために君が消える答えなんて、私は認めない。
君を失ったあとに、救済だけが残ったところで、私はそれを救いとは呼べない。
人も、黒禍も、君を差し出す理由にはならない。
あの子たちの帰る先になれるのは、君だけだ」
白い世界の底で、どくん、と鼓動が鳴った。
「アイオリス……貴方は、何を……」
腕の中で、彼女が身じろぎする。
恐れるような、逃げ出そうとするような動きを、抱きしめて封じる。
「君たちを失わずに済む道を、私は探す。
洪水を止めるにせよ、黒禍を退けるにせよ、君がいなくなることが前提では駄目だ。
そんな答えを、私は受け入れない。あの子たちを、また母なしにするつもりか」
脅すつもりではなかった。
だが、言葉はそれに近い強さを帯びていた。
彼女とあの子たち、そのすべてを失うくらいなら、私はどれほど無様でも抗う。
今はそれだけが真実だった。
彼女はしばらく何も言わなかった。
やがて、私の腕の中で、ごくわずかに肩の力が抜ける。
何かを手放すように、あるいは受け入れるように、ひとつ息を吐いてから、静かに身体を預けた。
銀の瞳がゆっくりと閉じられる。
それは拒絶ではなかった。ひどく優しい困惑だった。
「……そんなふうに言われるのは、きっと嬉しいことなのです」
低く、静かな声だった。
彼女の指先が、迷うように、確かめるように私の衣を掴んだ。
触れれば容易くほどけてしまうような、微かな繋がり方だった。
「けれど私は、貴方の腕の中だけに残るために在るのではありません」
その一言で、彼女の女神であろうとする軸が、まだ折れていないことが分かった。
私は思わず唇を噛む。
「ですが、そう在りたい“わたし”もまた、イズミールです」
彼女は目を開いた。
抱きしめられたまま、それでも静かに、まっすぐに私を見る。
「貴方に女神としての自分を否定されることは、もっと耐え難いものだと思っていました。
それなのに、貴方がそう望んでくださることを、拒み切れない自分がいます」
その言葉に、私は少しだけ腕の力を緩める。
だが、完全には離さない。
彼女は腕の中で小さく息をつき、眉尻を下げてほんのわずかに笑んだ。
「……困りました」
「困ってくれ」
思わずそう返すと、彼女は目を見開き、それからふっと笑った。
その笑みは、救世の女神でも、慈母でもない。
ひとりの女性としての笑みだった。
その笑みを、失いたくないと思った。
「本当の貴方は、随分と勝手な人なのですね」
そう言いながら、彼女はようやく細い指を上げ、私の胸元を軽く押した。
離れたいからではない。顔を見るために、ほんの少しだけ距離を取りたかったのだと分かる、穏やかな力だった。
私は腕を解ききらないまま、少しだけ彼女との距離を作る。
「……君も勝手に話を進めようとした。
こうして話が出来ている。まだ、何もかもに結論が出たわけじゃないはずだ」
白い世界の鼓動が、低く、深く、またひとつ鳴る。
彼女は、私の腕の中から私を見上げ、静かに言った。
「……そうですね」
今度は、すぐに続けなかった。
視線をわずかに伏せ、それからもう一度私を見る。
流されてではなく、自らその形を選び直したのだと分かる間だった。
「では、もう一度、お話ししましょう」
その声音は、先ほどよりも少しだけ柔らかかった。
「私たちと貴方で、何ができるのかを――」




