三 シリスの旅路
一年ほど前のことだ。
たった一年前にこの世界に悪魔が襲来した。直接的な原因はある転生者が使った召喚魔法によってだ。
ラシス様曰く「じきにエレンの封印は解けてこうなっていた。しかし、彼には尻拭いはしてもらいたい」とのことだ。
そして、ここからはエレン様の伝言だ。今この状況についてはエレン様が一番詳しいらしい。
その伝言の内容は転生者、ルースの魔力状況。そして、この世界の詳しい状況だ。私はこの情報をルースに伝えることをラシス様に命じられた。情報のバトンを私は受け継いだ。
追加でそこから始まる旅を手伝えとのことだ。
彼の身体は悪魔により、北大陸中央部ビギナ近くの場所に移動させられたらしい。
ここからのスタートが悪魔が与えたスローライフまでの努めなのだろうか。
この命を受けたとき、私は北大陸西部を旅していた。中央部まではおよそ一年ほどかかるだろうか。
ラシス様はちょうど今から一年後にルースは目覚めると言った。
早く行かなければ間に合わない。間に合わなければ、今のルースの能力値ではすぐに死んでしまう。
明日、すぐに中央部に向かおう。
私はそう思って今日のうちにその準備を済ませた。
この一年の旅はなかなか過酷だった。
悪魔が襲来したことにより魔物が凶暴化していた。何とか勝負になったが、何度も死にそうになった。
中央部までの旅を始めてから三か月が経った頃、私はラシス様にこの状況をもう少ししっかり話そうと思って私だけが持っている魔法。天界侵入権行使魔法を使った。私は神聖魔法をこれだけ使うことができる。天使の力を借りずにだ。
しかし、できなかった。私はこの魔法を失った。
どうしようか。このままではラシス様に会うことができない。
とりあえず私は前へ進んだ。
北大陸は余裕で大雪が降る。そのせいか馬車の定期便もあまり出ない。
動物に好かれない私は大人しく自分の足で行くしかない。
歩いて、歩いて、歩き続けて半年……。
ようやく目的である北大陸中央部ビギナ街まで来れた。
ルースが目覚めるまであと三日。とりあえず今日はここで休むとしよう。
久しぶりの布団は本当に心地よかった。
さて、ルースのもとへ向かうかと思ったが。
彼の細かい位置についてラシス様に聞いていなかった。
聞こうとするも、そうか行けないんだった。
まずい。こんなところ、中央大陸で過ごすような格好で行ったら半日ももたない。
私はダッシュでビギナを出た。
そこらじゅうを探して、探して……。
そして、ルースが目覚める日になった。すでに二日徹夜の私のか身体はもうボロボロだ。
よろよろと歩いていると魔物が興奮している声が聞こえた。
人が襲われているのか?と興味本位で見てみると、ボロボロの服を着たこの地域では明らかにおかしいやつが襲われていた。
私はあ、コイツだ。と察し、剣を抜いた。




