ニ エレンの伝言
シリスから詳細を教えてもらった。
まず、この世界は悪魔によってかなり滅茶苦茶になってしまったようだ。原因は俺が召喚魔法を使ったから。
つまり俺にはその責任を取る義務があるらしい。するべき最終目標は世界の救済だ。
しかし、今の俺には力がない。先程から勘づいてはいたが……。
「今の君の体には魔力が存在しない」
つまり、魔法がいっさい使えなくなったというわけだ。
この世界の大半の戦力が魔力だ。一般人だって日常的に魔法を使うし剣士だって身体能力向上効果のある魔法を多少自分でも使える。
俺はそれができなくなってしまった。
なおかつ俺は前世、そしてこの人生の中でも残りの攻撃手段である剣を使ったことがない。
今の俺は攻撃力0の最弱というわけだ。
その俺にこの任務が務まるか?いいや、務まらない。
いや、今自暴自棄するのは一旦やめにしよう。
「ところで貴女は何でそんなことを知ってたりしてるんです?」
するとシリスは答えた。
「ああ、私はエレン様を担当している女神。ラシス様の使いだ」
「つまり天界の人?」
「まあ、でも人間だ。この情報はエレン様が直接私の脳に語りかけてくれた」
まだよく分かってはいなかったが話が長くなりそうなので一旦置いておくことにした。
俺はとにかくこれからしなければならないことを地面に書き出した。
①ミリス、エイジャついでにマリの安否確認
②魔力の復活
③エレンの救出
④神聖魔法の入手
⑤世界の救済
くらいだろうか。
世界の救済は最終目標ということで、この中で次にできることは……。
彼女らの安否確認になるだろうか。
いや、できることからやろう。俺はこれでとりあえず完結させた。
とにかくエレンからの伝言により、俺は目標を見つけられた。3番目の目標が達成できたら礼を言おう。
「ルースのこれからの旅には私も着いて行かせてもらう」
シリスが心強い言葉をかけてくれた。
「ありがとう。正直、戦力ゼロの俺がこれから一人旅なんて無謀だからな」
俺とシリスは固い握手をした。
翌朝。
俺たちはとにかく近くの街まで行くことにした。
昔、エレンが担当した転生者の出身の街だとシリスは言う。
その街の名前はビギナ。
北大陸の中央部に位置する街だ。
北大陸は俺が前住んでいた中央大陸とは違って非常に寒い。今はシリスがくれた服で何とかなっているが、目が覚めた時のあの服ではじきに凍え死んでいたであろう。
しかも今は冬で余裕で雪が降る。幸い中央部は北部とかに比べればそこらへんは非常に甘い環境だ。
しかし、何せ北大陸は大きい。俺はまず、中央大陸に行ってミリス、エイジャの安否確認をしたい。中央大陸にいる可能性が非常に高いと考えたからだ。しかし、馬車で何も起こらずに行ったとしても北大陸から出るのに1〜3年かかる。
しかし、それ以外に方法はない。俺たちは大人しくその旅を決行することに決めた。
ビギナに着くまでは俺は完全にお荷物なので、戦闘は全てシリスに任せる。
彼女の戦闘能力は正直言ってかなり高い。まず剣の腕は一流だ。剣も自分の体の一部のように操作している。そして、魔術も多少使える。前の俺ほどではないが。
つまり、近距離戦は完全制覇。遠距離も戦える状況にあるのだ。
このままではビギナで剣を買っても俺は出る幕がないではないか。と俺は心配した。
魔物の素材を集めている時、俺はシリスに言った。
「何だかんだやってるけど、俺、シリスのことまだ全然知らないんだよな」
シリスはきょとんとした顔をした。続けて俺は言った。
「まだ、どういう種族かも分からないし、どこで育ったかも、他にも色々。知ってるのはエレンの女神の使いってだけ。てか、つまりシリス天界とか今からでも行けるの?」
「質問攻めで困るなぁ。まあそういう点は旅をしている間に話したりするだろう。で、天界に行けるかどうかは、はっきり言うとノーだ」
シリスは言い切った。
「試したのか……?」
シリスは頷いた。




