一 物語の始
目が覚めると青空が俺を待っていた。
起き上がり、目を擦る。そこの風景は見慣れないものであった。
はっきり言うと荒地だった。
草木はいっさい見当たらず、あるのは岩石のみ。色は土色と空の青色のみ。
ふと、自らの身体を見ると不自然な感じがした。
手足が小さい。
まるで子供だ。
うまく立てないが頑張って立ってみた。
やはり目線が低い。身体が小さくなっているようだ。
理由は不明である。
一時的なものだろうか。とりあえず現状を把握するのが先決だと考え、歩くことにした。
服はボロボロになっており、サイズは元の身体に合わせたものになっている。歩きにくいので、ダボダボなところは気合いで破いた。
少し歩くと魔物がいた。
俺はとっさに隠れてビームの機会をうかがった。
そして、「きた!」と思ったとき、指先に魔力を込めた。
つもりだった。
結果はスカ。
ビームは発射されなかった。
俺が戸惑っていると、魔物に見つかった。
魔物は案の定俺に襲いかかってきた。
一発目。俺はその攻撃を回避することに成功した。
しかし、そこで俺は尻もちをついて、しばらくの間行動不能。
そして、二発目が飛んでくる。
走馬灯が見えた。死を悟った。
二度目の死。せめて、死ぬのであれば、この状況くらいは知りたかった……。
いや、それは多分女神が教えてくれるか?
などと、死後のことについて考えていた俺だったが。
結果で言うと死ななかった。
俺の視界には、ギラリと光る大剣が映った。そしてその大剣が魔物の強靭な肉体を切り裂いたのだ。
飛び散る血液。剣が描く弧。叫ぶ魔物。
全て、俺にとって初の体験だった。
「お前か。ルースというやつは」
魔物を倒した戦士が話しかけてきた。見た感じ女性だ。
「え、あ、はい」
俺はここに来て初めて喋った。幼い声だった。
「私はシリスだ」
シリスは俺に手を差し伸べた。
「ど、ども」
「とりあえず戻ろうか」
俺は大人しくシリスについて行くことにした。それしかやることがないし。
そして、ついて行くと焚き火があった。どうやら彼女はここでキャンプしていたようだ
シリスは焚き火の近くに腰を置き、俺に向かって「座れ」とすぐ横を指差した。
俺は指定された場所にちょこんと座った。
「おい、何が起きたか。どこまで知ってる?」
鋭い声でたずねられた。
「いえ、何が何だかさっぱり」
「そうか、じゃあ、エレン様に言われたこと全部言わないといけないんだな」
シリスは面倒そうに言った。
しかし、何故、彼女がエレンの名を知っているのか。
その疑問は今の俺にはわかなかった。
それほど、このときの俺には余裕がなかった。




