33 わ~るだくみ会議:コメつくりの農業システムを再構築して、日本の農業を衰退させようとしている目論見を潰し、日本政府を恐怖のどん底に陥れる計画!
―― 解説しよう! 今日も今日とて、栄光ある悪の秘密結社『邪須訂巣』△△支部の秘密アジトにある会議室では、日本征服を目論む者達が、密かにある計画を企てている最中であった。 ――
「以前の会議に被るところもあるが、政府の政策ではコメの減産をいまだに続け、専業農家の減少、兼業農家ですら後継者問題等で緩やかな衰退を招くのを、座して待つだけだ! それでいいのか、諸君! 否だ! 断じて否だ!」
「同感ですな。私の若いころは『減反政策』などと言い、余剰分を活用することも考えず、世界に打って出ることもせずに、農家に米作りを減らすようにと平然と政府が言っていましたからな。しかも、それが、現在でも形を変え残り続けている始末」
「うむ。そこで、国内の食料自給率を上げる一環として、『再生二期作』を推進する計画を執り行う」
「『再生二期作』とは何ですかな?」
「うむ。メグシテゴナよ、説明を」
「はっ!
「少し簡単に説明しますと、『再生二期作』は現在の地球環境、つまりは夏の暑い時期が長く続く状況を逆手に取り、暑さに強い品種を早くから栽培し始め、夏の半ばで収穫できるようにし、その後再び栽培・収穫委するというものです」
「ほう」
「メリットとしまして植え直しが必要なく、従来よりも水を必要としないうえに収穫は大幅増を見込めるという点です」
「しかし、地球温暖化(地球温暖化)が進んでいるとはいえ、そんなにうまくいくものかね?」
「自然の天候相手ですので、確かにその心配は存在します。こればかりは……」
「まあ、仕方ないでしょうな。その際の農家への救済案を考えておく必要があるでしょう」
「はい。そのほかに、技術面の問題点としては刈り取る際、残す部分の高さを、約40cm程の高さにしておかないとならないため、新しい稲刈り機が必要になるということです。更に2回目の刈り取りでは逆に20cm程の高さで刈り取る必要があるということになります」
「それは2台の稲刈り機が必要になるということかね。それでは中小規模の農家には設備投資面で厳しかろう」
「そのあたりの対応策は?」
「はっ、抜かりなく。可変型稲刈り機の開発と暑さに強い稲の改良には我が栄光ある悪の秘密結社『邪須訂巣』△△支部の頭脳ともいうべき魔頭斎 閻廷素斗様がすでに指揮をとって、事に当たっております」
「なるほど、メカの開発も遺伝子操作も奴の得意とするところでしたな」
「うむ、増産するのはそれで良い。ただ、懸念事項としては市場に対しての余剰分をどう扱うかだ。備蓄米の倉庫確保はもちろんだが、増産に対応した海外への輸出先の確保は付いているか?」
「勿論です。他にも、余った際の使い道として、援助国のリストアップも済んでおります」
「よし」
「更に、余剰分は米粉で作った容器や皿、フォークやスプーンなどを、イベントに使い、更に更に、幟や旗も米粉で作ることにより 万が一、ゴミを放置して立ち去るような不届きな輩がいたとしても、時間が経てば、自然に還るようになっています」
『『おおっ!』』
―― 簡単ではあるが解説しよう! 『幟』とは縦長の一方と上方を固定したものをいい、『旗』とは竿や紐あるいはロープに旗の一方を取り付けたものをいい、区別している。 ――
「それでは米の増産計画を実行せよ!」
『『はっ!』』
◇
『次のニュースです。滝グループ傘下の盾前コーポレーションが大規模農業事業参入の一環として、日本米の増産を行なう計画を発表しました。この計画は……』
会議も無事終わって、現在はワルビレル様のメイドタイムです。
「ワルビ……王史様、夕餉の支度が整いました」
「わかった」
「今晩は炊き込みご飯を作ってみました」
「うむ」
ぴっ!
『ーレッツ!』
『『コーVばいV!』』
『行くぞ! 超<田>磁 た~<ネ>~ま~き~!』
「王史様、このアニメは?」
「昭和のアニメの代表的なロボットアニメ作品の一つだな。なぜか急に見たくなった」
「ご一緒に見てもよろしいでしょうか?」
「ああ、ここに座るといい」
「失礼します」
二人で晩御飯、この時間、幸せです!




