26 くつろぎの時間も学びはありますよね
今は本日の学業も終え、仕事も一段落付き、世を欺く仮の家で、しばしのリラックスタイムです。
わたしはシャワーを浴びてからメイド服に着替え、表の顔である王史様のお世話をさせていただいています。
王史様はソファーでくつろぎながら大画面で特撮モノの番組をご覧になっています。
「王史様、何を見てらっしゃるのですか?」
私が紅茶と手作りクッキーを机に並べながら問うと王史様は優しく答えてくださいました。
「うむ、こういった番組は意外とメッセージ性が高くてな。これもそうなんだが、千里も一緒に見ると言い」
「よろしいのですか!」
「ああ、ここに座ると言い」
そう言って王史様はソファーの隣りをポンポンと叩きました。
今日は何という良い日なのでしょうか!
一日の終わりにこのようなご褒美が用意されていたとは。
「では、失礼いたします」
そうしてふたりで、二人だけでの鑑賞会が始まりました。
王史様は学園ではアニメ研究会に所属していらっしゃいます。
ちなみに、この特撮作品のタイトルは『必殺戦隊 ゴミレンジャー』だそうです。
悪の怪人が倒され巨大化し、それに対応すべく5人の戦士が陸・海・空の3機のマシンに乗り込んだところのようです。
* * *
『空のジベンゾパラジオキシン!』
『『海のジベンゾフラン!』』
『『陸のビフェニル!』』
『援礎結合だ!』
『『おう!!』』
『『完成! 大王鬼神』』
* * *
「これはどういうお話なのですか?」
「うむ、旧ごみ処分場であった埋め立て地の夢の島で、密かに開発されていたロボットを操り、悪の秘密結社『腐崩闘鬼』から大地を守るというストーリーだ」
「ゴミですか?」
「そうだ。我がアニメ研究会でみた作品の中には粗大ごみの山から部品を見つけ出し、巨大ロボットの改良や修理を行なっていたものもあった」
「その技術力はすごいですね」
「うむ、見習いたい物ではあるな」
「はい」
「……そうか。……やってみても面白いかもな」
「王史様?」
「王史様は何事かを考え立ち上がると、キリッとした顔付でこちらに振り向きました。
この顔は栄光ある悪の秘密結社『邪須訂巣の大幹部、』ワルビレル様の顔です。
「千里よ、3日後に幹部会議を招集するぞ」
「はっ! 仰せのままに」
わたしも栄光ある悪の秘密結社『邪須訂巣』の副官メグシテゴナとして応えます。
メイド服のままですが。
◇
『次のニュースです。5月30日は「『530の日』を前に、滝グループ傘下の盾前コーポレーションが、リサイクル事業に参入する計画を発表しました。この計画はゴミを資源と見なし……』




