18 偽装学園生活 朝、お弁当を考えるのは楽しいですよね
「メグシテゴナよ。いや、阿久寺 千里」
「はっ! 王史様! いえ、王史くん!」
「我々はこれから世間を欺くための偽装工作として、一般学生を装っていくわけだが、わたしとお前は学校では他人だ」
「そんな! 何故ですか!」
「その方がお互い別々のルートで情報収集をしたり、工作活動をしたりすることが出来るからだ」
「そっ、そんなあ!」
「学園でも王史様の身の回りのお世話をしたかったのに」
「お前の働きには感謝しているが理解してくれ。これも悪の秘密組織の野望が成就するために必要なことなのだ」
「……分かりました。使命の為とあれば致し方ありません。ですが昼餐は……昼餐だけはご用意させていただきたく思います」
◇
「千里、お弁当美味しそう!」
「手作り?」
「ええ、まあ」
「へえ、上手ね」
「隙あり! 卵焼き頂き」
「あっ、恵梨香ちゃん、千里ちゃんに悪いよ」
「構いませんよ。朋美さんもお一つどうですか?」
「いいの!? じゃあ、この肉じゃがで」
「ああっ! 朋美の方が良いとこ持っていってるじゃん。もう、
「なにこれ! すっごくおいしい!」
「ふふふっ、良かったです」
◇
「王史、購買に昼メシ買いに行こうぜ」
「ああっ、スマン。家から弁当を持ってきているんだ」
「親の弁当か……なんだよ、折角誘ってやったのに、おって、なんだよ、メチャクチャ美味しそうじゃねえか!」
「作ってくれているの、姉ちゃんか? それとも妹か? 随分と可愛らしい。美人なら紹介しろよって、お前じゃ望み薄か」
「いや、兄弟はいない(設定)だが」
「な~んだ、母ちゃんかよ。でも良いよな、作ってくれるだけマシだよ」
「そうそう、俺たちなんか、購買組だぜ。しかも月の小遣いからだぜ。はあ、はやく彼女出来ねえかな。そしたら手作り弁当作ってもらえるのによ」
「おめえじゃ無理だ。アホなこと言ってないで、急ぐぞ! 焼きそばパンが売り切れちまう」
「んだと! あっ! おいコラ、待て! 逃げんじゃねえよ!」
「……」
◇
「カロリーと栄養バランスを考えないといけませんね。あと、彩りは大切です。今から走っていけば、タイムセールに間に合いそうですし、帰りにスーパーに寄って行きましょうか」
- せっせとお弁当作りに邁進する千里であった ー




