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封術学園  作者: 遊馬瀬りど
外章「番外編」
93/111

報告書まとめ1

第1章~第2章における隣神討滅、課外活動の報告書になります(あらすじ)

★☆★☆★



『隣神討滅報告書』



■報告者

封術師認可ID************* 袋環樹



■報告日時

2053年04月**日 **時



■討滅年月日

2053年04月**日



■概要

第1学年3組の装具選定において学生の波長障害に共鳴して顕現した隣神の討滅。



■討滅対象

クラス4thの獣人型隣神。

全身が黒い体毛で覆われており、それらを自在に変化させることが可能であったとみられる。



■顕現の原因

星条奈緒(学籍番号*********)がマナスの門を通じて心象世界にアクセスして装具を獲得する際、存在証明光の波長パターンに強い揺らぎ(=波長障害)が生じた。

これにより現層世界へと帰還した後、異層世界の固有振動パターンと共鳴して隣神が顕現した。



■顕現時の状況

第1学年3組の装具選定中であり、29名中24名が装具選定を完了していた。この時点で心象世界内で装具選定中だったのは星条奈緒を含む2名のみ。

隣神が顕現したのは波長障害を負った星条奈緒が現層世界に帰還した直後のことで、彼女のそばにいた朱鷺戸綾(学籍番号*********)が封術結界を展開している間に他の学生たちの避難を実施した(注1)。



■隣神への対処

隣神を討滅したのは九槻秋弥(学籍番号*********)。

九槻秋弥は心象世界から帰還してすぐに、自身の装具(注2)とは異なる装具を用いて隣神との戦闘を開始。精度の高い封術結界と炎球の術式を行使して隣神を討滅した。

また、九槻秋弥は高位の隣神(注3)を連れており、発生した異層領域の調律はその隣神が行った。



■事後処理

前述のとおり、発生した異層領域の調律は九槻秋弥が連れていた高位隣神が行った。

第1学年3組の他の学生たちには九槻秋弥が連れていた高位隣神に関して見聞きした一切を他言無用とするように指示し、安全を確認した後で残り3名の装具選定を監督。また、波長障害により気を失っていた星条奈緒には、目覚めた後で念のため保健室に行き、診察を受けるように指示。彼女には2名の学生を付き添わせた。

装具選定後に九槻秋弥を個別に呼び出し、月例会議で処遇が決定するまでは高位隣神を学園内外で顕現させないように指示。

ただし、こちら側が彼らに敵対の意思を見せた場合には、九槻秋弥の意思とは無関係にこの指示を遵守できない可能性があるとのこと。



■被害報告

波長障害を負った星条奈緒に若干の意識の混乱が見られたものの、朱鷺戸綾、九槻秋弥の活躍により、それ以上の被害はなし。



■特記事項

注1:朱鷺戸綾の行動は自己の判断によるものだが、彼女が封術結界を展開していなければ状況はこれ以上の大事となっていただろう。


注2:九槻秋弥の装具は特殊型遠近接系流剣。九槻秋弥が隣神との戦闘で用いた装具はデータベース上に登録のない異能型近接系魔剣。


注3:高位隣神の名はリコリス。外見は10歳程度の少女だが、干渉圧の強さからクラス1st級と判断する。また、九槻秋弥が用いた異能型の装具は彼女の装具であるとの情報を得ている。



本件に関して第1学年3組の封術教師を務める袋環樹が行ったことは学生たちの避難のみであり、封術学園に入学して間もない学生たちが本件の対処にあたることになったのは己の不手際と力不足によるものであるため、如何なる処罰も受ける所存です。




以上。



※なお、本報告書はこの後、封術教師陣との合意の基で学生自治会長と治安維持会長の手によって改竄される。





★☆★☆★





『調査報告書』



■報告者

学籍番号********* 星条悠紀



■報告日時

2053年04月**日 **時



■調査年月日

2053年04月**日



■概要

第15期装具選定を通じて、現時点で特出した才能を持つ学生を早期に見いだすための視察を行い、学園運営の主導を握る学生自治会や学園内風紀を守る治安維持会の人材確保に役立てる参考情報とする。



■調査結果

第15期装具選定を行った新入生149名のうち、特に注目したい学生は以下の4名。

・1組 学籍番号********* 太刀川夜空

・3組 学籍番号********* 鶴木真

・3組 学籍番号********* 朱鷺戸綾

・3組 学籍番号********* 九槻秋弥


例年同様、入試成績の上位者が集められる組に有望な新入生が揃っている中で、太刀川夜空の人柄と装具は非常に興味深い。彼の装具は比較的多く見られる強化型の刀剣であったが、他に例の少ない『鞘持ち』の装具であったことから、彼の内に秘められた才能の片鱗を伺うことができた。


鶴木真と朱鷺戸綾の両名は星鳥の系譜に名を連ねる十三家の者であり、装具選定以前に装具を手にしていたことからも、抜きん出た才能を持つことは疑いようもない。家柄を考慮すれば、将来的に鶴木真は治安維持会のメンバーとして、朱鷺戸綾は学生自治会の役員として迎えたいところ。


最後に九槻秋弥に関してだが、今年は3名もの『星鳥』の直系が入学したが、第15期新入生の総代表を務めたその才覚はそれだけでも十分評価に値する。しかし何よりも装具選定中の不慮の事故によって顕現したクラス4th級隣神を斃して見せたその実力は、彼の実姉である『矛盾螺旋』九槻月姫の再来を予感させた。



■特記事項

第15期装具選定中に顕現したクラス4th級隣神の討滅報告書は別途。




以上。





★☆★☆★





『課外活動報告書』



■報告者

学籍番号********* 星条悠紀



■報告日時

2053年04月**日 **時



■活動年月日

2053年04月**日



■概要

顧問封術師浅間総一郎(封術師認可ID************)からの斡旋依頼。

現在では使われていない神来町校外の病院内で、隣神と思しき存在の目撃情報が近隣住民から相次いで報告されているため、隣神の発見と討滅、異層領域の調律を行う。

なお、本課外活動は依頼者の希望により学生自治会長と治安維持会長の同行を必須とする。



■活動参加者

学籍番号********* 星条悠紀

学籍番号********* スフィア・智美・アンダルシア(治安維持会)

学籍番号********* 鵜上亜子



■活動報告

異層領域の調査と隣神の捜索を行うため、廃業となって放棄されていた病院へと向かった。

現地には既に別の封術師が向かっており、我々が現地に到着した時点で病院内の一部の調律と目撃情報にあった獣型の隣神の討滅が完了していたため、残った異層領域の調査と調律のみを行った(注1)。

異層領域は振域レベル1が2カ所とレベル3が1カ所の計3カ所。

調律・封魔の役割分担は以下のとおり。

・異層領域の調律:鵜上亜子

・調律中の護衛:スフィア・智美・アンダルシア

・調律後の確認:星条悠紀を含む3名


現地で合流した封術師に関しては特記事項欄に記載する。



■特記事項

先に現地の調査を行っていた者は2名。本学園の昨年度の卒業生である向江仁(封術師認可ID*************)と、本学園の1年生である九槻秋弥(学籍番号*********)。

我々が現地に到着したとき、病院の屋上付近から強力な干渉圧を観測した。ただちに干渉圧の発生源に向かったところ、気を失って倒れている向江仁と、それを実行した九槻秋弥の2名を発見した。

九槻秋弥から詳しい事情を伺い、向江仁が違法に封術を行使して異層領域を故意に作り出そうとしていたため、その行為を止めたということが判明。状況証拠も含めて封術教会への報告を行った。

なお、向江仁と九槻秋弥の両名に封術依頼を行った相手も浅間総一郎であり、彼は向江仁が違法封術師である可能性を独自に掴んでいたものと見られる。




以上。





★☆★☆★





『重要施設利用届』



■施設利用年月日

2053年05月**日



■利用施設

マナスの門



■利用理由

天河聖奈(学籍番号*********)の装具選定のため。



■施設利用者/責任者

利用者:袋環樹

責任者:鷹津宰治



■施設利用状況(完了後記載)

天河聖奈はデータベースに記録のない装具(注1)を既に所有していたため、マナスの門を通ることができなかった。



■備考

天河聖奈がどこで装具を手に入れたのかは不明であり、当人も装具を所有していたという自覚がなかったものと思われる。


注1:天河聖奈の装具は刃を持たない杖のような形状をしていた。



以上。





★☆★☆★





『課外活動報告書』



■報告者

学籍番号********* 鵜上亜子



■報告日時

2053年05月**日 **時



■活動年月日

2053年05月**日



■概要

森林公園の一画にある森林浴や野鳥観察を楽しめるエリアに入った数名のグループが行方不明になる。獣の鳴き声を聞いたという報告も入っていることから野犬狩りを雇って対処に当たったが、彼らもまた行方不明となったことで隣神の仕業である可能性が浮上し、封術教会に調査依頼が下った。



■活動参加者

学籍番号********* スフィア・智美・アンダルシア(治安維持会)

学籍番号********* 鵜上亜子

学籍番号********* 九槻秋弥

学籍番号********* 天河聖奈



■活動内容

区画封鎖された森林公園へ向かい、異層領域の調査を開始した。森林公園深部にて大量の血痕と祠を発見。そこでかつてこの土地の神として祀られていた獣型の隣神と邂逅。その戦闘途中で新たに霊体型の隣神が出現。霊体型の隣神によって獣型の隣神が斃されたことで、その攻撃性、状況証拠から本活動の主討滅目標を霊体型の隣神と断定。スフィア・智美・アンダルシア、九槻秋弥の両名がこれを討滅。その後、2体の隣神が顕現した原因とみられる異層領域の調律を鵜上亜子、天河聖奈の2名で実施。調律中の護衛をスフィア・智美・アンダルシアと九槻秋弥が担当して本活動を完了した。



■特記事項

治安維持会長スフィア・智美・アンダルシアの意向により、振域レベルの低い異層領域の調律を天河聖奈が担当。その補助役を鵜上亜子が担当したが、天河聖奈の最適化領域オプティマイズ・フィールドがあまりにも強固であったため外部から干渉することができなかった。

なお、調律自体は問題なく完了した。




以上。





★☆★☆★





『隣神討滅報告書』



■報告者

学籍番号********* 鵜上亜子



■報告日時

2053年05月**日 **時



■討滅年月日

2053年05月**日



■概要

課外活動(報告書ID:**********)中に遭遇した隣神の討滅。



■討滅対象

・クラス4th級の獣型隣神

森林公園の深部にある祠で祀られていた産土神。思念言語を行使。


・クラス8th級の霊体型隣神

森林公園の深部を徘徊していた隣神。ガス状の身体で対象を内側から破壊することが可能。



■顕現の原因

産土神を名乗る獣型の隣神が祀られていた祠の周辺領域が異層と重なっており、獣型の隣神に共鳴振動しやすい状況が出来上がっていたため。また、霊体型の隣神は獣型の隣神が通った回路(サーキット)の隙間を通じて顕現した。



■顕現時の状況

獣型の隣神は祠の周辺に立ち入った者の前に姿を現し、霊体型の隣神は森林内を無軌道に徘徊していた。



■隣神への対処

スフィア・智美・アンダルシア、九槻秋弥の両名が獣型の隣神と戦闘。高速移動能力と周辺領域を支配下に置くことでこちら側の事象改変を阻害した獣型の隣神に対して、突如として現れた霊体型の隣神が獣型の隣神を討滅。両名は霊体型の隣神との戦闘に移行するも、獣型の隣神による領域支配が継続していたことで苦戦を強いられる。

その状況を打開したのは九槻秋弥の『領域支配エリア・オプティマイズ』であり、獣型の隣神の領域支配を上書きしたことでスフィア・智美・アンダルシアの装術『銃撃の舞踊(バレット・ダンス)』の発動が可能となり、これによって霊体型の隣神を討滅した。



■事後処理

獣型の隣神、霊体型の隣神が顕現する原因となった異層領域を調律。

(報告書ID:**********を参照)



■被害報告

特筆すべきことはなし。



■特記事項

特筆すべきことはなし。




以上。

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