タイトル未定2026/02/14 12:37
雨が止まない。一晩中、シトシトと降り続き、車庫の前のコンクリート地面はぐしょぬれだ。茶トラは、雨漏りのする軒下にある古びた段ボール箱の中に身を潜め、柔らかな茶色の毛にじわじわと冷たい湿気が染み込んでいくのを感じていた。これは、いつもにない、寒くて長い夜だ。
彼女は覚えている。今朝、人間の一人が温かいミルクを飲ませてくれたことを。しかし午後、大きな車がその人間を乗せて消えてしまった。今は真っ暗で静まり返った大きな家に、彼女だけを残して。響くのは、雨の音と、塀の隙間を抜ける風の音だけだ。
茶トラのお腹が悲しげに鳴る。彼女はよろよろと体を起こそうとした。細くか弱い四本の足が震える。生存本能に突き動かされ、彼女は何かお腹に入れるものを探しに出かけることを決意する。そっと隠れ家から足を踏み出すと、そこは冷たいコンクリート。そして、どさりと下の泥地に落ちた。柔らかい肉球が鋭く痛む。
彼女は大きな葉の茂みを通り抜ける。葉っぱから滴が落ちては、時々彼女の背中を濡らす。そのたびに茶トラはびくっとする。この世界は、小さな子猫の彼女には、あまりにも広く、そして恐ろしい。彼女は暗闇の中を必死に見渡し、ようやく隣の家の窓がほんのりと開いているのを見つける。
そしてそこ、窓辺には小さな皿が置いてあり、中には魚の骨や食べ残しが少しだけ入っていた。それは、まるで茶トラにとっての暗闇の中の光のようだった。空腹が彼女の全ての恐怖を忘れさせた。彼女は一目散に駆け寄り、壁際に積まれた木箱の山に飛びつき、そしてそこから、なんとか細い窓辺へと飛び移ることに成功した。
目の前のごちそうに、彼女の心臓は高鳴る。彼女はうつむいて、ご馳走の魚の骨をかじり始めた。希望を感じた瞬間だった。しかし…濡れた足と、鋭い窓辺の縁が、彼女に悪戯を仕掛けた。
片方の足が窓辺から滑った。小さな茶トラの体はバランスを崩し、高いところから、掴まるものもなく落ちていった。彼女は家の裏の地面に激しく叩きつけられた。背中と後ろ足に、大きな犬に追いかけられた時よりもはるかに激しい痛みが走る。
茶トラは立ち上がろうとした。しかし、前足をわずかに動かすことしかできなかった。体の後ろ半分は…もう言うことをきかなかった。彼女はその窓の下の泥地にうずくまっていた。雨はまだ止まない。彼女の弱々しい鳴き声を聞く者は誰もいない。彼女の息遣いが、徐々に、小さくなっていくのも。
降りしきる雨が、彼女の茶色い毛に付いた泥の汚れをきれいに洗い流していた。まるで、去りゆく小さな体を清めるかのように。茶トラの黄色い目が、ゆっくりと閉じていく。まだ意識がある最後の瞬間、彼女は朝もやの景色と、人間がくれた温かいミルクの味を思い浮かべた…。
そしてついに、全ては暗転した。彼女は静かに逝った。まだ降り続く雨の中を。誰も知らない、一匹の茶色い子猫がこの世を去ったことを。こんなにも寒く、静かな夜に…
(※これは単なる気晴らしに書いたものです。この話は、ある無能で愚かな人間が書いた、ただのクズのような短編です。)




