寒さ対策 その2
ウチでも寒いんだもの、通って来る乳兄弟たちとか、家人達も寒いよね?
とりあえず、ゴムの長靴は大人気になった。パパンや在富もビックリしてたね。公家は木製の沓を履いていたので、気が付かなかったみたい。
それより下の身分の人たち向けに、親指付きのゴム長靴を作ったんだよ。上から草鞋を履くんだ。それだけでも足が濡れないので喜ばれたんだけどね。少しお金のある人は綿入りの足袋を履いたり、お金が無い人はゴム長靴の中に紙や藁を入れたりして保温性を高めてたよ。
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「これは、凄い!」
思ってもいなかった所で、高評価をくれたのが、河野さん達水軍だ。
「このゴムとやらは水を通さぬ!」
「勘解由小路様、このゴムの皮を頂けませぬか?」
「「あ!」」
そりゃそうだ。防水って言ったら海の上なんか活躍の場が一杯あるよね。在富は河野さんと相談して、ゴム工場を伊予に造る事にしたよ。
「ううむ。こうなると南方の島が欲しくなるな。いや、本当のゴムの木は南米か……南米と言えば、カカオとかも……」
パパンがなんか呟いているけど、気にしなーい!
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ゴムの便利さも広まったけど、毛皮の需要も高まった。この時代の人達は余り肉を食べないんだけど、ウチを中心に肉食が広まっていたんだよね。
そもそも、約百年前に京で大飢饉が起きていたそうで、ウサギとかはこっそり食べていたらしい。今では交通用に馬や牛が増えているので、それなりに肉が流通するようになったんだって。歳取ったり事故で動けなくなったりするからね。
そう言う訳で毛皮も革製品も少しだけど流通していたんだよね。だけど、やっぱり殺生が忌避されていたらしく革製品は人気なかったんだって。
でも、暖かいならそっちの方が良いものね。ウサギの毛皮のベストが人気商品になったよ。武家では自分達で鹿や猪を狩って毛皮を集める家もあったみたい。
ただ、鞣すのが難しいからね。山の民に頼んで鞣して貰う商いも始まったみたい。なんでも実相院の忠基兄さんの所で毛皮供養と皮鞣しを一緒に受付しているそうなんだよ。
兄さんの所の修理亮のオッサンが自慢してた。
「もう、笑いが止まりまへん。生皮が臭いのが、玉に傷ですがね。最近は山の民に皮を剥ぐ術や鞣しの技も教えてもろとりましてん。何人か寺の裏山に住んでもろて仕上げをお願いしてもいるんですわ。ウチの郎党も皮を扱うのにすっかり慣れましてん。ウチの子の剥いだ皮なんて綺麗なモンですわ〜」
本人も皮のベストを着ていて、ドコの山賊だって格好だったけどね。
それでも生臭を気にする人達は居るんだけど、そんな人達にはダウンのコートを紹介した。マンマも着ていたしね。ただ、こっちは羽毛を集めるのが大変だし、シルクを何枚も重ねる超高級品。第一にダウンが無いんだよ。右京でアヒルを飼い始めていたけど、大量生産できる程のダウンは取れていないんだって。
なので、こちらはダウンが集まり次第の限定生産品。まだ20着ぐらいしかないので、内裏とかでしか着られていない。
オレ?オレはタロジロが居るからあんまり寒くないんだよね〜。
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