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突然ですが、どうやら俺の人生が終わるようです

アクセスありがとうございます。


 騎士ニードルから殿手当の銅貨5枚が白金貨2枚に化けたことに興奮しているのか、それとも久しぶりに帝国兵に囲まれ絶望的な状況に置かれた自分に興奮しているかわからないけど、自分がニヤけていることに自覚がなかった。


「なにがおかしい? 置き去りにされて気が狂ったのか!?」


 対峙した若い帝国兵に言われて、自分がそうなっているのを初め気付く。


「クックックッ・・・・そうかそうなんだ」


 後方に姿は見えなくてもアホみたいに強い魔法士が控えているから、たった1人で出迎える俺を遊び感覚で罵倒しながら若い帝国兵達が賊のように統制無く襲いかかってくるも、その剣技は未熟なため軽く捌き剣の軌道を変えただけで姿勢を崩し隙だらけの首元を斬るだけで排除できるばかりのレベルのため、高揚した俺の心は少しも満たされない。


「弱い・・弱すぎるぞお前ら・・・・」


 強い者を求めるかのように真っ直ぐ歩き進み敵陣へと乗り込むような自分がヤバい奴だなと思うと、さらに笑う自分を自覚する。


 そんな俺の狂気じみた行動に怖気付いたのか、仲間が簡単に殺されたことに動揺しているのか周囲を囲むだけで斬りかかる帝国兵はおらず、俺が歩いた分だけ後退るだけに対して無性に腹立たしい。


「おい帝国兵!! たった1人の冒険者を囲むだけしかできねーのか!?」


 俺の挑発に誰もが無反応で黙り込んだままの帝国兵達にため息を吐きながら、そのまま永遠に黙っていろよと思いながら刀身に風魔法を纏わせ安定したところでグルッとその場で1回転しながらウインドカッターを放ち取り囲むだけの奴等の体を分断させ命を刈り取った。


 バタバタと倒れながら大量の血飛沫が周囲を赤く染め、血溜まりとなった場所を躊躇うことなく歩き視線の先にいる帝国兵達へ無言のまま一気に駆け出し急所の首元だけを狙い斬り捨て、次の獲物へと止まることなく襲い掛かる。


 この戦いが体力の消耗を最低限に抑えることができ、敵を混乱させ殿を長い時間務めれることを苦しい経験の中で習得した。


 今回も同じ戦法で確実に帝国兵の数を減らしながら敵陣の方へ進んで行く俺の視線の先には、いつもの防御力重視の鎧を纏った帝国兵ではなく冒険者のような身軽な格好をした黒髪の少年少女達が待ち構えているのを見つけ、417高地で遭遇したミユキの仲間だと思い、このまま飛び込むのをやめて立ち止まり告げた。


「帝国兵を速やかに撤退させろ!!」


 殿の俺は敵の追撃を食い止め逃げる騎士を脅威から守ることが役目のため、ある程度の時間を稼げたら戦いを継続する必要はない。


「どうして、王国は帝国を侵略するんだ!?」


 俺の警告を無視して質問をするのは、切れ味が良さそうな両手剣を構える黒髪少年だ。確か伝説の勇者ジョブを持っているらしく、魔法剣士ジョブの俺では到底勝ち目はないけど・・ここは強気にいこう。


「戦争だからだよ少年・・・・普通だろ?」


「違う! 戦争だからって、たくさんの人を殺してもいい訳が無い!!」


「知らねーよお前の価値観なんて! なら、お前が・・お前らがこの戦争を終わらせてみろよ!?」


「・・・・・・」


「勇者様なんだろ? 伝説の!」


 自分が勇者ジョブだと知られていることに驚いたのか、ビクッと身体を震わせているように見えた。そこで、もう一つ精神的に揺さぶりをかけることを思いつく。


「捕虜のミユキならまだ生きているぞ? 今もずっと俺の管理下だ!」


「返して! ミユキを返してよ!!」


 勇者の隣りに立つ黒髪少女が突然ミユキを返せと泣き叫ぶ声に不快感が増し苛立つ。


「うるせー! ミユキは捕虜だ! 返して欲しければ、この戦争を終わらせてみろ! それまで生きているか保証はできないけどな!!」


 もちろんハッタリだ。今になってミユキを無下に扱うことなどできない・・別に恋愛とかそういう感情が芽生えた訳でもないが、冒険者の良きパートナーみたいな感じだ。


 彼女が帝国に帰ると言うなら俺は止めることなく見送る・・もちろん1人で勝手に帰ってくれと言うけどな。そんなことを考えていた俺は、このとき失言していたことに気づいていなかった。


 俺がミユキの生きているか保証はできない・・その言葉で少年少女達の爆発的な殺意が俺に向くことを。


「ヤッベ・・」


 その言葉を最後に余裕が無くなった俺は、防戦一方となる。


 勇者ジョブを持つ黒髪少年と、剣聖ジョブを持つ黒髪少年少女の2人が両手剣をで構え3人が俺に襲いかかり、今までの帝国兵とは比にならない程の速い斬撃をギリギリのところで往なし続け、反撃する隙が無い。


 3人の斬撃を往なすことばかりで、主導権を取られたままの俺は逃げるばかりで思うように立ち回れないでいると、ふとあることに気付く。


(・・コイツらの剣、軽いな)


 そこに気付いた俺は往なす動作から彼らの剣を刃こぼれ覚悟で弾き飛ばすと、簡単に姿勢を崩し次の手にすぐ動かないことに、反撃される意識が無いのかと違和感を感じた俺は後方へ下がり間合いを取り聞いた。


「お前ら、人を斬り殺したこと無いだろ?」


 俺の言葉に3人は踏み出した足を止めた。


「やっぱりな・・全ての踏み込みが甘いし、剣に振り回されて軽いぞ?」


「うるさい! お前の望み通り全力で倒す!!」


「・・そこは、流石に殺すって言えよ中途半端な勇者だな・・なら、掛かって来いよ!」


 なんか悪役に成り下がっている俺の言動は勇者に負けて終わるキャラじゃないかと気付き、気持ちを入れ替え迎え撃とうと愛剣で捌こうとした時に勇者の右肩越しから火炎弾が一直線に飛んでくるのが見えた。


「隙あり!」


 俺が勇者の後方から迫る火炎弾へ僅かに視線を逸らした隙をついて、全身に白い光の膜を纏わせ脅威的な速さまで加速した勇者の剣が俺の首元を正確に狙い迫るも、目で追えない速さではないため愛剣を当てて軌道を強制的に変えながら火炎弾の対処のため身体を左へと避ける。


 ドォンッ!!


 火炎弾は勇者の近くに着弾し爆発し強烈な衝撃に襲われると、勇者が俺の頭上を悲鳴を上げながら吹き飛んでいく姿に一瞬戸惑いながらも俺も吹き飛ばされながら、衝撃に逆らうことなく身を任せつつ立ち木に激突しないよう愛剣で防御しながら転がっていると、勇者は見事に大木を数本へし折って地面に転がっている。


 そんな勇者の悲惨な状況に俺もならないよう受け身を取りながら転がりなんとか立ち上がることができた直後に再び火炎弾が目の前で着弾し再び吹き飛ばされる。


「マジか・・死ぬ・・」


 全身が宙を舞い回転するのを制御できない俺の視界には次々とあの火炎弾が俺を狙い迫ってくるも、飛距離が足りず全部手前で着弾し爆発する・・そのせいで俺はずっと吹き飛ばされていた。


 火炎弾を一体何発放ったのかわからないくらいの頃にやっと地面を転がり、バウンドしながら勢いを殺していると不意にフワッとした感覚が身体を襲う。


「な、なんだ?」


 どうやら俺は、かなりの距離を吹き飛ばされたようで、眼下の遥か下に大きな川が流れていた。


「コレ終わったな・・最後にシマチのモフモフに癒されたかった」


 どうやら崖から投げられた石ころのように川へ落下して風を切る音を耳にしていた俺は、帝国兵との戦いで疲労が溜まっていたせいなのか、生きることへの気持ちが薄れた時にフッと意識が遠くなり川に叩き込まれる衝撃を受ける前に目の前が暗くなり全てが止まったのだった・・・・。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] ・切れ味が良さそうな両手剣 ここでの両手剣っていわゆるグレートソード? グレートソードは叩き切る武器だから長く分厚い刀身のはずだ。 ……そんな無骨な外見をどう見たら切れ味良さそうに…
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