幕間 王国騎士団魔法士団長ルミナ
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幕間はとりあえず終わりです。
王国騎士団魔法士団長・・ルミナ=バルトクリーク
カイ兄ちゃんを騎士団から除隊?そんな話を団長と副団長の2人がしているのを騎士団本部の作戦室に、たまたま用事があって入った時に私は耳にしてしまった。
カイ兄ちゃんとは、実家が隣りで幼い頃から使用人の目を盗み忍び込んで、毎日遊んでもらっている時に魔法の使い方を優しく何度も教えてくれて、初めて魔法が成功した風魔法は物凄く嬉しかった。
だって、カイ兄ちゃんが得意な魔法と同じ属性だったから・・・・。
魔法がスムーズに使えるようになって、日常に便利な生活魔法をある程度習得した私は騎士団に入るため必要な攻撃魔法の練習を重点において勉強していたら、それだけじゃダメだってカイ兄ちゃんに注意されたことを今も憶えてる。
あの頃はいろんな攻撃魔法を中等部の先生に教えてもらって、授業で成功したときに先生に褒められる毎日が楽しかったけど、カイ兄ちゃんに注意されてからは、魔法士として必要な攻撃魔法よりも探知系魔法の練習に多くの時間を費やしたら、学校の成績が少しだけ悪くなって両親に怒られたけど返事だけで済ませカイ兄ちゃんを信じ続けたあの頃があったから、騎士団魔法士団長という今の私がいる。
1年遅れで騎士養成学園に入学して2学年生のカイ兄ちゃんに会いに行くも、教室にいないし学園のどこを探しても姿を見かけない・・いつも一緒にいたアリスさんやジーニスさん達は一緒にいる姿は毎日見るのに。
そこにカイ兄ちゃんだけがいないことに私は違和感を感じているけど、アリアさんはジーニスさんととても楽しそうに学園生活を過ごしていた。
「アリアさん貴方の隣りは・・その場所はジーニスさんじゃなくて、カイ兄ちゃんの居場所では?」
訓練場へと向かうアリアさん達を教室から眺めながら私は呟きますが、流石に本人に聞くことはできません。
1年間のつまらない基礎訓練を終えて2学年生で希望の魔法専攻クラスになり、学園内の訓練場では遠距離魔法が使えないため男魔法士のイスティー講師が成績上位の私とクラスメイト数人を引率して、2日程移動した場所にある見晴らしのいい高台へと連れて来てくれました。
「今日の課外授業は、ここで遠距離魔法を私が指定した範囲内を狙ってもらいます」
「「「「 はい!!!! 」」」」
イスティー講師から方向と距離そして範囲を教えてもらい、私達は自分が得意な遠距離魔法の詠唱を始めますが、私は1人クラスメイトとは違う行動をしていると魔法発動が遅いと注意されるも適当に返事をして、カイ兄ちゃん直伝の気配探知魔法で指定された範囲を探ると数えきれない程の気配の中にカイ兄ちゃんの気配を捉え驚きを隠せなかった。
「カイ兄ちゃん? がどうしているの? イスティー講師! 多勢の人がいます!!」
「ちっ・・ルミナくん、そんな些細なことなど気にすることなく私の指示通り攻撃魔法を放ちなさい」
「でも、人が・・」
「やりなさい! 仮に誰かがいたとしても関係ありません! あなたのクラスメイト達は、すでに実行していますよ? 全部外れてますが・・」
「は、はい・・」
イスティー講師の言葉に違和感を感じつつも、とりあえず講師の機嫌をこれ以上損ねないよう返事をしつつ攻撃魔法を放つ詠唱をする振りをしながら、本当にカイ兄ちゃんなのか確認すると間違いなくカイ兄ちゃん本人だった。
「間違いない・・あの魔力はカイ兄ちゃんだ」
カイ兄ちゃんの近くに数人だけいるも、その倍以上の人間に囲まれつつある状況の中で1人・・また1人と囲まれ動かなくなっていく・・それでもカイ兄ちゃんは止まらず動き回り取り囲まれないようにしていた。
「早く・・早くなんとかしないと」
私が使える選択肢の中にある攻撃魔法は全て、カイ兄ちゃんを魔法の爆発に巻き込んでしまう・・でも、このまま何もしなくても取り囲まれて死んでしまう・・それだけは、何もせず見頃すことだけは絶対に嫌だと悩んでいると、ふとカイ兄ちゃんの言葉が脳内によぎった。
「ルミナ・・もし、大事な仲間が敵に囲まれてしまって攻撃魔法を使おうとしても巻き込んでしまう状況に陥ったら、これを使うのを憶えていても損はないぞ?」
カイ兄ちゃんは、小さく詠唱しながら魔力を全身に巡らせると、庭の端っこの方にある木に右手を向けるとその木を囲むように地面から氷の塊がお父さんの背丈ぐらいにまで一気に出現した・・。
「凄い・・のかな?」
「あははは・・見た目は地味だけど、仲間を傷付けることなく敵をあっという間に制圧できる優れものなんだぜ?」
「うん・・・・」
教えてもらった後に何度も練習していた魔法だけど、爆発させる攻撃魔法の方が見た目が派手でスッキリ爽快で楽しかったから、いつの間にか練習しなくなった魔法だ・・・・。
そんな懐かしい会話と遠くの風景をぼうっと見ているようなふわふわした感覚からスッと自分の意識が地に付くようなクリアで研ぎ澄まされた感覚を感じると、遠くに見えていた景色が拡大され鮮明にカイ兄ちゃんの姿が見える。
全身ボロボロで苦しく辛そうな表情のカイ兄ちゃんを見た瞬間に私の今までの迷いはサッパリ消えていた。
「いけ・・水魔法フロストポール」
カイ兄ちゃんを囲む男達の地面が瞬時に冷気を放ちながら白く凍りつき、そのまま彼らの足を凍りつかせ動けなくなった時には全身を不純物が一切ない透明の氷で覆われ氷像と化した。
「・・やった、成功したよカイ兄ちゃん」
全身に研ぎ澄まされた感覚に包まれていた私は、数年ぶりに水魔法フロストポールを発動し長距離にも関わらずピンポイントの場所を凍らせることができた。
自分を取り囲んでいた男達が突然凍りついたことにカイ兄ちゃんは見渡しているけど、こんな遠く離れた場所にいる私のことなんて気付かないだろうと思っていたけど、カイ兄ちゃんは確かに私の方を見て笑うと右手に持っていたあの剣を空高く掲げて、キラッと陽の光を反射させた後にどこかへ走り去り姿が見えなくなってしまった。
それからの遠距離魔法授業は魔物から人へと変わり、命を奪うと言う行為に罪悪感が消え騎士団のために必要だと繰り返し教えられてきた・・けど、私はただ1人違う。
絶望的な戦場に1人取り残され退却する無様な騎士達のために追撃する帝国兵を迎え撃つため、心と命を削り疲弊して帰ってくるカイ兄ちゃんを守るのは私の使命だと・・。
そしてあの日・・・・あの街に駐屯している時に久しぶりに食堂天幕で会ったカイ兄ちゃんに、私は今の役職を伝え昔のように褒めて欲しかったのに上官を見るような瞳のまま敬語で褒められた私は全然嬉しくなかった。あの時みたいにクシャクシャって頭を笑顔で撫でて欲しかっただけなのに。
でも、そんなことより騎士団長が私をここに連れてきた理由が、カイ兄ちゃんを騎士団から強制的に除隊させるための立会人にさせられるとは夢にも思わなかった。
立場的にも騎士団長に従うことしかできない私は、何も言えず先に帰る副団長のアリアさんの背中を追って・・そして数日後に激戦地417高地へと向かったカイ兄ちゃんの消息不明と聞かされた私は、激しく後悔するも既に手遅れで何もできないことの毎日の中で、本当に何かができないかと考えた結果思いついたのが、全魔力を探知魔法に使いカイ兄ちゃんの居場所を特定することだと辿り着いた。
「・・絶対に見つける。絶対にどこかにいるはず」
私は団本部の屋上で星空が見える夜に1人、精神を集中させ魔力を探知魔法に乗せて全方位に解き放ちカイ兄ちゃんの魔力を探す・・・・・・も何も反応は無く、魔力欠乏症に陥った私の視界は真っ暗となりなんとか保っていた意識を失う直前に、ほんの僅かだけカイ兄ちゃんの魔力を感じ取った気がして意識を失った。
「・・・・いた、カイ兄ちゃ・・・・ん」
感想&評価ありがとうございます。
次回は本編に戻りますので、引き続きお付き合いをお願いします。




