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第92話 日菜子の未来

篠田日菜子はアイドル卒業と同時に、幼なじみの松田智也との結婚を発表した。


馴れ初め話は幼稚園の頃で、男の子に混じってよく遊んでいたためか本当に女の子なのかとからかわれることも多かった。


そんな中で智也は唯一、女の子として見てくれた上にこう言ったらしい。


「こいつは笑っている時はどんなアイドルよりも可愛いんだぞ。お前らにはわからないだろうけどな」


と言われたことで日菜子は彼に恋をして、ミューズナイツ覚醒後に長年の片想いが実ったのだ。


その話を聞いたファンのみんなは、作曲家として勢いに乗った智也に「女の子扱いしてくれてありがとう。その発言のおかげで日菜子ちゃんはアイドルになろうって思えたと思うと感謝しかないよ」というファンレターが多かった。


その馴れ初め話からすぐに結婚し、日菜子は歌手として活動をしていた。


智也は専属の作曲家で最近キーボードの練習をして、今やライブでもキーボードとしてサポートしていた。


グループ名は……「レモンハニー」。


そのレモンハニーは西武ドームでライブをする。


「篠田さん!そろそろ開場します!」


「はーい!今日はよろしくお願いします!ふぅ…」


「どうした?やっぱり緊張するか?」


「うん。やっぱりアイドルの頃から慣れてるとはいえ緊張するよ」


「何せあの時はグループとしてだったからな。ソロでドーム公演は初だもんな」


「まぁね。でもここまで来たらやるしかないよ。だって私は…猪突猛進の日菜子だもん!そのおかげで智也と結ばれたしね…///」


「ちょ、ここで惚気んなよ!恥ずかしいから!」


「本当の事だもーん♪」


「クッソー…いい性格になったな。スクールアイドルやってた頃はあんなに鈍感だったのに」


「昔の話はしないでー!」


「おーおー、また篠田ご夫妻が痴話喧嘩してるよw」


「夫婦そろって仲がいいねぇ♪」


「もうー!」


「バンドのみんなは相変わらず意地悪ですね…」


「いいからいいから!それよりも掛け声を日菜子ちゃん頼むよ!」


「ううー!いじっておいて酷い!じゃあいくよ!始めるレモンの香り!レモンハニー!」


「レッツゴー!」


日菜子の掛け声で、智也や他のサポートメンバーにも気合いが入り開演した。


最初の登場曲はレモン色の照明でステージが染められる。


そこでいきなり日菜子はポップアップで登場し盛り上げていく。


歌手として初のドーム公演に緊張はあるが、いつも通り猪突猛進で突き進んでいった。


その結果、武道館やさいたまスーパーアリーナ、幕張メッセなど大きな会場でのライブを果たした。


その自信を糧に今回もライブに挑む。


「みんなー!こんにちはー!」


「こんにちはー!」


「いつものコール&レスポンスいっくよー!」


「いえーーーーーーい!」


「よっ!元気?」


「めっちゃ元気ー!」


「日菜子を見たら?」


「大元気ー!」


「うーん!やっぱりこのコール&レスポンスはいつやっても気持ちいいね!」


「それ確か中学のスクールアイドルの時からやってたよな」


「やってた!あの頃はみんなの幼なじみ系アイドルだったよね!懐かしいなぁ…。智也はあの頃から作曲で支えてくれたし、私が入ってた当時のグループもスクールアイドル全国大会でも結果を残したよね」


「それは日菜子を筆頭に当時のメンバーの努力の結果だよ。とくに実力が高かった日菜子はメンバーによってSBY48のオーディションを紹介されたっけな」


「でもまさかそこで合格するなんて思わなかったなぁ」


「それに日菜子はかつてミューズナイツとして世界を救ったしな。おかげで今の日常があるって考えたら、平和がどれだけ尊くて当たり前じゃないってのを感じるよ」


「本当にね…。そんな尊い平和を願った新曲を聴いてくれますか?」


「Fu------!」


「ありがとう!じゃあ智也、早速タイトルコールしよっか!」


「あれか!よしみんな、早速行くぞー!せーの!」


「イエローピース!」


レモンハニーにとって黄色は平和と笑顔の色で、かつてアルコバレーノとして活動していた黄瀬千秋の笑顔をテーマに作ったものだ。


昔のライバルをリスペクトした曲はアルコバレーノファンにとっても嬉しい事で、日菜子の曲は日に日に注目度が上がっていった。


日菜子はその曲を笑顔で歌いきり次の曲へ入る。


アイドルほどの早着替えはもうないが、休憩中であろうと早く着替えてあまりファンを待たせないという意識は消えてなかった。


同時に自分はそそっかしいので余裕がないと慌ててしまう事も知っているのか、余裕を持って行動しようと心掛けていた。


最初はギリギリだったものが、智也との結婚を境に改善されたのだ。


中盤に入るとしっとりとしたラブソング系に入り、長い間片想いしてきた淡い曲を歌い上げた。


MCではもう馴れ初め話をしなくなったが思い出話は今も続いている。


そんなMCで少しだけアクシデントが発生する。


「そういえば日菜子、昔はよく男子と遊んでたけどさ。幼稚園の制服ってスカートだったよな」


「う、うん。それがどうかしたの?」


「当時は普段の服でスカートがなかったから、はじめてスカートを穿いた時はさ…お股がスース―するって言ってモジモジと…」


「きゃーっ!それは言わないでーっ!」


「それに激しく走り回ってたからおパン…」


「これ以上はNGだからー!もう怒ったもん!智也だって幼稚園に入りたての頃は女の子に間違われてスカートをはかされてたくらい可愛かったもん!」


「何でその事を覚えてんだよ!黒歴史だからやめろ!」


「あはははははw」


「もう!ファンに笑われちゃったじゃん!」


「はいはい!夫婦漫才はそのへんにしておいて!」


「ほらー!サポートメンバーに諭されちゃったー!」


「ちょっといじりが激しかったかな?」


「幼なじみだからって遠慮なさすぎだもん!もう…好き!」


「ヒューーーーーー♪」


「結局いつもの惚気になっちまったな。でもそんな日菜子だから遠慮なく本音で語れるし、本当に感謝している。あの時も助けられたしな、ありがとう」


「智也…!」


「さぁそろそろ後半だ。一気に飛ばしていくぞ!」


ライブも終盤になり、日菜子も智也もラストスパートをかける。


もちろんアンコールも控えているし、いざライブを終えるとアンコールをファンはする。


もちろんアンコールの衣装はレモンイエローには変わりないが、デザインの文字が毎年変わっていて毎年売り切れが続いている。


レモンハニーとして初のドーム公演は成功し、日菜子と智也は所沢から事務所であるクイーンレコードへ連絡する。


夜も遅いが幸い翌日の仕事はオフで少し寄り道していく。


「ここで私たちは出会ったんだよね?」


「ああ…。あの幼稚園はまだあったんだな」


「思い出すね…。智也がすぐに声かけてくれてさ、よく智也のグループに入れてもらってた。女子と仲良くもなったけど、男子と遊ぶ方が楽しかったんだよね」


「それは俺がいたから…なんて言わないよな?」


「さぁね、それはヒミツ♪」


「まったく…あざといのは変わんねぇな。なぁ日菜子…俺さ、日菜子との子どもが欲しいんだ。どうかな…?」


「智也…」


少しいいムードだったところで日菜子の元にタイミング悪く一通のメッセージが届いた。


いいところなのにー…と少し残念そうにする日菜子は連絡が来た携帯を手にして確認する。


せっかく口説いたのに残念な気持ちの智也は溜息をついた。


そのメッセージとは…


「もう、いいところだったのにー…。えーっと…久しぶりだね。突然だけど今年の大晦日に渋谷駅のハチ公前に集まってほしいので、仕事をオフにして時間を空けておいてください。秋山加奈子より。って加奈子先輩!?」


「加奈子先輩って、あの加奈子さんの事か!?ちょっと見せてくれ!」


「これだよ!」


「集まってほしいってまさか…同窓会でもすんのか…?」


「わかんないけど…ちょっと事務所に確認するね!」


「わかった!けどこの話は俺は乗らないでおくよ!多分メンバー水入らずで会いたいだろうしさ!」


「そうしてもらえるとありがたいよ!」


こうして加奈子の連絡が届いた日菜子は至急事務所に連絡する。


かつての恩師である秋山プロデューサーにも相談したところ、間違いなく加奈子のアドレスだという事が確認された。


日菜子はミューズナイツ同窓会という淡い期待を持って大晦日の日をオフにしてもらった。


つづく!

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