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第88話 ユメミール王国

東京ドーム公演やアイドル総選挙も終えたミューズナイツ一行は、久しぶりにユメミール王国へ行くことになった。


せっかく全員オフの日だからゆっくりすればいいのにと秋山プロデューサーは言うが、やっぱりあかりたちにとってユメミール王国はかけがえのない存在で、自分たちの夢が叶って今も追いかけられるのは、この国が陰で支えてくれたからというのと、感謝の気持ちを込めて訪れたいと聞かず日帰りで赴くことになったのだ。


あかりたちはワクワクしながら誰にも見つからないように代々木公園に向かい、いつもの入り口に集まり入る準備をする。


「ここに来るのも久しぶりデスネ」


「そうですね…。あのルシファーナとの戦い以来ですね…」


「あの時は本当に苦労したよなー」


「けどこうして平和でいられるのは本当にありがたいことですよ?」


「もうダメかと思ったところに加奈子先輩が駆けつけたのよね」


「正直、間に合うかギリギリだったんだよ?」


「それでも本当にありがとうございます」


「さぁ、入ろうか。その前に…パパ、そこにいるんでしょ?」


「バレてしまったか。実は僕も久しぶりに妻に会いたくなってね。ついでに日菜子が心配だからって聞かない子もついてきちゃったんだ」


「へへ…悪いな」


「智也!どうしてここに!?」


「日菜子が言ってた国がどうしても気になっちゃってな。俺も一目見てみたかったんだよ。それに…助けられたお礼も兼ねて行きたくなったんだ」


「なーんだ。そういう事ならついてきて!でも迷子にならないでね?智也は方向音痴なんだから」


「はは…善処するよ」


「それじゃあ改めて…入ろうか」


「はい!」


あかりたち九人だけでなく、ゲストとして秋山プロデューサーと、作曲の弟子入りしてもう一人立ちした日菜子の幼なじみの松田智也も一緒になる。


入口に入ると智也は緊張なのか少しだけ委縮していて日菜子の手をギュっと握る。


日菜子は大丈夫だよと握り返し、少しだけ智也は安心した。


ユメミール王国に着くと、前に行った去年末よりも復興が進んでて、本来の美しい中世から近世のヨーロッパの街並みになっていた。


智也は見慣れない異世界の風景にあたりを見回し、写真を撮るほど興奮していた。


あかりたちに気付いた国民たちは一斉に集まって歓声で迎え入れた。


「おお!この方たちが今のミューズナイツ!」


「よくぞあのルシファーナを倒した!」


「本当にありがとう!」


「おお…!日菜子たちってこの国では英雄なんだな…。いいのかな、俺がついてきても…」


「智也も陰で私たちを支えてくれたんだからいいんだよ!ほらほら、私についてきて!」


惚気(のろけ)はいいからちゃんと手を振れよなー。こんな機会は二度とねぇんだから」


「はーい」


「ミューズナイツ御一行さまですね!ようこそユメミール王国へ!そして女王陛下のご主人さまもよくぞいらしました!それでこの少年は…?」


「あ、えっと…俺はこちらの篠田日菜子さんの恋人で、こちらの秋山拓也さんの弟子の松田智也です。日菜子さんにはダークネスパワーに支配された時に助けられて、それ以降は陰で曲を作ったり、一般の人を巻き込まないように誘導してました」


「ということは…陰の騎士ですね!あなたもミューズナイツの関係者でしたら歓迎しますよ!ささ、王宮はこちらです!」


「王宮!?」


「まぁ城だからってそんなに遠慮する事はないんだよ?」


「とは言っても板野さん…。俺って一応部外者だからさ。勝手について来た俺が悪いけど…」


「緊張しそうになったら私から何とか説明するから、松田くんは安心してゆっくりしてて」


「加奈子さん…ありがとうございます」


あかりたちに気が付いて声をかけた兵士の男はすぐに王宮へ案内し、完全にゲストの智也をも受け入れて歓迎する。


あかりたちにとっては何度も訪れた王宮だったが、智也に至っては直接戦ったわけではないので緊張するものだ。


それも相手はおそらく、女王であるヴィオラなのだから緊張するのも無理はなかった。


王宮に着くと、ヴィオラ女王の美しい姿がお見えになり、智也は思わず息を飲んで見惚れた。


そんな中で日菜子は嫉妬する様子もなく、ただ「あの美しさは見とれるよね、わかるわかる」という目で見守っていた。


ヴィオラはあかりたちに気付き、すぐに玉座から立ち上がって声をかけた。


「女王陛下の御なーりー!」


「ミューズナイツの皆さん、よくぞおいでなさいました。あなたもお疲れさま。それでそちらの男の子は…?」


「僕の作曲の弟子で篠田さんの恋人の…」


「えっと…松田智也と申します。いつも日菜子さんがお世話になっています」


「まぁ、あの日菜子ちゃんの恋人さん…!うふふ、あなたも隅に置けないわね♪」


「えへへぇ…///」


「女王さまの前で何ニヤけてるのデース」


「だってぇ…///」


「この国もだいぶ復興が進み、かつての美しい夢のある国になりつつあります。今も人間界には夢が破れ、自暴自棄になって堕ちてゆく者もいますが、昔と比べると夢が叶わなくとも新しい夢を見つける努力をしたり、叶った後がスタートだと意気込むようになりました。おそらくミューズナイツがアイドルとして活躍し、たくさんの曲が評価されているおかげかもしれません。主人から聞きましたが、その曲を作ったのは松田くんかしら?」


「はい。俺が作りました」


「そう…。あなたのおかげでミューズナイツは度重なる苦難を乗り越えられました。本当に感謝します」


「いえ…元はと言えば、あの時に俺がアクムーン帝国の標的にされて、鳥かご型の檻に閉じ込められ魔物になった時に日菜子さんに助けられたんです。そんな中で秋山プロデューサーが俺を見つけ、こうして陰で支える側に回れています。ここまで来られたのも、かけがえのないミューズナイツや秋山プロデューサーのおかげです」


「謙虚でも自信に溢れるそのドリームパワー…あなたは将来、作曲家として大きな成長を遂げると約束するわ。さぁ国民の皆さん!こちらのミューズナイツと私の夫の秋山拓也、そしてミューズナイツを陰で支えてくださった客人を迎え入れ、復興記念の宴を開きましょう!ミューズナイツの栄光とユメミール王国の今後の繁栄に…乾杯!」


「かんぱーい!」


あかりたちは英雄として受け入れられて少しだけ照れくさくなったのか、乾杯の際に下を向いてしまった。


ひかりと麻里奈、日菜子、エマ、萌仁香は自信満々で、結衣と加奈子は謙虚ながらも堂々とし、麻友美に至っては緊張のあまりに乾杯が遅れるなどバラバラながらも息がピッタリだった。


宴を終えると、あかりたちは国を散策し、美しい歌声と楽器のハーモニーを聴き日帰りの観光を堪能した。


一方の客人の智也はこんなフレーズがあったんだ…と興味津々に図書室の楽譜に夢中になり、司書さんも感心するほどの集中力を見せた。


秋山プロデューサーはヴィオラ女王と加奈子の家族水入らずで会話をし、SBY48がワールドアイドルオリンピックで銀メダルだった事、加奈子がアイドルを引退して世界を旅する事、四年後にリベンジする事、総選挙であかりが一位を獲った事を話した。


夕方になり帰る時間となったあかりたちは、ヴィオラ女王に挨拶をする。


「すみませんヴィオラさん、ちょっと長居しすぎちゃいました」


「いいのよ。あなたたちはこの国の英雄なんだから、もう少しゆっくりしていってもよかったのよ?」


「とは言っても…そうはいかないんです。加奈子先輩の卒業ライブがあるので、アイドルとして仕事をしなければならないんです」


「という事なんだぜ。よかったらヴィオラさんもライブに来いよ」


「萌仁香たちはいつだって待ってますからね!」


「二人とも…女王様の前ではしたないわよ…?」


「うふふ、構いませんよ。私たちとの仲なのだから。それじゃああなた、いってらっしゃい。愛しているわ」


「ああ、僕も愛してるよ。それじゃあ…娘の最後の勇姿を見守るために、いってきます」


チュッ


「きゃー!///」


「パパとママはいつもこうだよ?」


「だとしてもいざ見ると恥ずかしい…」


「さすが一人娘…毎日見慣れてやがるぜ…」


「デスネ…」


「ミューズナイツが旅立たれる!敬礼でお見送りを!それでは…いってらっしゃいませ!」


ユメミール王国民とヴィオラ女王に見送られ、あかりたちは日帰り旅行を終える。


人間界の代々木公園に戻り、劇場にて最後の調整を行う。


そしてついに…加奈子先輩の卒業公演が行われる。


つづく!

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