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第73話 悪夢の美

萌仁香はルシファーナの口調による挑発に乗り、簡単に攻撃を受けてしまう。


しかも前のようにパワーだけのものではなく、しなやかさも兼ね備えている為、よりパワーが最大限出るように活かされていた。


結衣はこうなる事を少しだけ恐れていたが、いざ本当にそうなると恐怖さえも感じた。


「さすがに弱点を分かっていないわけではなかったわね…」


「やっぱり女帝だからあえてパワー重視で様子を見たのかもしれない…」


「それよりも萌仁香!大丈夫デスか?」


「うう…大丈夫です…!」


「ハンマーの面積が盾になってマシって感じだね」


「よくも萌仁香を…許さねぇ!」


「オーッホッホ!おバカさんがアタシの挑発に乗っただけでしょう?夢見るおバカさんはアタシの美貌と悪夢に負けて無気力になればいいのよ!それともまだ悪夢を見足りないかしら?」


「一筋縄ではいかなさそうですね…」


「麻友美はさっきの頭脳戦でもう疲れているかぁ…。こうなったら私も頑張るよ!」


「日菜子に続けー!」


日菜子と麻里奈はいつものノリと勢いでルシファーナに突っ込む。


しかし、ただ突っ込むだけでは当然ルシファーナには勝てない。


そんな事は二人もわかっていた。


だからこそ二人は二手に分かれて近づいて攻める。


「あら?その中でもとくにおバカさんがない頭を絞っているのかしらねぇ?慣れない事して頭が痛くなっても知らないわよ?」


「うっさい!アンタなんかに言われてもどうでもいいし!」


「それにバカで結構だよ!私たちはバカなりに考えてお前を倒すって決めたんだから!」


「何度挑んでも無駄なのよ!死になさぁい!」


「今だっ!ウィリアムテルショット!」


「きゃっ!」


「額に当たったっ!」


「ここで決めてやる!はぁぁぁぁぁぁっ!」


「近づけたことは褒めてあげるわ!でも残念ね!アンタは地雷を踏んだのよ!」


「ふんだ!お前を狙ったわけじゃないし!」


「はぁ?じゃあ錯乱しちゃったのかしら?」


「エマ!」


「準備OK!Barn!」


「うぐっ…!」


日菜子はルシファーナの視線をこっちに移るように、あえて空振りをしてエマから視線を外させる。


すると今更気付いたルシファーナはエマの弾丸に命中し、胸から黒い血が流れだした。


だが五秒くらい経つと、先ほど撃たれた胸と額は回復し、あかりたちは絶望しかけた。


「ふん!ダメージを与えてくれたことは褒めてあげるわ!だけど残念ね…アタシの美しさは無限なのよ!故にどんなにダメージを与えても回復するから無駄よ!今度はアタシの番ね!死になさぁぁぁぁぁぁいっ!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」


ルシファーナの自動回復と同時に、日菜子と麻里奈はカウンターを喰らい、結衣とひかりが受け止めるもあまりの強さに体ごと押され後ろに追いやられる。


さすがの力自慢の結衣とひかりでさえ支えるのが精いっぱいで、最終的に圧し掛かられるように後ろへ倒れ込む。


あかりとエマに起こされて立ち上がり、次はどうするか作戦を考える。


すると麻友美はまた何かひらめいた。


「スピードとパワーで敵わないなら…今度は体力勝負にしましょう…!」


「体力勝負…?」


「この中で体力があるのは恐らく…ひかりさんと結衣さん…そしてエマさんですね…。ひかりさんはストリートバスケで鍛えた俊敏性…。結衣さんはトレーニングで鍛えたパワー…。そしてエマさんは最近チアリーディングを始めたらしいですね…?」


「応援団デスからチアガールも練習してるのデス」


「そのしなやかさを活かしてルシファーナに奇襲をかけましょう…。それに二人のパワーならアクロバットな動きもサポート出来るはずです…。エマさんのその銃口にある銃剣に全てがかかってます…」


「だったらさっさとやろうぜ!」


「ダメよ!やるとしてもタイミングがバレたら、エマだけがダメージを受けるわ!その為に対策を考えないと…」


「心配いりません…。私とあかりさんが援護します…。幸い私は休んでから体力も残っていますし、最近トレーニングを始めてから基礎体力だけはついてきましたから…。頼りない私ですが…たまには頼ってもいいんですよ…?」


「麻友美…成長したわね…。だったら私とひかりでエマをサポートしましょう!」


「背中を預けるデス。失敗したら恨みマスからね?」


「うるせぇ!少しは普通の頼み方しろよな!でもやってやるぜ!いくぞ!」


「うん!」


萌仁香と日菜子、そして麻里奈は負傷していて動けないため、残りの動けるあかりと麻友美が援護に入り、ひかりと結衣が一撃必殺のエマの土台になる。


エマは重大な役割なためイギリスの英雄に祈りを捧げ心の準備をする。


あかりと麻友美はルシファーナに立ち向かい攻撃を仕掛ける。


「アンタたちがアタシの悪夢の美に酔いしれるのね!アタシの手で永遠に眠り悪夢にうなされなさい!」


「そんなことさせないもん!私たちの夢は私たちが決めるんだ!」


「悪い事が美だなんて私たちは嫌です…!もっと自分を信じ…あなたを倒します!」


「無駄なあがきはおやめなさい!ふんっ!」


「きゃぁっ!」


「乗ったデース!」


「こっちも準備できたわよ!」


「一気に上に飛ばすぞ!せーのっ!」


「それっ!」


「いけ!エマ!」


「Yes sir!」


「ふぅ…やれやれね。おとなしく悪夢の美に酔いしれればいいものを…」


「どこを見ているのデース!?」


「え…?」


「アナタはちょっと集中しすぎて周りが見えないのが弱点デース!やっぱり目が前にある以上は視野が狭いデスか?」


「しまっ…」


「それっ!」


「ぐはっ…」


「やった!銃剣で喉を刺した!」


「Non non…近づいたのはエマだけじゃないのデース…」


「え…?結衣ちゃん!ひかりちゃん!」


「一気にかち割ってやるよ!ダイナマイトボンバー…エネルジコ!」


「味方の背中を預けても敵に背中を見せさせる!それが私の作戦よ!スカーレットラッシュ…アパッシオナート!」


「ぐはぁっ…!」


「とどめはエマデース!この一撃で吹っ飛ぶのデース!オーシャンバーン…アジタート!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…!」


ルシファーナの第二形態は断末魔も美しく、そのまま散っていった。


ひかりとエマはハイタッチをし結衣はホッと一息つく。


あかりと麻友美もさすがに安心し、座り込みながらもすぐに立ち上がって萌仁香たちの元へ行く。


ところが…悪夢はまだ終わってなかったのだ。


突然黒い雷が一カ所に集中して落ち、次第に黒い炎が燃え盛ると祭壇は崩れ落ち、城も崩壊していった。


あかりたちは急いで脱出し、負傷者を手分けして運んで外に出る。


するとルシファーナは巨大化し、身体は美しく仕上がり服装は王子様のようなきらびやかな服装からプレートアーマーになり、背中からドラゴンのような翼、口元は吸血鬼のようなキバ、ツメは人狼のように鋭く目はメデューサのように石にしてしまいそうな目つきだった。


プレートアーマーといっても、所々錆びていて欠けているところもあり、完全に守られているわけではなかった。


それでも頑丈そうな鋼鉄の身体で守られ、もはや騎士王という風格さえあった。


ルシファーナは雄叫びを上げながらあかりたちを挑発する。


「ふははは!愚か者どもめ!これで終わりだと思ったか!私の悪夢には終わりがないのだ!せいぜい夢見る乙女ぶって、悪夢という現実に絶望するがいい!そして己の罪深き行動を後悔するのだ!」


「まだあるのデース!?」


「もういい加減しつこいぞ!」


「早く終わらせたいわね…」


「うう…」


「日菜子ちゃん!萌仁香ちゃん!麻里奈ちゃんも大丈夫!?」


「えへへ…。このくらいでくたばったりしないよ…」


「萌仁香たちを誰だと思ってんのよ…?」


「アタシらだって夢と未来の騎士なんだ…。そう簡単に死なないって感じ…?」


「皆さん…!諦めるのはまだ早いです…!どんなに壁が厚くても…壊せない壁はありません!壊せなかったとしても途中で諦めるか…壊す方法を知らないかだけですから…諦めずにエンプサーナを倒しましょう!」


「麻友美…!」


「うん!いこう!」


つづく!

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