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第65話 豪力テルプシコラ

ひかりは睡眠を心掛けるも、なかなか寝付けずにどうすればいいか考えた。


がやっぱり考えるほど眠れなくなるとすぐに考えを改め、いっそ寝る事だけに集中しようと試みる。


すると冬というのもあってベッドの温かさでぐっすりと眠った。


ひかりが夢見た世界は、古代ローマの建物が多く並んでいる町だった。


町なのに人が少ないどころか、いない事に疑問に思ったひかりは不安げに歩いてみる。


「どうなってんだよ…?町なのに人が誰もいないなんてよ…。やっぱり夢の中といっても異世界だと違うのか…?」


古代ローマを思わせる建物が並んでいるのに、不思議と人がいない事に不安を覚えたひかりは、歩きから小走りに変えて移動する。


それでも人が誰もいないのでふと目に入ったコロッセオ風の建物の中に入ってみる。


するとステージには腕まくりをした女性が仁王立ちして誰かを待っているような態度だった。


ひかりはその女性に興味を持ち、とりあえず声をかけてみる。


「よぉ。ここで誰を待っているんだ?」


「ん?ああ、アタイはここでアタイと同格の騎士を待っているのさ。アタイと同じドリームパワーを持ったミューズに選ばれし騎士をな」


「ミューズに選ばれたドリームパワーを持つ騎士…それってオレの事か!?」


「お前がミューズに選ばれし騎士だと?へぇ…自惚れだと思ってたけど目を見ればわかるぜ。その発言が事実だって事をな」


「ムカつくって思ったけど…オレもよくそうやって人を怒らせたっけなぁ…」


「お前、名前は何ていうんだ?」


「オレは高橋ひかりだ。お前は何だ?」


「アタイか?アタイは…テルプシコラってんだ」


「そうか…お前がオレの探してた初代ミューズナイツ…!」


「ミューズナイツを知ってるだと?じゃあお前が後輩ってわけか!」


「おう!会えて光栄だぜ先輩!」


ひかりとテルプシコラは性格が似ているせいか、すぐに意気投合し世代を越えた友情を感じた。


最初は遠慮がなさすぎて腹が立つと思っていたが、お互いに自分もそうだと見つめ直し同時に仲良くなれそうだとも思った。


ナポレオンジャケットにも関わらず腕まくりをするテルプシコラの豪快さにひかりは感銘を受け、自分より力が強そうだと予感した。


テルプシコラはひかりを見てさらにこんな事を言った。


「ひかり…奴が復活したんだろ?ルシファーナ…悪夢の女帝と呼ばれる悪魔がよ」


「やっぱりわかるんだな…」


「まずアタイを探すって事はドリームパワーを持つ者にしかわかんねぇよ。アタイは少なくとも人間界の人間じゃねぇし、普通の人間に見つかるわけねぇからな。まぁおそらく…このアタイの試練を受けてアタイを越えたところで討伐するんだろ?だったら話が早い、協力するぜ」


「話が分かる人でよかったぜ!」


「んじゃあ早速聞くぞ。ひかり…力強さとは何だ?」


「げっ、いきなり質問かよ…!」


「お前がパワー派だというのはアタイの勘でお見通しだぜ?いい筋肉しているからな。さぁ早く答えろよ」


「それは…」


テルプシコラのあまりの圧に、ひかりも少し遠慮気味になり力強さとは何かと言われて言葉に詰まる。


ひかりは難しい事や理論的な事が苦手で、いつも感情のままに動いていたからいざそう言われると悩ましいものだった。


考える時間が長くなると、次第にせっかちなテルプシコラもイライラしはじめヤバいと焦りも生じる。


だがひかりはもう考えても無駄だと思うようになり、自分の気持ちを正直に伝える。


「まぁそうだな…力強さは筋力やパワーが優れていることだけに囚われてると、いつか自分の目的や目標をも失うだろうな。力に溺れると誰もが自分より弱いやつをターゲットにして自分は強いと錯覚を起こし、結局心が弱いままになるだろうな。もし心の力が強ければ…自分をもっと磨き続け成長を促すと思うぜ。だってそれは…弱さを認めたうえで強くなろうと頑張るって事だからよ。オレは…正直それが出来ているかなんてわからねぇ。わからねぇからこそもっと体だけでなく、心も鍛え抜いて本当の力強い生き方をしたいって思う!」


「へぇ、まだ未熟なガキだと思ったけど魂を感じるぜ…。なるほどな…その心の強さで自分の夢だけでなく他人の夢を応援するって事でいいんだな?」


「ああ。心まで強くなきゃ嫉妬で他人の足を引っ張ろうとしてしまうからな。夢に向かって突き進む力強さだけでなく、他人の背中を押してあげる力強さもなければ信用されねぇしよ」


「そうかい…。心の方はアタイが鍛える必要はねぇな。だが…実力が伴ってねぇとそれはただのビッグマウスになるぜ?お前、覚悟は出来てんだろうな?」


「ちっ…やっぱただで合格させるわけねぇよな。上等だ!絶対に先輩に認められるように勝ってやる!」


ひかりとテルプシコラは大斧を両手に構えて戦闘体勢に入る。


テルプシコラは地面に突き刺していた斧を片手で軽々と引き抜き、ひかりはこれで自分以上の力自慢だと察しが付く。


それでも無情にテルプシコラは片手で大斧を振りかざし、ひかりよりも圧倒的なパワーで地面を破壊する。


「うおっ!?何てパワーだ…オレや結衣以上だぜ…!」


「何だ?お前の力強さはこんなものでビビるほど見せかけだけか?」


「面白ぇ!見せかけじゃねぇってところを見せてやる!」


ひかりとテルプシコラはそれぞれ大斧で鍔競り合いをし、両者一歩も引かないパワーを見せ合う。


それでもテルプシコラは片手で大斧を扱っているので、ひかりもいつもなら自分もと対抗するがそれでは自分が不利だと思い我慢して両手で挑む。


だがそれが仇となってしまった。


「両手だと確かに体の負担は減るがよ。それじゃあ可動域が狭くなり隙がガラ空きだぜ!うらぁっ!」


「うがっ…!」


テルプシコラが放った一撃がひかりの胸部に命中したものの、わずかなドリームパワーで直撃を防ぐ。


それでも一撃が重いので、ひかりは少しだけ呼吸が苦しくなる。


ひかりが苦しさのあまりにうつむくとテルプシコラは容赦なく襲いかかった。


「これでとどめさしてやる!終わりだ!」


「やっぱりアンタはすげぇや…。オレの力じゃ敵わねぇよ…。でも…諦めない限りパワーは無限大だってな…。NBAの選手がみんな言ってたんだ…。オレは最後まで諦めねぇ!先輩!オレの一撃を喰らいやがれ!ダイナマイトボンバー…エネルジコ!」


「な…!このパワーはアタイが生み出した時のダイナマイトボンバーエネルジコと同じ…いやそれ以上だ!ぐはぁっ!」


「はぁ…はぁ…!っしゃー!」


「うぐ…まったく…お前はこのアタイを一瞬で越えやがって…。少しは手加減しろよと言いたかったがお前には無理そうだな。これでアタイはこの世に未練がなくなった。お前は自分の体だけでなく心をつよく信じ力強い生き方をするんだぞ」


「うっす!先輩!鍛えてくださりありがとうございました!」


「最後に一つ言わせてくれ!力を付けたからって怠けたり驕ったりすんじゃねぇぞ!その瞬間から蹴落とされたり勝手に落ちたりするからな!」


「当然だ!オレはさらに高みへと登り続けるぜ!先輩との約束を果たすから見守っててくれ!」


こうしてテルプシコラと別れ、最後に力強さとは何かというものを教わった。


ひかりは自分が元々持ってた身体的パワーだけでなく、心の力強さを兼ね備えた真のパワーファイターへと成長した。


こうしてひかりは夢の世界から目覚めた。


つづく!

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