第49話 封じられた麻友美
麻友美は右腕を石にされてついに動きを封じられた。
あかりたちにとって麻友美の頭脳は欠かせない存在なのでかなりの痛手を負った。
ゲーツィスはそれを一瞬で見抜きあえてツバを吐いて石にしたのだ。
余裕の笑みを浮かべたゲーツィスは挑発するようなトーンでこう言う。
「どうした?夢と未来を守るのではなかったのか?」
「まさか麻友美が封じられるなんて…」
「そんな…!麻友美先輩の頭脳は萌仁香たちにとってありがたい存在なのに…」
「心配いりません…。腕は使えなくなりましたが…まだ声は出せます…。希望を失えば…誰がこの世界を守るのですか…?」
「麻友美…あなたは強くなったわね。私もここで負けていられないわね!」
「結衣さん…!」
「麻友美ちゃんがここまで頑張ってるんだもの…。私だって…諦めずに来たからみんなに追いつく事が出来たから…絶対に負けない!」
「あかりさん…!」
「潔くないな…ならばここで貴様ら全員まとめて地獄の底へ落としてみせようぞ」
ゲーツィスは杖を地面に強く叩きつけて地響きを起こしミューズナイツをけん制する。
それでも運動神経抜群のひかりと日菜子の二人は軽々と高くジャンプして飛び越え一気に叩きつける。
壁がない今は攻撃も通るし無敵ではない事がわかったので遠慮なく攻撃を仕掛けられるのでひかりにとってはやりやすかった。
麻里奈とエマも援護射撃しつつも近接攻撃でかく乱をする。
萌仁香も力いっぱいのハンマーで一気に叩き潰しゲーツィスの杖も間に合わなくなる。
そしてあかりは切っ先にドリームパワーを一点に込めて突撃をする。
「ここで一気に決めるんだ!ローズスプラッシュカンタービレ!」
「ぐわあぁっ!」
「やった…!胸元に切っ先を当てられた!」
「ぐぅ…なかなかやるではないか。だがこの武器が杖だといつ言ったのかね?」
「何だって…!?」
ゲーツィスは杖を突然握り替え、まるで剣を抜くように抜き始めた。
それは杖と見せかけて叩きつければ魔法が使える強力な両手剣だったのだ。
あかりたちはまだ本気じゃなかったことを悟り、調子に乗った自分たちを反省したがもう手遅れであった。
「私を本気ににさせたことを褒めてやろう。これで貴様らはもう終わりだ!ふんっ!」
「きゃあぁぁぁぁぁっ!」
「どうだ、我が魔剣エスカリボルグは。大した威力であろう。」
「たった一振りで当たってもないのになんて風圧なんだよ…!」
「Oh no…こんなの聞いてないデース…!」
「今までが本気じゃなかったってマジかよ…!」
「けど…それなら倒せばいいだけの話だと思うよ…?私に続いて…!」
「加奈子先輩…」
「これだけ力の差を見せつけられてもなおまだ立ち上がるというのか…。人間は何ともしぶとい生き物なんだ…。ここで諦めれば何もかも失い、楽になれるというのに哀れな生き物よ」
「黙りなさい…。哀れだと思うなら勝手だけど…誰かの夢を奪って…自分さえ叶えればいいって…最悪にカッコ悪いでしょ…?誰かを陥れて自分だけ幸せなんて…その夢を諦めざるを得ない人にとって…最悪の不幸なんだから…。あなたにはわからないでしょうけどね…」
「こんなに追い詰められてもまだ他人を気遣うか…所詮は弱き人間よ」
「何が悪いの…?格好を気にしたっていいじゃない…。どんなにカッコ悪くても…頑張る姿はいつだってカッコいいんだよ…。だから私たちは応援したくなる…。だから私たちは見守りたくなる…。それは私たちにやっているファンも同じ…。みんなそれぞれ夢があるから…お互いに支え合って応援して成長して叶えていくものなんだよ!なりたい自分と現実の自分に悩みながら…どうすればいいかを試行錯誤して未来に生きていくんだよ!あなたのような悪夢を与える奴に…私たちは負けたくない!」
「ほざけ…ならばさっさとかかってくるがよい。貴様らの戦闘力ではこの私に敵わないがな」
「やってみないとわからないよ!私たちは騎士として…あなたを倒して平和を取り戻してみせる!みんな!」
「うん!」
「あのっ!私にいい考えがあります…!ゲーツィスは風圧だけで私たちを吹き飛ばす事が出来ますが…杖の時と比べてやや大振りになり隙が出来ると見ました…。両手で扱うので片手で振り回すよりは楽ですが…やはり動きがやや鈍っているのがわかります…。そこで…同じ両手持ちの萌仁香さん…結衣さん…ひかりさん…そして私に一撃を…託してください…」
「燃えている…。麻友美があんなに燃えている…」
「オッケー。せっかく麻友美が本気を出しているんだ。アタシら遠距離組は援護させてもらうよ!」
「でもエマの銃剣で近距離攻撃も仕掛けるデース!」
「まだ麻友美の右腕は石にされているからゲーツィスの呪いを解く方法を探そうよ!」
「こうなったら一気に行こうぜ!」
「いいわ!任せて!萌仁香の一撃でアイツにギャフンと言わせるんだから!」
「じゃあいくよ!よーい…ドン!」
加奈子の合図でそれぞれのポジションに着き麻里奈は素早く装填して矢を放つ。
エマも装填に時間をかけずに発射の準備をして連射をする。
同時に近づいたら銃剣で戦う用意もする。
あかりと加奈子、日菜子の片手武器組は接近戦に持ち込んでゲーツィスを後ろへと追いやる。
それでもゲーツィスは両手剣を軽々と動かし両手でコントロールする。
そこで隙を突かれたあかりは片手に持ち替えられたゲーツィスにハーフソードという持ち方で胸元を刺されかける。
ギリギリのところで加奈子がランスを伸ばして弾き返しあかりは一命をとりとめた。
「先輩!ありがとうございます!」
「大丈夫?あかりが無事で本当によかったよ」
「まだまだっ!えいっ!えいっ!」
「攻め続けたところで結果は同じだ。せいぜい攻めすぎて疲れるといい」
「今だよ!エマ!麻里奈!」
「OK!オーシャンバーンアジタート!」
「よしきた!ヒーリングショットレガート!」
「何だと…!ふんっ!」
「マジで!?」
「Oh my gosh!アレを防ぎマスか!」
「不意打ちで裏を返したことは褒めてやろう。だが詰めが甘かったな」
「詰めが甘いのはどっちかな?オラアッ!」
「また貴様か…兄も考えずに突っ走るなど血迷ったのか?ふんっ!」
「うわあっ!」
「一発!ドカーン!」
「ぬおっ!?」
「今よ!スカーレットラッシュアパッシオナート!」
「ぐはあぁっ!」
「やりました…!」
「くっ…!人間はやはり成長するが故に厄介な存在だ…。しかしまだあの女の右腕は石になったままだ…。このツバの効果は1時間後には元に戻ってしまうのでな…。短期決戦に切り替えようではないか。どの道貴様らはここで死ぬがね!」
「止めてみせます…必ず!今は動けなくても…長期戦に持ち込んで…皆さんと豪慰留してみせます!」
つづく!




