13. 魔法習得 ②
深い朝靄に包まれたアルフヘイムの森の中を一組の男女が確かな足取りで歩いて行く。アルフヘイムの森は別名迷いの森(妖精の森)とも呼ばれ、人々が一度入れば妖精によって惑わされ二度と出ることが叶わないとも言われている。だがそれはあくまでエルフ以外の種族の話だ。
彼らエルフはこの森の中にあるエルフの里に住んでいる。妖精や精霊はいわば同族のようなものだ。先に書いた男女も恐らくはエルフなのだろう。
「フリージア、もうすぐ世界樹だ。大丈夫かい?」
先に歩いていた男が振り返って女を見た。
「ええ、私は大丈夫。でも長老も無茶なこと言うわよね。3日以内に世界樹へ行けだなんて」
「全くだ。お陰でこの3日間歩き通しだ」
「何があったのかしらね」
「さあね。まさか僕らが還ることになる訳がないだろうし。あ、でも君とならいつ還ってもいいんだけどね」
「まさか、まだあと1000年くらいは還らないと思うわよ、フランシス。それより日の出が近いわ。辺りが明るくなってきたもの」
二人が前を向くと、巨大なシルエットが朝靄の中に浮かび上がって来ていた。それは木というには余りにも巨大な周りの木々を遙かに凌駕する世界樹の影だ。
「急ぎましょう」
二人は足を速めて世界樹の方へと進んで行った。
颯太がこの世界に来て二ヶ月が過ぎた。相変わらず図書室に籠もって魔法の勉強をしているが、自身の身体強化以外の魔法は使えない。魔法陣なども寸分違わず書いてみるが発動しない。
「あー、もうっ、何で発動しないんだ?」
颯太は何度目かの声を漏らした。
「ねえ、セイガ、やっぱ俺って魔法の才能ないんじゃないの?」
「普通、人族は魔法を使えないとはいわれているが・・・でもアレクは立派に使えていたしな。お前が使えないということはないだろう」
「でも、どうやったら」
「焦るな、焦るな。まず、魔法陣などの難しい魔法ではなく集中して手の平に火の玉を作って見ろ。それからだ」
「えー、それが出来ないから魔法陣書いてみたのに」
「文句を言うな。そう言えば、ソータは光の属性が強く出ていたな。火の玉ではなく光の球をイメージして手の平に出してみろ」
颯太は言われた通り光の球をイメージして手の平を上に向けた。
「・・・・・・」
暫くまったが、結局何も出ない。颯太はその後何度も挑戦したが何も変化はなかった。これにはセイガも焦りだした。セイガ自身は始めから何の苦もなく魔法がだせたのだからどう指導していいか分からない。そこで思い出したのが、アレクはかつてズデーデン王国で精霊魔法を学んだことだった。来月には秋分点がある。黄金の道を通ってズデーデン王国に行こうかと思ったところ・・・
「セイガ様」
マルコムが何時になく慌てた様子で、図書室へとやって来た。
「地下の宝物庫の整理をしていたところ、聖剣が光っております。何時から光始めたのかは分かりませんがどう対応いたしましょう」
これで第一章は終了です。次回からはいよいよ第二章に移行します。颯太が館を出て初めてこの世界の中へと出ていきます。今後の励みになりますので☆ボタンとブックマークをよろしくお願いします。




