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第15章 新たな道

 卒業式前日、今日は卒業パーティーだ。卒業パーティーは卒業式前日にあり1、2年生との最後の交流ができるイベントだ。お昼頃から夜にかけて行われる。卒業式では1、2年生は家族以外出席不可なので卒業パーティーができたそうだ。エミーリアも朝からドレスに着替えたり髪を結ってもらったりしている。学園の寮で準備しているので大変だ。本来なら複数人の侍女がやるのだが寮の中では基本一人しか従者をつけれないので侍女1人だけで行わなくてはならない。そのため朝からではなく昼からなのである。何とか支度を時間内に終わらせる。「ありがとう。大変だったでしょうに。」とエミーリアは侍女に言う。侍女は首を横に振り「全然大丈夫でしたよ。エミーリア様の晴れ舞台ですからね。いつもより丁寧に準備しました。とてもお綺麗ですよ。」と言う。エミーリアはシリウスから送られた黄色のドレスに青色の髪飾りをつけている。髪型は三つ編みハーフアップである。ゲーム通りだとルートによって卒業パーティーか卒業式当日に婚約破棄され国外追放になる。確か私が知っている限りではルシアン様とルークのルートであれば卒業パーティーでシリウス殿下とレオ殿下のルートであれば卒業式当日だったはず。もちろん絶対に国外追放になるという訳でもないのだろうけど正直怖い。前ならこんな気持ちになんてならなかったのに…今はみんなと会えなくなるかもしれないと思うと怖くなる。でも今の学園での最後の時間だからこそ怖い気持ちより今は楽しい気持ちで塗り替えたい。そんな決意を固め部屋を出る。ゲームであれば既にシリウスはエミーリアに愛想をつかしていて卒業パーティーでエスコートされることはなかったけど実際どうなんだろう?と考えながらパーティー会場の扉の前でパーティーの開始を待つ。すると後ろからシリウスが来る。「エミーリア、そのドレス来てくれたんだね。似合ってる。良かったらエスコートさせて欲しいな。」とエミーリアに言う。エミーリアは少し安心したのか気が緩んだ。「ありがとうございます。シリウス殿下。もちろんお願いします。」と言う。すると会場の扉が開く。シリウスにエスコートしてもらいながら中に入る。会場には既に1、2年生がいて拍手で迎えられる。このパーティーは楽しむことが中心なので特に決まったルールはない。会場の中に入り全員が入り終わると校長先生が出てくる。「3年生の皆さん。明日でご卒業となり名残惜しいとは思いますが今日という日を楽しく過ごして貰えたら嬉しいです。1、2年のみなさんも参加ありがとうございます。3年生の皆さんの新たな門出を祝し存分にお祝いしてあげてください。」とパーティーが始まる前の挨拶をする。そしてパーティーが始まる。みんなどこだろ?とエミーリアがきょろきょろ周りを見回していると後ろの方から「エミーリア様。」と複数人がエミーリアの名前を呼ぶ声がして振り向くとルークも含め全員いる。そして全員が揃い楽しい時間を過ごす。沢山並んでいる料理やスイーツを食べたりダンスをしたり他の3年生や後輩たちともお話をしたりと楽しむ。最初のダンスはいつも通りシリウスと踊りその後みんなとも踊ったのでエミーリアは結構疲れている。少し休もうと1人テラスへ出るとこっちへ来る足音が聞こえる。「エミーリア。ついに卒業だな。」とジェイドの声が聞こえる。咄嗟に振り返ると飲み物を2つ持ちながらジェイドが来る。「ジェイド先生。そうですね。未だに信じられないというか実感がありませんよ。」と笑いながら言うとジェイドも少し笑い「だろうな。」と言い飲み物を手渡す。「ありがとうございます。久しぶに沢山ダンスを踊ってすっかり疲れました。」と疲れた様子で言う。「ダンスか。ここでも音楽がはっきりと聞こえるな。エミーリア、良ければ1曲踊ってくれないか?」と飲み物をテラスのさくに置き言う。エミーリアは驚いた様子だ。まさかジェイド先生にもダンス誘われると思わなかったな。何気に初めてな気がする。と思いながらも手を取る。「はい。」と言うと音楽に合わせて踊り出す。「ジェイド先生って案外なんでもできますよね?魔法のことはもちろんですし剣術や今のようにダンスとか。すごいですけど何者なんですか?」と笑いながら言う。「そう言ってもらえて光栄だよ。何者ね。ただの教師に過ぎないさ。」と少し意味深に言う。ただの教師って…絶対もっとすごい人な気がするけど話したくなさそうだし話題変えようかな?「ジェイド先生と出会ってもう3年ですね。3年間相談に乗っていただきありがとうございます。それとずっと気になってたんですけど眼鏡なんで外さないんですか?外した方がかっこいいですよ。」と踊りながら言う。「そうだな。なんでと言われると難しいが教師になりたての頃はよく外していたんだが女子生徒たちが騒いでしまって勉強が手につかなくなってしまって大変だったから眼鏡を付け始めたんだ。この眼鏡には認識阻害の魔法をかけてあるんだ。」と説明する。「なるほど。そういう事ですか。たしかに先生モテますからね。」とからかうように言う。ジェイドは曲が終わると同時にエミーリアを抱き寄せる。「大人をからかった仕返しだ。まぁ今俺の素顔を知ってるのはエミーリアだけだよ。優秀な弟子が卒業してしまうのは寂しいな。」と抱き寄せながら言う。体制を戻しエミーリアは顔を赤らめながら笑っている。「弟子でいいんですか?確かにもう会えなくなるかもしれないと思うと寂しいですね。」と寂しそうに言う。「もちろん。もう立派な弟子だよ。王宮には度々寄るから安心しなさい。剣術もまた見るから腕を上げておくように。」と言うとエミーリアの頭を撫でる。エミーリアは嬉しそうにしている。ジェイド先生に撫でられると安心するな。色んな不安が無くなっていく。それと同時に会えなくなる訳じゃないのはわかってるけどやっぱり寂しいな。と思うとジェイドに抱きつく。ジェイドは戸惑いながらもエミーリアを引き離そうとするが離れない。「もう少しこのままでいさせてください。」としばらくこの状態でいる。はっと思いついたのかしばらく経って顔をあげる。「学園を卒業しますし先生はおかしいですよね。これからは師匠って呼びますね。」と笑いながらいいエミーリアは会場に戻っていく。「ほんとにうちの弟子には困ったものだな。抑えが効かなくなりそうで困る。」とジェイドは1人呟く。何事もなくパーティーは過ぎていく。終盤になりエミーリアは声をかけられる。「エミーリア先輩、ご卒業おめでとうございます。」と1人の女生徒が言う。2人女生徒が駆け寄ってきて「他にもエミーリア先輩に挨拶したいって方が山ほどいるのですが予定が合わなかったりと来れなかった方がいてせめて手紙とプレゼントを渡して欲しいと頼まれました。良ければ受け取ってください。」と多くのプレゼントと手紙を渡される。こんなに貰っちゃっていいのかな?でもそこまで後輩たちと面識なかったような。度々パーティーで話したり学園祭準備で関わった人もいるけどここまで多くなかったような…「でもどうして?」と思わず口にする。その様子を見て「私たち1、2年生の中でもエミーリア先輩は人気なんですよ。気品があって優しくてお強くてたまに抜けてるところもありますがそこも可愛らしくてまさに憧れの先輩なんです。」と嬉しそうに言う。まさか後輩たちから人気があったなんて…全然気づかなかった。というか周りから見たらそんなふうに見えてたんだ。気品あるかな?と思っている。「ありがとうございます。そんなふうに見えているとは思わなかったですけどとても嬉しいです。大切にしますね。」と微笑む。後輩たちは嬉しそうにしている。「喜んでいただけて嬉しいです。それと1つ謝りたいことがありまして。以前パーティーでエミーリア先輩が戦われた時あったじゃないですか?あの時本当はすごくかっこよくて凛々しいなって思っておりましたが周りの大人たちの圧に負けて言い返せなくて嫌な思いをさせてしまいすみません。ずっとそのことを言いたくてでも言い出せずにいました。あんな状況でもみなさんの心配をされていたエミーリア先輩や圧に負けず大人たちに自分の意見を言っていた先輩方はとても素敵でした。どうかご卒業後もお元気で…」と謝罪する。謝らなくてもいいのに…力を使いすぎた私の責任ももちろんあるしでもこう思ってくれていたのは嬉しいし安心する。「いいんですよ。そのことなら。でも意見を伝えてくれて嬉しいです。ありがとうございます。」と告げる。その後も後輩たちと話したり同級生の子達とも話す。そしてパーティーは終わりを迎える。疲れながら卒業式に備えて早めにベットへ向かう。今日は楽しかったな〜。久しぶりに色んな人と話た気がする。プレゼントも沢山貰っちゃったし何よりわざわざ思いを伝えに来てくれたの本当に嬉しい。それに今日断罪イベントはなかったし何事もなく終わってよかった。問題は明日。まだ断罪イベントが起こらないとも限らないし油断はできない。と色んなことを思いながら眠りにつく。そして卒業式当日。不安を抱えながら制服に袖を通す。今日で卒業か。寂しくなるな。と思いながらも卒業式の会場へ行く。そういえば今日は国王と王妃が来るんだっけ?シリウス殿下とレオ殿下が卒業だからね。いつもは予定が合う時だけ来るんだっけ?国王がいるって思うと緊張してきた。廊下を歩いていると騎士たちがいる。貴族たちだったり国王までいるから警備が厳重である。歩き続けていると卒業式の会場の扉の前まで来る。後ろから「エミーリアさん。」と声が聞こえる。どこかで聞いたことある。もしかしてと思い振り返る。「ロットさんとシルさん。第2部隊のみなさんだったんですか?」と驚く。「正確には第2部隊と第4部隊だよ。シリウス殿下が配属してくれてね。あ、卒業式会場内にも入るから第2部隊10人くらい入るよ。」と説明する。なるほど。たしかにまあまあ広いからね。さすがにひとつの部隊じゃ手が回らないよね。あれ?そういえば「団長さんはいないんですか?」と聞く。ああ〜という顔をしてロットは「団長は今日いなくてね。予定が入ったそうだよ。まぁでも君が騎士見習いになる頃には会えると思うよ。詳しいことは言えないけどね。」とほほ笑みを浮かべながら言う。それってどうゆう意味なんだろう?卒業式が始まる。3年生全員が入場を終え校長先生の話がある。「今日はお集まり頂き感謝します。そして3年生の皆さんご卒業おめでとうございます。今日という日を存分に…」と長い話が続く。そして国王の話もあり卒業式も後半に差し掛かる。在校生代表のルークの話もあってエミーリアは驚く。ルークって在校生代表だったの?そんな素振りなかったから全然分からなかった。たしかに生徒会に入ってるし成績も申し分ないだろうけど子供の頃を思い出すとほんとに立派になったな。としみじみしている。次に卒業生代表の話がある。「卒業生代表、3年生徒会長シリウス・ナインハート。」と教師が名前を呼ぶ。「はい。」と返事をし前へ出る。卒業生代表の話をし終わる。ゲームだったらそろそろだ。どうなんだろう?と思っていると「ここからは個人的な話がある。」と大きな声で言う。個人的な話ってやっぱり…「エミーリア・フローゼン前へ。」と名前を呼ばれる。やっぱりそうなのかな?ゲームの強制力?怖い。みんなと離れてしまうと思うと。それでもここで前に出なければいけない。と思い深呼吸をして前へ行き壇上に上がる。そしてシリウスが「私は今ここに宣言をしたい。」と言うと会場は静まる。来る。と思い震えている。「私は彼女を、生涯ただ一人の伴侶に迎えたい。」へ?それってどうゆう。聞き間違え?シリウスはエミーリアの方を向き地面に膝をつけ指輪を差し出しながら「エミーリア、私と結婚して欲しい。」とプロポーズする。ん?どうゆうこと?国外追放ならわかるけどプロポーズ?エミーリアの頭が真っ白になる。頭が追いつかない。それと同時に嬉しいと思う自分がいる。なんでだろう?なんでこんなに胸が高鳴るの?こんな気持ち初めて…無性に恥ずかしいようなそれでも嬉しいような変な気持ち。エミーリアは胸を抑える。そして会場が騒ぎ出す。国王も驚いているようだ。「あの感情を表に出さなかったシリウスが…変わったな。」と感動している。王妃も同様だ。その横でエミーリアの父が飛び出しそうなくらい怒っているがエミーリアの母がそれを止めている。リリーは嬉しそうな表情を浮かべている。セリーヌとクラリスは少し複雑な気持ちもあるが静かに見守っている。ルークはまさかこんな所で告白するなんて。こんなことなら義弟だからと遠慮せず告白しておけばよかった。姉さんダメだよ。すぐに指輪を受け取っちゃ…と複雑な気持ちになっている。ルシアンも顔には出さないが内心後悔している。レオに関しては複雑な気持ちでならない。俺が告白した時より嬉しそうな気が…と思いムスッとしている。ジェイドは小さく息を吐き「ここで告白とは…」と小声で呟く。なぜか胸が痛む。そしてシリウスは周りの反応ももちろん気になっているもののエミーリアから目を離さない。赤面しながらも困っているエミーリアを見てシリウスは立ちエミーリアの方へ向かう。「返事は急がないよ。君の気持ちが決まってそれで私を選んでくれたならその時にこれを受け取って欲しい。じっくり考えてくれたら嬉しいな。」と優しく微笑みながら言う。うそでしょ。まさかこうなるなんて想像してなかった…返事を急かされなくて良かったけどそれと国外追放って言うことじゃなかったのは良かったけどでも良くない。と複雑な気持ちになっている。そんな気持ちを抱えながらも卒業式を続ける。最後校長先生に名前を呼ばれ卒業の明石である魔石のはめ込まれたバッジを貰う。なんとか卒業式を終えるエミーリアたち。その背景で大きな陰謀が蠢いている。王宮の書庫でエミーリアの写真を見ながら従者の格好をした男が1人佇んでいる。「やっとあなたに会える。」と笑顔で呟く。その一方である村にみんなに好かれている可愛らしい女性がニヤリと笑う。そして天界では白い服に白い短い髪幼子のような姿をしている男性らしき神がエミーリア達を見ている。一種の魔法のなのか地上の様子を見れる雲のような小さいものが宙に浮いていてそこに映し出されている。その神は頬に片手を乗せ映像を見ながら椅子に座っている。「へ〜。あの子生きてたんだね。面白そうな展開になってきた。前世で自由を知らなかったのに今は恋を知るなんて人間の成長には目を見張るものがあるね。」と言うと立って映像に近づく。「足掻いて見せてよ。この残酷な世界でどこまで生きれるか見ものだね。」と静かに言う。幼い子供の声で。桜の木の下。エミーリアは桜を見ながら寂しそうな様子で佇む。今回はゲーム通りにならなくて良かった。だけどまだ解決できてないことも沢山ある。結局パーティーでの暗殺者の件やゲームで起こるはずだったダークエルフのこと。ゲームだからという理由だけじゃない気がする。何が絡んでいるのかまだ分からないし知るのは怖いでも前を向いて歩きたい。怖いからって背を向けたくない。と思っていると後ろからシリウスの声が聞こえる。「桜か。綺麗だね。」といいながらまっている花びらを手に取る。エミーリアはさっきのことを思い出しまた顔が赤くなる。シリウスは何かを思い出したのか去ろうとする。エミーリアはシリウスの制服を指で軽くつかみ少し俯き「行かないでください。」と言う。エミーリアもなんで自分がこんなことをしているのか分からないでいる。でもものすごく寂しいと感じたのだ。そんな様子を見てシリウスはエミーリアの額にキスをする。「大丈夫だよ。君を置いては行かない。そろそろ行こうか。みんな待ってるよ。」と優しく言う。エミーリアの鼓動がどんどん早くなる。恥ずかしさと同時に色んな感情が押し寄せてくる。知らなかったこんな感情。みんなと出会わなければこんな感情を知ることはなかったのかな?これが恋というものなのか未だに分からないし自覚がないでも。なんとなくそうな気がする。みんなと出会えて本当に良かった。この時のエミーリアは知らなかった。この中の誰かと生涯を歩むことになるなんて…桜の木にエミーリアは心の中で誓いを立てる。例えどんな未来が待っていたとしても私はまっすぐ歩み続ける。春風が吹き、1枚の桜の花びらがエミーリアの肩に舞い落ちる。新しい季節が始まる。私の新たな物語もここから幕を開ける。


 完

最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

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第2期決定!!

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