確か近くに村があるらしい?
「ふふふーん、ふふん、ふっふふーん」
私は上機嫌である。
洞窟を力技で壊していなくなった超絶美形の彼のおかげで私は今、新鮮な空気を吸いながら森の中を歩いている。
「めっちゃ怖かったけど、彼には感謝しかない!」
自分は何か取り返しのつかないことをしてしまった感は否めないのだが、してしまった事はもう仕方がない。後悔先に立たずってね。
「ま、まぁ、情けは人の為ならずってやつよ!」
私は強く拳を握り、そう口に出す。
今の私は完全に、悪い事をした自覚のある子供が自分を正当化するために言うような言葉を口にしているのだが、気にしたら負けなのである。
私は自分がさっきまでいた洞窟のあった方角をチラリと見て考える。
「そういえばあの洞窟、本来ならどれぐらいボス倒さなきゃいけなかったんだろう?」
そう、私は途中退場したからわからないのだ。
あれが本来何階層まであるダンジョンかを。
まぁ、あのまま何年もあそこで…とかなってた可能性を考えれば、あのタイミングで外へと逃げるのは最善の行動だったのだろうと思う。
私は一度立ち止まり、空を見上げ、目を瞑り、この新鮮な空気を肺いっぱい吸い込み、吐き出して目を開ける。
そして少し向こうの木下に目線をやると…
「あ!なんかまたキノコある!あ!木の上に果物っぽいのもある!」
私は大喜びしながらそれらに走り寄り、イベントリに収納してゆく。
洞窟をでてから早数時間…私は目についた物をひたすらイベントリに収納していってるのである。
ちょっと光ってる石とか、なんか輝いてる葉っぱとか…本当に目につく物全てをだ。
それが役に立つとか立たないとかは後から考える事であり、楽に持ち歩くことができる今、とっておかない理由なんか無いのである。
後から「あの時見たやつ取っとけばよかった!」なんて事になったらやる気も無くなるってものだ。
「イベントリ内が埋まっていくのって最高だよね!」
機嫌良く呟きながら採取を続ける私。
イベントリの上限なんてなってから考えればいいのさ!
そんな事を考えながら、村を探して森林の中を歩き続けるのだった。
◇
どれほど歩いたかは不明だが、途中で川を見つけて魚を風魔法で乱獲してみたり、暇すぎて鑑定しまくって歩いてた時に見つけた【不滅草】とか言う謎の草を根こそぎイベントリ収納してみたりと、兎に角私は異世界を楽しんでいた。
その中で一つ驚いたのは魔物だ。
イノシシの様な魔物やクマの様な魔物が居たので、肉を増やす為に風魔法を使いサクッと倒したのだが…消えなかったのだ。
多分、ドロップするとか宝箱が出るとかはダンジョン特有の何かなんだろう。
見つめてても消えていかない事に気がついた私は、凄く焦ってイベントリに魔物を収納した。
何故か?そりゃあ血抜きは即座にってみんな言ってたじゃん!私は血抜きとか出来ないし、誰かにやってもらわなきゃだし…。
皆って誰か?そりゃあ異世界物の小説の主人公達だよ!
…。
そういえばイベントリに入れた物って腐るのだろうか?
うーん…まぁ、時間が止まってたらいいな!今は考えてもわからないし、その話は置いておこう。
そんなこんなで今、夜である。
「むら…近くにあるって…話が違う…」
私は野宿しなきゃいけないという事実を突きつけられ、凄く悲しんでいた。




