琉球王国との初外交
琉球王国に入国し使者から3日後の謁見に向けて準備する秀高達。
「さて、琉球王国より正式に使者が参られた。ここでもう少し念入りに話を詰めていこうと思う」
堺屋の敷地の奥にある厳かな平屋建ての建物。
そこでは堺屋総統、木下(鷹司)秀高とその妻小梅、同行している官僚達と打合せをしていた。
「先ずは今回の王国への訪問の理由だが、実は関白様より書状を預かっておる。これは明への朝貢をやめ、我ら日本と連邦を組まないかという内容よ」
『連邦ですか』
「うむ。北は蝦夷から樺太、南は琉球、与那国、高山国までを日本連邦として作ろうと考えている」
『なるほど、ではその手始めに琉球を』
「そういうことだ。まぁ、後は琉球王の尚清王と会談してどうなるかだ。あと、小梅の働きにも期待している」
『私ですか?』
「今回の会談には尚清王と俺がその妃である月江妃とは小梅が会談してもらうことになっている。その為、妃のお眼鏡にかなうかは小梅次第ということよ」
『うぅぅ。やっぱり責任重大ですね』
「頼んだぞ、小梅。さて、次の内容だが……」
話し合いはこの後2、3時間にわたり行われた。会談の内容のほかにも、営業報告や新規取引関係の話も踏まえつつ各々の仕事を処理していく。
そして、会談当日
『殿。王国からの迎えが参りました』
「承知した。さぁ、行こうか小梅」
『はい。いざ参りましょう』
この会談の為に用意した秀高の羽織袴。小梅の振袖。
どれもが京都の老舗機織り屋で作成された一級品。そしてしっかりと鷹司家の家紋である鷹司牡丹の紋が刺繡されている。これは、秀高達が堺から出向する前に、鷹司家本家から送られてきたものである。
秀高から差し出された手に小梅の手がそっと添えられる。二人は入り口の前に準備された馬車に乗り込み、琉球王国主城である首里城へと馬車が進んでいく。
その馬車を琉球王国及び艦隊に随伴していた近衛兵団が守る形となり左側が琉球の旗、右側が鷹司牡丹と日の丸の御旗を掲げての行進となった。
この普段では見ることができない光景に琉球の民達は首里城へ向かう街道に押し寄せ、秀高達を歓迎していた。
そして馬車に揺られる事約2時間
ガラガラガラガラガラ ガコン
『首里城に到着致しました。馬車より下車願います』
「うむ」
秀高と小梅は馬車を降り案内役の指示に沿って首里城の石畳を歩いて進む。その後ろを秀高と小梅の護衛が10人づつ付き従う。
首里城の宮殿近くになると、王国の兵士と物見している官僚の数が徐々に増えていく。
宮殿前の大門に来ると案内役が大きい声で叫ぶ。
『倭の国より鷹司参議様並びに、鷹司少納言様。ご到着~』
ガコン ギィィィィィィィィ
宮殿へ繋がる大門が開けられ、秀高達はその門をくぐり宮殿へと参内する。
秀高たちが進む先には琉球王国の王尚清とその妃月江が待っているのがわかる。
秀高達は止まることなく歩を進め尚清達の御前で腰を落して口上を述べる。
「琉球王国の国王陛下並びに王妃陛下にご挨拶申し上げます」
『ご挨拶申し上げます』
『頭を上げられよ』
尚清の言葉で頭を上げる秀高達
『よくぞ遥々倭より参られた。貴殿たちを歓迎する』
「もったいなきお言葉。感謝致します。この度は我が国と琉球王国のさらなる繫栄と繋がりを強固にしたく参りましてございます。ささやかではありますが、献上の品をお持ちいたしましたのでどうぞ、お確認くださいませ」
秀高が手を振ると荷車に載せられた献上品の数々が尚清の前に運ばれる。
塩、砂糖をはじめとした食料品。反物等の織物品、堺で製造した刀や火縄銃等々、その量の多さに、尚清と月江は目を大きくする。
『こ、これほどまでに多くの品を....我は嬉しく思う』
「ありがとうございます。そして私から国王陛下へ、王妃陛下へは私の伴侶であります小梅よりこちらを」
秀高は装飾の凝った大小の太刀と扇子を尚清に、小梅からは柄入りの脇差と扇子を渡す。
『これは、この様な見事な刀は見たことない、感謝する』
『この扇も素晴らしいですわ』
「両陛下にお渡しした扇子には一つ趣向を凝らしております。どうぞ両陛下の扇子を合わせてみてください」
『ふむ、こうか』
秀高の言葉で尚清と月江は互に扇子を合わせる。
『『これは』』
2つの扇子を合わせるとそこに見えたのは琉球王国を象徴する花であるデイゴが表れた。
「デイゴの花を半分ずつ装飾しております。琉球の繫栄は両陛下があってこそ、二つで一つのデイゴの花を育てるが如く」
『なるほど。この様な趣向、大義である』
「ありがたきお言葉」
『さて、このような場所ではなく話しやすい場所に移動しよう。我の妃が参議殿の奥方殿の事を気になっているようでな』
「では、お言葉に甘えまして。小梅、粗相のない様にな」
『はい。貴方様』
小梅は月江と庭園へ秀高は尚清と宮殿の謁見場へと分かれていく。
謁見場へ通された秀高は再度挨拶を行う。
「改めてご挨拶申し上げます。日ノ本の国、堺より参りました鷹司秀高でございます。国王陛下に拝謁の栄誉を賜り、誠に恐悦に存じます」
『遥々参られた事、歓迎する。先程の素晴らしい手土産も有難く頂戴しよう』
「ありがとうございます」
『して、この度の来訪、理由を教えてもらえるかな』
「勿論でございます。この度の王国訪問の理由になりますが、琉球王国を日本連邦の一翼としてお迎えしたく思い参りました」
『ほう』
秀高の発言で、謁見場に集う文武百官はざわつき始める。
『参議殿。それは我が王国を倭の傘下にするという事か』
『その様な事。まかり通ると思うてか』
『待て。まだ参議殿からの話は終わっておらん』
『しかし陛下』
『何度も言わせるな。……参議殿続けてくれ』
「はい。勿論でございます。先ずはこの日本連邦の国家構想についてお話致します」
秀高の説明を簡単に記すと
・連邦制とは諸国がそれぞれの国を保ったまま、一つの国として力を合わせる仕組みであること。
・日本連邦は日ノ本本土のほか、加盟国(蝦夷、樺太、琉球王国、与那国群島、高山国)からなる連邦国家を目指している。
・加盟国は自治領として統治を維持する。
・加盟国の防衛に関しても本土の武器装備を提供し軍備の統一化を図る。
・朝貢を行う必要はない
・本土の官僚を派遣し、自治領に合わせた統治機構を創る。
・琉球王国の統治範囲は琉球本島と与那国群島までを自治領とすること。
等々
「以上が現在構想している日本連邦の国家構想であります。しかしこれはあくまでも構想であります。現在日ノ本国内では内戦が続き、統一国家としてはまだまだ道半ばです。そのような状態での連邦加盟はできるわけありません。ですので先ずは、私の治める堺と条約を結んで頂きたいと思っております」
『ほう。その条約とは何だ』
「はい。堺と琉球王国による軍事・通商条約になります」
『内容を聞こう』
「これは、条約内容の一部ではありますが、琉球王国は南蛮との中継地点というとても特殊な位置に属しております。南蛮や明国も王国の立地を理解し、侵攻を画策している可能性があります。また我ら日ノ本の国と王国は同じ島国、どうしても海洋政策も入念に検討しなければなりません。この軍事・通商条約においては、堺から人材を派遣し、王国内の軍船をはじめとする造船、武器製造、農業・畜産等の産業基盤の向上を行いそして、王国で作られた品々の余剰分を我々堺屋が買取、日ノ本の国並びに南蛮や明国に売買する権利をいただきたく存じます」
秀高により堺琉球条約の中身の一部が説明される。
王国にも南蛮や明国からの貿易商達が幾度となく訪れている。この時に全体の数%ではあるが、情報を盗もうとする者も確かに存在している。また、反尚氏を掲げる一派も国内に存在する事から、その者達が手を組み王国に牙をむく可能性も否定できないのである。
そんな状況の中で、秀高から提案された条約内容に至っては、王国側のメリットが余りにも大き過ぎる事も、尚清は感じていた。しかしこの時、尚清以外の文武百官にはこのメリットを理解出来た人数は全体の2~3割程であった。
秀高の話を聞いた文武百官達は小声で左右前後と周りと話し始める。その中から一人の文官が前に出てきた。
『国王陛下、馬周明が発言致します』
馬周明
王国五大性(尚氏、翁氏、馬氏、毛氏池城、毛氏豊見城)の一つで、主に王国の行政、外交を支える家の者である。(オリジナルキャラ)
『許す』
『感謝致します。鷹司参議様からの条約の内容に関してになりますが、これは我が王国にとって正に吉報と言っても過言ではありません。現に今年の明国への朝貢の際に我が国との交易に掛かる関税を来年から引上げをると通達がありました。また明国へ納める朝貢品増加も要求されております。そうなれば我が王国の財政は一層苦しくなります』
『ふむ。、、周よ。仮にその様な事になった場合、我が王国の財政はどうなる』
『はい。仮に明国の要求通りにした場合、これ以上の予算縮小は無理がありますので、税を1割5分から2割近く上げなければなりませぬ』
『税を2割近く上げよというのか』
『その様な要求には応じられんぞ』
『しかし断れば、明国からの侵攻の口実なるぞ』
『ここは明国からの要求を飲むしかないのでは』
『それでは民が苦しんでしまうではないか』
周明から発せられた税を2割上げなければならないという発言により、文武百官達は右往左往し始める。
「(2割は結構盛ったな~周殿。しかし今の王国軍の練度だと、明軍3~5万くらい攻めてきたら勝てないだろうな)」
秀高は右往左往する百官達を見ながら苦笑いするしか無かった。
だが、その中から覇気のある声が響き渡る。
『沈まれ。客人の前であるぞ』
そう言い放った男は尚清王の前に出る。
『陛下。東元宰。発言をお許しください』
東元宰
琉球王国の実務のトップに君臨する男である。
『東か。参議殿。この者は我が国の法司、、、宰相と言えばいいかな。その職に付いている。東。発言を許す』
『ありがとうございます。先ずは参議殿に御挨拶申し上げる。私は東元宰と申す。以後、宜しくお頼み申す』
「御挨拶痛み入ります。日ノ本の国、参議鷹司秀高と申します」
『さて、皆が騒ぐのも無理はない。今後の明国との対応については馬殿と幾度となく協議している。その上で、ここは堺との条約を結んだ方が良いと思われます』
『ふむ、何用でだ』
『まず、堺との交易は我々が足りないものを輸入することができます。また堺の職人たちは技術は王国の発展には必要不可欠です。また王国内で作られた武器や作物の余剰分が堺屋にて交易品として買取していただけるのです。堺としても王国との専売ともなれば、商いの幅が広がる。これは正に互に良い条約と思われます。ただし、それも踏まえ我が国からの条件も提示させていただきたく存じます』
『ふむ、そうか。ならば参議殿。早速、条約締結に向けてのすり合わせをこの東と馬で詰めてほしい。また他の百官達もこの条約の内容について議論をしてほしいと思う。以上だ』
尚清王の締めにより、謁見は終了。
この後、秀高は馬周明と東元宰と条約締結へ向けての話し合いに入るのであった。
時系列は少し遡り、秀高と別れた小梅はどうなっているのか。
小梅は秀高と別れた後、琉球王妃の月江とのお茶会に招かれていた。
茶会は王妃と王国侍女数名と小梅と護衛の侍女数名が母屋にて行なわれていた。
テーブルの上には多種多様の菓子や飲物。そして、小梅から献上された装飾品等が置かれていた。そして母屋の近くでは琉球楽人達による演奏や舞が催され、小梅たちは耳を傾ける。演奏が一区切りすると月江が言葉を発した。
『少納言様。改めまして此度の来訪、誠に感謝いたしますわ。先程の扇をはじめ、この素晴らしい品々。感謝致しますわ』
『いえいえ、この度の急な訪問、夫に代わりましてお詫び致します(なんかこの人、物腰が柔らかいいな)』
『その様に気を使わなくて結構ですわよ。ここには堅苦しい事を並べる男どもはいませんので(小梅様の衣装がとても華やかで綺麗だわ。確か振袖って、言ってたわね。今度作らせようかしら)』
『あはは~。そ、そうですね(うわ~この人、こっちが素か~)』
『私も貴女の事をこの茶会の席では少納言様とは今後呼びません。小梅様と呼びますので、貴女も私のことは王妃ではなく、月江と呼んで下さいな(小梅様。是非私を月江とお呼びになって)』
『そ、そんな恐れ多いです。王妃陛下をお名前で呼ぶなんて(いやいやいや、初対面で今日挨拶したばっかりでフレンドリーを求められても)』
『横から失礼します。少納言様。王妃陛下はこうなると我々でも止められませんので、どうか諦めてください(はあぁぁ。王妃陛下の悪い癖がまた始まった)』
月江の侍女の1人が小梅にそう言うと、月江はふくれっ面になる。
『もう。別にいいじゃない。私は親しい関係になりたいのよ(めったに来ない女性の来客よ。親友にならないなんて選択肢は無いわ)』
『陛下。常々私が親しき中にも礼儀ありと教えていますよね(この方は、王妃という立場を何だと思っているのかしら)』
『あはは~(これ、秀高様から言われた王妃様に対しての外交、、、無理じゃね?)』
王妃と侍女による痴話喧嘩はこの後約1時間程行われ、それをただ眺めている小梅は遠い目をすることしか出来なかったのであった。
『ん゛ん゛ん。王妃様。我々のせいで少納言様が呆れてしまっております』
『えっ、噓。申し訳ございませんわ小梅様。私ったらつい』
『いえいえ、お二人の仲が良くて見とれてしまっただけです。お二人は小さい頃からの仲なのですか?』
『えぇ。そうなのです。小さい頃からの幼馴染なのです。私が宮殿に入る前から侍女として支えてもらっているわ』
『そうなのですね』
『はい。月江様は幼少からこの様にお転婆なところがあり、宮殿に入ってからもそれが治らず、、、、王妃様となって少しは変わってくれるものと思っていたのですが、この通りでして』
『そ、そんなお転婆ではありませんわ。王妃となって少しは自重しなきゃと思って我慢しているのですよ』
『少しは?』
『ん゛ん。……小梅様。ごめんなさいね、私達の話に付き合ってもらって』
『いえいえ、そんでもありません。王妃様』
『小梅様。私の事は月江と』
『で、でも』
『んふふふ』
『わかりました。この場では月江様とお呼び致しますね』
『はい。ありがとうございます。小梅様(やった!小梅様から名前で呼んでもらえたわ)』
『ははは~(ああ~。辛いわ~)』
このあと小梅は月江と今後のつながりについて語り合う。
その中で、王国側も今後女官を増やしていく方針があると情報提供される。
『女官の登用ですか』
『えぇ。そうよ。有能なのは男も女も関係ないわ。貴女もそうでしょう小梅様』
『私?まさか~。私は元々貴族出身でしたので民たちよりは確かに教養はありましたけど、有能かどうかはわからないですよ(私なんて、秀高様や他の堺の皆より、数段劣っているわ)』
『ふふふ。まぁ、そう言う事にしておきましょう(まぁぁ、そうやってとぼけちゃうなんて)』
『話は戻りますが、女官の登用と言う事は女性用品が必要という事ですね(今の琉球は日本よりも男尊女卑が根強いって聞いてたけど、、、王国も改革を始めようとしているのね)』
『そう。衣服もそうだけど、武器や防具、生活用品も必要だわ(この改革は是が非でも成し遂げないといけないのよ)』
『月江様。女性用の装飾品の類は如何致しますか(でも女性らしさも失わせてはいけないわ)』
『それも必要ね。後は何か良い品が有ればいいわ。その辺はお任せしますわ(女性用の装飾品ですか。確かにそれは余り必要ないと思っていたけれど、小梅様の感じだとやっぱり必要なのね)』
女性用の商品を売れるチャンスが来たと思った小梅は、自信満々に発言する。
『承知いたしました。この堺屋にお任せください。万事ご期待に添えて見せましょう(堺屋なら何でもあるといわせて見せましょう。後、月江様の改革のお手伝いは条約の次に行う優先事項だわ。後で秀高様にも報告しなきゃ)』
と、胸に拳を当て大見得を切ったのである。それを見た月江と侍女達はついつい笑ってしまったとか。
お茶会が終わり、秀高との居室に案内された小梅。
部屋の戸が閉まり周りに王国の人間がいないことを確認する。
『チラッ(大丈夫ね)』
『『コクコク(はい。間者もおりません)』』
小梅の目くばせに護衛の侍女達は頷きそこからは早かった。一瞬にして小梅が纏っている振袖から部屋着の格好に早着替えさせたのである。
そして、小梅は何も言わず寝室に足を運び。
『づ~が~れ゛~だ~』
と言って寝室のベッドにダイブを敢行した。
それを近くで見ていた侍従達は声に出さずに心で叫んだ。
『『(いつものが始まった)』』
と。
『(もう、あの王妃様何なの。めっちゃフレンドリーだわ。結局、名前で呼び合う仲になっちゃったけど、普通あちらの侍女さんの言う通りよね)んんん~』
小梅が寝室で唸っていると戸が開く音がする。条約内容の打ち合わせをしていた秀高が入ってきたのである。
「小梅は」
秀高は小梅の侍女がいる事に気付き侍女に問いかける。
『奥方様は寝室にて唸っております(本気と書いてマジです)』
「はい?唸ってる?(唸ってるって、なんか問題事か)」
『はい。王妃陛下とのお茶会で気苦労した模様です(余りにも砕けすぎた内容でしたので)』
「そうか。小梅にとっては初めての外交だからな。慣れない事をさせてしまったな(辛い経験をさせてしまったかな)」
『いえ、そんなことは無いかと(むしろ、外交的には成功かと)』
「どうかな。ああ見えて小梅は責任感強いからな。(慰めてあげよう)寝室だな」
『はい。ごゆるりと』
秀高は侍女と会話しながら部屋着に着替え、小梅が唸ってる寝室へ向かうのだった。
「小梅~生きてるか~」
秀高は寝室に入ると底には布団を抱き枕の様に抱えて、ベッド上を端から端に転がり続けていた。
『ん゛~ん゛~ん゛~……あれっ、今秀高様の声が』
小梅が振り返ると其処には秀高の姿があった。
『あっ、お帰りなさい。秀高様』
「ただいま、小梅」
秀高はそのままベッドに横たわる小梅の傍に腰掛ける。
『お疲れ様でした、貴方様』
「お疲れ様、小梅」
『貴方様の方はどうでしたか?王国との条約締結の方は』
「まぁぁ、順調だね。さっきまで王国の宰相殿と条約内容の打ち合わせをしてたんだよ」
『そうなのですね。流石、貴方様です』
「そうでもないさ。小梅の方はどうだった。初めての外交相手が王妃様になっちゃたけど」
『ん~。それなんですけど~(やっぱり言わないとだめだよね)』
「問題でもあったのかい」
『問題といえば問題かもしれません』
「何かあったのかい」
『いや~それがですね~王妃様がお友達になりましょうとおっしゃられて。つい、お友達になってしまいました』
「……はい?」
秀高は小梅からの報告に目をパチクリさせるのであった。
その後も小梅からの報告を聞いた秀高は今後の取引で何が必要になるのか、王国での人材配置、育成等の課題がある事を理解することができた。
「なるほど。王妃様は女性改革を推し進めていきたいのだな。、、まぁぁ、しかし。初対面でいきなり友達になるとは。小梅らしい、これは小梅の人徳だな。よくやってくれた」
秀高は寝転がる小梅の頭を優しく撫でまわす。
『でも、秀高様。私は王妃様に堺屋の代表として交渉しに行ったのですよ。お友達になんて...しかも王妃様とですよ』
頭を撫でられながらも小梅は秀高に想いをぶつける。
「いいじゃないか。それで」
『え?』
「小梅。交渉というのは戦いでもあるが、如何に自分の味方を増やすかが肝心だよ」
『どういうことですか』
「確かに交渉というのは自分と相手との意見のぶつかり合いだよ。でもね、交渉の席に座る前に何かいつもと違う感じはなかったかい?」
『そう言われると、私と王妃様が話したのは王宮の傍にある母屋でした。しかも演奏や舞を楽しみながらのお茶会の場でした』
「そう、そこ。普通交渉の場はそんな所では行わない。ましてやお茶会をしながらの交渉なんて異例中の異例だよ。恐らく王妃様は君のことを見て信頼出来ると感じたから、母屋でのお茶会を催されたと思うよ。それは正に君の人徳が素晴らしい証拠だよ」
『うぅぅ。でもお友達になるのはNGではないですか』
「そこは公私混同しない様に気を付けなくてはいけないよ。でも君はそれを理解して王妃様と交渉して来た。商人としてまた1つ成長できた。そして何よりも皆より優れている事があるよ」
『何です?』
「君の屈託のない笑顔は人を安心させる。その後の大見得も、ただ勢いがあるだけじゃない。相手が『この人なら任せられる』と思える不思議な力が君にはある。それが君の一番の強みだよ」
『キュ~(n*´ω`*n)』
余りにも褒める秀高に小梅は抱いている布団顔を埋め、丸まっていく。
それを見た秀高は顔を綻ばせながら、頭を撫で続ける。
「小梅」
『はい』チラッ
「君のお陰で今回の外交交渉は大成功になりそうだよ。ありがとう」
秀高は小梅の顔が少し上がったのを見過ごさず、おでこに口づけした。
「お疲れ様。会食までゆっくり休んでね」
秀高はそう言い残し、寝室から出ていった。この時の小梅は顔が真っ赤っ赤になり布団へ顔を埋めたまま、しばらく顔を上げることができなかったのは言うまでもない。
誤字、脱字等ありましたらご連絡お願い致します。
出来るだけ早く修正致します。




