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秀吉の兄に転生したけど、そんなの居ないよな   作者: 久之浜真輝(ひさのはままさてる)
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木下日吉の武者修行

おはようございます。またはこんにちわ。はたまたこんばんわ。作者です。


今回も宜しくお願い致します。


秀高が畿内で活躍?している所からほんの少し遡ること尾張中々村の木下家では


『母ちゃん。俺、兄上みたいな男になりたい』


秀高と別れた秀高から色々な話を聞いた日吉は母なかにそう告げた。


『日吉は秀高みたいに西に行くのかい?』


『いや、俺は東に行く』


『東には都はないよ』


『いいんだ。東には強い武士達が居る。そこで色々と学びたい』


『そうかい。ならその前に刀を振れないと話にならないよ』


『うん。だからね。押し入れにあるお父の刀、頂戴』


『あらあら。隠し場所がばれてちゃしょうがないね。でもね日吉。秀高から先ずはこれを振るようにって言われてるのよ』


『兄上から?』


『そう。少し外で待ってなさい。とって来るから』


『はい』


なかは隣接する蔵に入っていき、暫くしたら長い木箱を抱えて来た。それを日吉の前に置き箱を開ける。


『母ちゃん。これは?』


『秀高が日吉に置いていった木刀だよ』


木箱の中には秀高が作った様々な長さと重さが異なる木刀十本であった。


『兄上がこれを俺に?』


『うん。これは秀高から日吉への贈り物だよ』


『これを振れるようになれば』


『そう言う事。後。村に居る浪人さん達と修行するようにって秀高は言ってたよ』


『うん。わかった。俺、頑張る』


この日から日吉は木刀を振り始めた。毎日欠かさずに木刀を振り、学問に勤しみ、村の手伝いを行いあっという間に一年が過ぎていた。新年に秀高と小梅に再会した日吉は秀高に稽古をしてもらった。


「おっ、中々いい筋じゃないか日吉。頑張っているな」


『兄上みたいになりたいから毎日頑張っているよ』


「そうかそうか。この調子なら半年くらいで武者修行に行けるぞ。日吉は堺に来るのか?」


『いや、俺は東に行く。東の武士は強いって聞いたから』


「そうか。(確か秀吉は最初三河の松下家に奉公するんだっけ?松下じゃなくて北条辺りなら日吉も強くなるかな?この前北条の所の幻庵さんが来て色々言ってたからな。丁度いいか?)日吉は関東に行く気はないか?」


『関東ですか?』


「うん。関東の武士は強いって有名だからそこなら日吉にもいいんじゃないか?」


『関東。わかった。一応、頭に入れとくよ』


「よし、じゃあ今年の八月か九月位に何処に行くのか手紙で教えてくれ」


『わかった。それまで頑張るよ』


それから七ヶ月がたったある日。救難活動を視察していた秀高の元に日吉からの手紙が届いた。


兄上様へ

兄上。御元気で過ごされていますか?私は元気にやっております。日々自分の為、村の為に精進しております。あれから何処に行くのか考えに考え抜いた末、関東に行こうと思います。兄上から手紙が届いた後に出発する予定です。兄上の様な漢になれるよう頑張ります。最後になりますが今後もお体にお気をつけください。


木下日吉


「あいつ。俺より頭良いんじゃないか?まぁいいか。それより返事を書かなくては」


それから一週間後日吉の所へ秀高から手紙が届いた。


『母ちゃん。兄上から手紙が届いたよ』


『お前宛だろ。確りと読むんだよ』


日吉へ

元気で何よりだ。俺も元気にやっているぞ。さて、関東に決めたと読んだぞ。関東の武者は強いからお前の糧になるだろう。ついでなんだが、手紙を持ってきた者と一緒に関東に行ってくれ。丁度関東の北条殿の所に物資を運ぶのでな。そして、取引相手の北条幻庵殿を訪ね俺からの手紙を直接渡してほしい。宜しく頼むよ。日吉が元服して尾張に戻ってくるときが楽しみだ。頑張れよ。


秀高より


『母ちゃん。それじゃあ。関東に行ってくるよ』


『はいよ。漸く、弥右衛門さんの遺言のもう一つ達成されたよ』


なかは押し入れから木箱を取り出して日吉に渡す。その中には弥右衛門が秀高に最初渡そうとした刀が入っていた。


『これがお父の刀。凄く立派だね』


『日吉。頑張って行ってらっしゃい』


『はい。行ってきます』


こうして木下日吉は関東への武者修行へと旅立った。

日吉を乗せた堺の交易船は尾張から三河、遠江、駿河を経由して小田原へと到着する。


小田原に着いた日吉は小田原城を見て興奮をしていた。


『これが小田原の城か~。大きいな~いつかこんな城を造ってみたいな』


日吉は小田原城を眺めつつ船に積んである交易品を降ろすのを手伝った。そして最後に船の船長さんから呼ばれる。


『日吉。ここでお前とはお別れだ。最後の仕事としてお前の兄上から手紙を預かっている。必ずこれを北条幻庵殿に渡すように』


『はい。解りました。必ず届けます』


『うむ。頑張れよ』


日吉は船を降りて取引していた商人に訪ねる。


『すみません。お尋ねしたいのですが北条幻庵様のお屋敷は何処でしょうか?』


『ん?お前さんさっきの堺の船に居た若いのだな。どうしたんだい?』


『はい。私の兄、、いえ。堺の鷹司秀高より幻庵様へ文を届けよと言われまして』


『堺様からか。それは大至急じゃな。教えよう付いてこい』


『ありがとうございます(兄上の名前が出たら商人の人達は凄く驚いていたな。それほど兄上は有名なんだ。凄いな~)』


小田原の商人に案内され幻庵の屋敷に案内された日吉。案内をしてくれた商人に百貫程渡して別れた。


幻庵の屋敷は立派だが穏やかな佇まいの屋敷である。


『ごめん下さい』


日吉は大きな声で呼ぶ。しかし反応が無い。


『すみません。ごめん下さい』


再度呼ぶが、反応が無かった。


『どうしよう。聞こえないのかな?裏手に行ってみるか』


日吉は屋敷の裏手に周り裏門から呼び掛ける。


『すみません。北条幻庵様は御在宅でしょうか?』


返事が無く。どうしようかと悩んでいる日吉だったが次の瞬間


『儂になにか様かな』


『ぎあぁぁぁぁ』


背後からいきなり声を掛けられたのである。


『かぁっかかかかか。面白い反応する奴じゃのう。そこまで驚くか?』


『驚きます。いきなり後ろから現れたんですから』


『まぁ、そう言うな。それで、儂に何用じゃ?』


『はっ、はい。堺より手紙を預かって参りまして』


『ほほほ。成る程の。どれ拝見しよう。入るがよい』


日吉は幻庵の後を追うように屋敷に入っていった。そして広間に通された後、幻庵が入って来たので確りと挨拶をする。


『鷹司秀高の文を持参しました。木下日吉と申します』


『北条幻庵である。日吉殿は幾つなのだ?』


『はい。七歳であります』


『ほほう。七歳の体つきでは無さそうだが顔が幼いからな事実なんだろう』


『はぁ。あっすみません。鷹司秀高からの文になります。御確認ください』


『うむ。確かに受け取った。どれどれ』


幻庵は秀高からの文を読み始める。最初はしかめっ面していたが徐々にほぐれ、最後の方では笑みを出していた。


『ほほほ中々面白き男だとは思っておったがここまでとはな』


『?』


『日吉殿。お主、関東に武者修行をしに来たとな?』


『はっ、はい。関東の武士は強いって聞いたので』


『成る程の~。では、我が北条で修行せぬか?』


『え!』


『修行なら儂がやってやろう』


『ほ、本当ですか?』


『うむ。では、早速城に行くぞ。付いて参れ』


『はい』


幻庵は日吉を連れて小田原城に向かっていった。間近で小田原城を見た日吉は城の構造に興味津々であった。城内の屋敷に入ると幻庵と日吉は小部屋に通された。暫くすると足音がどんどん近くなってきた。日吉は頭を下げて出迎える。その姿を見た幻庵は驚きつつも笑っていた。


『幻庵叔父。何用です』


『いやいや呼び出してすまんな。ここに居るのは堺少将様の弟である日吉殿だ』


『木下日吉で御座います。以後お見知り置きを』


『北条左京太夫氏康である。しかし幻庵叔父。本当に堺殿の弟なのか?』


『うむ、堺殿から文で武者修行させてほしいとあってな。氏康。引き受けてくれぬか?』


『期限はいかほどで』


『15の元服まで』


『承知した。では、河越の綱成の所がよいか』


『ほほほ。いきなり実践か。まぁ、面白そうじゃ。儂が連れていこう』


『頼みます。日吉。確りと励め、関東は戦が多い。油断すれば即死だよいな』


『はっ。ありがとうございます』


こうして日吉は幻庵と共に河越城へと向かうこととなった。日吉はこの時は何も思っていなかっただろう。二年後に河越夜戦が起こることなど。



その頃。畿内の秀高はというと


「あっ、そう言えば二年後に河越夜戦あるじゃん。やべ、日吉を死地に送っちまったかな?まぁ、大丈夫か幻庵さん優しそうだし」



などと楽観的に思っていたそうな。





誤字脱字の御指摘誠にありがとうございます。


今後も誤字脱字がありましたら御報告ください。


宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] あの河越夜戦、史実ではこの戦で北條家は専横の限りを尽くす関東管領を追放したんだけど、日吉がこの戦でどう立ち回るか見物です。 死なないことを願いたいけど・・・(;゜Д゜)
[良い点] 今までにないタイプの話で先が楽しみです。 [気になる点] 商人に100貫ほどて、今だと1500万円位ですよ、とんでもない大金になってますよ。100文(1万5千円)の間違いでは?
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