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【興行】結成!ビューティ・コネクション

 この日は9月20日、神戸ダンボーホール大会。意外と早く契約の件が片付いた鈴村天(すずむらてん)、いやリングネームレイナ・シエロの日本凱旋(がいせん)試合が組まれていた。



 テレビ用の実況はいつもの通り瀬古(せこ)アナウンサー、そして解説は週刊女子ゴングの女性記者、吉田である。


第2試合タッグマッチ20分1本勝負

 三宅美鈴&七瀬雅 vs 華山涼子&オリビア


「さあ、赤コーナー先発は先日デビュー戦で衝撃的な大技を見せた七瀬雅。青コーナーは華山涼子となるようです。どう見ますか吉田さん」

「七瀬選手のスピードは目を見張るものがありますよね。華山選手、半年のキャリア差をしっかり活かして丁寧に対応したいところではないでしょうか」

「さあゴングです。まずは華山選手が七瀬選手をロープに振りますが、七瀬選手速い! ロープの間をあっという間に往復してのドロップキック!」

「華山選手、まずは捕まえていった方がいいでしょうね」

「そうですね吉田さん。あっとしかし捕まえたかと思えば七瀬選手はアームドラッグで華山選手を放り投げる!」

「あ、でも華山選手も負けてませんね、キチンシンクで動きを止めてスリーパーホールド、これはいいんじゃないでしょうか」

「七瀬選手の動きを止めようというところでしょうか。五分のやりあいが続きます」


 5分を過ぎて、リングには七瀬とオリビアの二人がぶつかり合う。

 

「オリビア選手の打撃と、七瀬選手のスピード。さあどちらが勝るか見ものです」

「オリビア選手は真っ直ぐな打撃だけではなく、トリッキーな動きも得意ですからね。七瀬選手は華山選手を相手にするのと同じようにいってしまうと危ないですよ」

「そうですね吉田さん。さあ七瀬選手早速ロープワークからドロップキック! しかしオリビア選手、その反動でロープにもたれかかり、勢いをつけてドロップキックから立ち上がろうとしている七瀬選手へランニングのローキックを叩き込んだ!」

「こういう動きがうまいですよね」

「そうですね吉田さん! さあオリビア選手、七瀬選手からマウントを取るとパンチ、パンチ! 防戦一方の七瀬選手!」

「こういうときのオリビア選手、本当に生き生きとしていますね。ここから腕ひしぎに持っていくのが彼女の得意パターンですが……」

「ああっと! 七瀬選手、パンチが一瞬やんだ瞬間、オリビア選手の側頭部へチョップを放った! オリビア選手、もんどりうって足をばたばたさせてますよ吉田さん!」

「馬乗りをやられている状態から威力のあるチョップを放ったということでしょうか、ちょっとよく分かりませんでしたが効いているみたいですね!」

「しかしさすがにダメージが大きかったか、七瀬選手ここで三宅選手にタッチ!」


 試合自体はこの後オリビアのアッパーカットが三宅にクリーンヒットしフォール、七瀬のカットを華山がしっかり止めて青コーナー組みが勝利した。しかし最も存在感を示したのは、一番の新人である七瀬であった。

 

○オリビア(9分34秒、アッパーカット→片エビ固め)三宅美鈴×




第4試合 6人タッグマッチ30分1本勝負

 松井香織&芹沢すずな&MACHIKO vs 豊嶋奈美&前田麗子&望月登子


 松井香織&芹沢すずなのコンビにまともに連携を取らせるのは危険と判断した豊嶋チーム、MACHIKOに標的を絞って攻め立てる。MACHIKOは何度もピンチに陥るが、押さえ込まれそうになると丸め込みで切り返して危機を脱していく。そして松井が望月に毒霧を吹きかけたところに芹沢がスワンダイブライダーキック、望月を引きずり起こした松井が腕を交差させてのパワーボムボムでとどめをさし、タッグ強者の実力を示した。

 

○松井香織(13分5秒、ブラックドラゴンドライバー)望月登子×





メインイベント シングルマッチ60分1本勝負

 氷室いずみ vs レイナ・シエロ


「さあ、1年間のメキシコ遠征から帰還したレイナ・シエロ選手の入場です。レイナは女王、シエロは天という意味だそうですが、どうですか吉田さん」

「メキシコでは大げさなリングネームをつけることはよくありますからね。それにしてもさすがモデル出身だけあって、歩き方から華があります。それにしても脚が長くてうらやましいです」

「そうですね。対戦相手の氷室選手が待つリングへと入ります。さあ、コーナーポストに登って大きくアピール、会場も盛り上がっていますね!」

「メキシコ修行の成果を、どれだけ氷室選手にぶつけることができるか。また氷室選手が強さを見せて返り討ちにするのか。楽しみな試合です」


 ゴング直後に組み合った二人は、腕力に勝る氷室がシエロを押さえ込んでいく。しかしシエロ、うまく氷室の腕を固めつつメキシカンストレッチを仕掛けていった。

 

「動きがキレてますね、シエロ選手! どうですか吉田さん」

「メキシカンストレッチ、いわゆるジャベと呼ばれるテクニックなんですが、氷室選手にはなじみが薄い分効果的なのでしょうね」

「なるほど、そうですね! さあ距離をとった氷室選手、シエロ選手の胸板にチョップを叩き込む! シエロ選手もやり返しますが、パワーでは氷室選手が上、シエロ選手の動きが止まる! さあそしてローキック、ローキック! シエロ選手の足を止めていく作戦か!」

「氷室選手の蹴りは本当に強力ですからね。シエロ選手、足が細いですから、これは効きますよ」


 しかしシエロもやられてばかりではない。氷室の蹴り足を掴むと複雑なジャベにとらえて氷室を苦しめていく。氷室が押している内容ながら、シエロの粘りで試合は決まらない。そして。

 

「さあ氷室選手の膝蹴りがシエロ選手のみぞおちに叩き込まれる! 崩れ落ちるシエロ選手! 膝立ちになったシエロ選手に対し、氷室選手ロープへ走りこんで必殺のケルベロスを……あっと! なんだ! リングサイドにいつの間にかやってきていたMACHIKOが氷室選手の足を掴んで転倒させた!」

「あっ、逆側から華山選手もきていますね。何か袋を持っていますが……」

「ああっと!なんだ!白い粉末を氷室選手の顔面にぶちまけた!氷室選手の顔面が真っ白に染まる!」

「レフリーは、逆サイドにいるMACHIKO選手の乱入を食い止めようとしていて、これを見ていませんよ!」

「目潰しをされた氷室選手を捕まえたシエロ選手、脱出不能の複合ジャベ、シエロ・ロックに固める! さあ氷室選手ロープまで逃げることができるか!? いや、これはロープが遠い! あーっとギブアップ! なんとシエロ選手、氷室選手に勝利です! しかしMACHIKO選手や華山選手の動きはいったいなんでしょうかね、吉田さん」

「MACHIKO選手がリングに、いや、それだけじゃないですね、華山選手、それから高峯選手もリングに上がってきましたが……」

「おっと、シエロ選手がマイクを持つようです」


『お久しぶりねシャングリラファンのみなさん。今の情況に少し驚いた方もいらっしゃると思って、説明させてもらうわ。わたしたち4人、ぬるま湯のシャングリラを変えていくために、ユニットを組むことにしたのよ。その名も、ビューティ・コネクション! 高峯さんをリーダーに、美しさと強さを兼ね備えたこのユニットで、まずは氷室さん、あなたの持つ無差別級ベルト、奪いに行かせてもらうわ!』


「おおっと、なんということでしょう、レイナ・シエロ、ユニット設立宣言! さらにはシャングリラを変革とも言っています! どうですか吉田さん」

「実質ヒール軍団の設立、と見ていいでしょう。元々個人で動いていた高峯選手、MACHIKO選手を取り込むことでユニットとしての形を整えたと言えると思います」

「ここで氷室選手もマイクを取りましたね」


『結構、群れないとベルと一つ挑む勇気もないわけですね。いいでしょう、それではまずは今日私に勝ったレイナ・シエロ、あなたを挑戦者に指名します。このベルト、取れるものなら取ってみなさい』


「挑発には挑発を、負けていません氷室選手。これは大きく流れが変わっていくかもしれませんね、吉田さん」

「そうですね。今日は高峯選手が静かでしたが、彼女も怖い存在ですからね」

「ビューティ・コネクションとしては切り札でしょうからねえ。さあ、これからのシャングリラ情勢、注目です!」


○レイナ・シエロ(16分52秒、シエロロック)氷室いずみ×


キャラクター名鑑 vol.10

リングネーム:氷室いずみ 本名:氷室和泉 身長:162センチ 階級:中量級

出身:東京都 スポーツ暦:自衛隊徒手格闘

得意技:ハイキック、ケルベロス

概要:自衛隊経験を持つシャングリラのエース。キックを得意とする。父親も自衛隊員で、幼いころから体を鍛えられていたため非常に頑丈な体を誇るが、やや関節技に苦手意識がある。

ソロキャンプでのんびり釣りや読書をするのが好きで、興行の合間の日には家に帰っていないことが多い。仲間からは冗談半分で山ごもりが趣味と思われている。

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