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地球に異形出現 幼女神あわてる  作者: SUGISHITA Shinya


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049 秡川が荒木田と榊原に講義をする

 秘書が荒木田の背中を押してドアを閉めてしまった。警官がドアの外を固める。


「聞きたいか?」

「「いいえ。聞きたくありません」」

「そうかそうか。聞きたいか。わかった。講義をしてやろう」

「「いりません。講義に抗議」」


「喜んでくれるか。話してやろう。俺が北海道に出張した時だ」

「「へえへえ」」

「真面目に聞け。だからお前らは落第しそうになったのだ。俺が関係教授に頼みに行ったのを忘れたか。何人もだぞ」

「「はいはい」」


「それで出張先の大学の法医に死体が持ち込まれた」

「「はいはい」」


「いちいち合いの手を入れるな。その死体がおかしい。腕が抜かれている。足が抜かれている。脛のあたりを持って腿に齧り付いたらしい。焼き肉にそんなのがあったな。足をもって鳥を食べるやつだ。あれとおなじだ。それが焼いてない人間の足だ。頭は食われていた。どこにも見当たらないから食ったものと推定される。首は、一気に噛み切られていた。腕も焼き鳥風に齧られていた。こっちは骨ごとだ。腹もひとかみで齧られていた。荒木田、お前これはなんだと思う」


「ヒグマとか」

「頭をパクッと一口だ。口の幅が足りない」

「違うか」


「榊原は」

「わかりません」

「ふん。だが正解だ。わからない。道警からはヒグマで頼むと言われた。事件を解決したいのだろう。だがそれは科学ではない。そこの法医の教授は道警の要望に従いたかったらしいが、俺が文句を言ってやめさせた」


「それでどうなったんですか」

「おれが出張から帰ったら、もう一度道警が泣きついてヒグマにしたらしい」


「それからしばらくしてもう一度同じような死体が出た。さすがに法医のおっさんはおかしい、危ないと思ったらしく、道警上層部に直接前回のことをたれこんだ。道警は前回の事件を捜査した。ヒグマにしてくれと泣きついた担当者が処分された」


「それで」

「聞きたいだろう」

「「はい」」

「よしよし。聞かせてやろう。聞いたら一蓮托生だ」

「「昔からそうです」」

「そうだったな。持つべきものはアホな教え子だ」


「それで俺が道警に呼ばれた。前回の解剖所見を聞かれた。おれはあれはヒグマではない。不明生物による食害だと意見を言った」

「なるほど」


「少なくとも口は成人男性の頭を一口でパクリできる大きさだと言った」

 少し用語が科学的ではないと思ったが余計なことは言わないに限る。


「それから」

「道警に緊張が走った。すぐさま猟友会と共同で不明生物を捜索した」

「「それで、それで」」

「よしよし。アホな教え子は可愛い。道警と猟友会は一週間追跡してやっとそやつと遭遇した。ヒグマどころではない。2倍くらいの背丈だ。まあ俺の想像通りだった。猟友会はライフルで一斉に射撃したが、一向に効かない。近くに自衛隊の駐屯地があったので機関銃を持ち出してもらった。自衛隊員は銃身を何回も取り換え、撃ち続けても仕留められない」


 話がヤバくなったと思った荒木田と榊原。

「先生。腹が空きました」

「逃すか。聞け」

「「へいへい」」


「それでもうるさいと思ったのか山の中に消えた。それからしばらくして山の中で猟師が異形の死体を発見した。どうも縄張り争いか何かをしたらしい。だいぶ損傷の激しい死体だった。あまりにも大きく重いので、すぐ現場に呼ばれ、現場で解剖となったが、刃が立たない。メスの刃がボロボロだ。俺が持っている名刀正宗の脇差でやっと内側からなら皮が切れた。外側からでは切れない。中は見たこともない臓器だらけだ。血液も地球上の生物と似た血液ではない。血液と言っていいのかわからない。青い。真っ青だ。循環していたらしい液体だ」


「それって獣医師の仕事ではないですか」

「ふん。おれは獣医師でもある」

「どうりで人間に乱暴なんだ。動物並みに扱っている」


「うるせえやつだ。続きだ」


「中央を巻き込んで大騒ぎになった。地球上の生物とは思えない。そして凶暴で一頭も討伐できない。とりあえず、情報、対策を一本化することが決まった。警察庁内部の異形等対策室だ。初代の室長はエリート官僚崩れで現場を見たら逃げた。それで俺が室長になった。ことの重大性から警視監になって警察組織を自由に動かして良いことになった」


「なんで室長に」

「俺が想像で描いた異形の生物の絵が本物とよく似ていたからな」

「化け物には化け物というわけですか。類は友を呼ぶ」

 ゴン、ゴン。殴られた二人。


「おめでとう。お前らは今から異形等対策室の室員だ。俺の手足になって前線で死ね」


「あのう。病院の職員ですが」

「ここの病院長は、本院の病院長の言いなりだ。本院の病院長には貸がある。心配することはない。当面兼任でいい」

「ああああ」

 どこかにいたな兼任と思った荒木田と榊原である。


「それで誰だ、腐乱死体と言ったやつは」

「宗形です」

 面倒だから白状した。


「だれだ宗像とは」

「今、山城稲荷神社に出向しています。女医です。宗形です」

「なんだ宗形か。なぜやつが神社に出向している」

「わかりません。教授の指示です。巫女さんの格好をしてお礼参りにやって来ました」


「行ってみるぞ。現状手がかりらしいのはそれだけだ。付いてこい」

「あの、病理診断が」、「外来が」

「お前たち腹が空いたのだろう。食事をして出かけるか」


 こちらのいうことは都合が悪ければ聞こえない化け物である。

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