Ep46 ドワーフはロリっ娘エルフをマイエンジェルと叫ぶ
三章開幕
「山、山、山、毎日毎日山登ったり、降ったりでいい加減飽きたでしー」
「おい、カバ太、そこの草、回復薬に使えそうだから毟っといてくれ」
「うー」
「って、ちょっと師匠聞いてるでしか?」
「いや、ぜんぜん」
「聞いてないんでしかっ!?」
「おっ、こりゃ純度は低いが、鉄鉱石だな。山に入ってから、ダウジングの調子がいいな」
「師匠! 師匠! ししょー、でし」
「ん、どうしたリーフ、さっきからうるさいぞ」
「もう疲れたでし、休憩したいでし」
ペタリとリーフが座り込む
「別に構わんが、ちゃんと夕飯までには帰ってくるんだぞ」
そう言って、ヒロは歩いて行ってしまう
「いや、ちょっと、師匠リーのこと置いてっちゃ嫌でしー! うぅー、やっぱりこの重い鎧外せないでし、あー、ホントに置いていくのはひどいでーしーよー」
まったく、わがまま精霊だな
最近製作技術が上がってきて、また調子に乗り始めたから訓練の意味も加えて鎧を強化した
けして、改造が面白そうだったとか
材料が余ってるだとか
チョロチョロ周囲を飛んでるのが鬱陶しかったわけではない
断じてないとあえて言っておく
それに、防具を重くするのはとてもいい成果を上げている
スキルもレベルが上がるにつれて中々上昇しなくなってくるが、肉体超強化は毎日のようにレベルが上がっている
生産系も生産狂人のおかげなんだろう、確実に上昇している
おかげで、木材、石材、製薬系統はレア度4クラスのものであっても、何度か作れば品質5は余裕で超えるようになってきた
最近の傑作は昨日完成したこれだ
破砕の石斧(武器)
切れ味:10.2 破壊力:25.5 耐久力:260
品質:10 レア度:5 威力向上+1
素材の能力を極限まで引き出している斧
ブロックゴーレムの石材をベースとしている
レア度4の素材の無駄使いの結晶体、ゴテゴテした見た目で耐久力低いんだよね
いつも思うんだが、鑑定の悪意を感じる
まぁ、実際切れ味、破壊力を優先するカスタマイズをしているため耐久力は低い
別に耐久力が低くてもすぐに修理できるし、壊れても材料の予備はいくらでもある
ちなみに、耐久力を優先するとこんな感じの武器になる
石砕の石斧(武器)
切れ味:2.1 破壊力:16.8 耐久力:895
品質:9 レア度:4
素材の能力を極限近くまで引き出している斧
ブロックゴーレムの石材をベースとしている
頑丈なだけじゃん
今まで斧がたぶん一番作っている武器だが、それでも品質10は厳しい
品質9なら、カバ太の鎖鎌や石砲も含めいくつかあるが、品質10はあいつにやった剣と臼砲あと斧、それとこれでまだ4つ目だ
検証のために、一応取っておいたベビービギナートレント材(レア度1)を加工して斧を作ってみたが、20本作って品質9が19本、品質8が1本だった
魔物でもそうだが、ランクやレア度の差1つはとんでもなく大きいみたいだ
いやまぁ、オレの精進が足りないってのもあるんだろうが
「うーーー!」
山の中を素材を探しながら歩いていると、急にカバ太が声を上げて走り出した
「おい、カバ太待てって」
慌てて、追いかけるとそこには一匹の魔物がいた
ガオルドス
<ランク4>
森の中を住処とする猛獣
強靭な体毛で覆われ、非常に獰猛
オレの先を走るカバ太は、熊のような魔物『ガオルドス』に向かってスピードを上げ、横合いから体当たりをかます
「うーーーー!!!」
「ガァアア」
体長3mはあるであろうガオルドス
しかし、防具も入れて体重100キロを余裕で超えているカバ太の体当たりには耐えられず、吹き飛んでいった
不意打ちだったこともあり、ガオルドスのHPは3割ほど減っている
だが、なんでカバ太は急に走り出したんだ
草むらを抜けた瞬間、オレの疑問は解決される
先ほどまでガオルドスが立っていたところには一人の女の子がいた
名前はシエータ、色は黄色
またもやイベントキャラクターか
「えっ、あっ」
「もう大丈夫だ、安心しろ」
恐怖で腰が抜けて立てないのだろう、錯乱状態の彼女に近寄り優しく撫でてやる
「ウガァァァァアアアアアア!!!」
どうやらカバ太の攻撃をくらって、完全にあっちは激オコ状態だな
ガオルドスは激しい爪を振り回しカバ太に襲い掛かる
「うーっ」
カバ太はそれを難なく後ろに飛んで回避する
仮に食らっても防具のある部分なら問題ないだろう
作ったオレが保証する
二度三度とカバ太に攻撃をするが、全部しっかりと攻撃を見据えて回避する
オレはその隙に石砲を準備する
しかし、急にガオルドスがオレの方に向き直る
どうやらカバ太への攻撃は、オレとカバ太を引き離す作戦だったらしい
獣のくせに頭が回りやがる
ガオルドスは、一気にオレとの距離を詰め、その強靭な爪でオレもろとも後ろの女の子も殺そうとしているらしい
オレの改造のせいでカバ太は既に小さな要塞のようになっている
一方、オレの方は10才位の少女と生産職だからな
横の石砲も射線からずれればただ馬鹿でかい音が鳴るだけのおもちゃだ
まぁ、オレだってアイテム収集のためにあの戦闘狂と冒険したんだ
これくらいのピンチ生き残れなければやってられない
ドガァ
ガオルドスの爪が届く前に、バトルツリーの丸太をストレージから出してブロックする
いくら強かったとしても、同じランクの中でも頑丈さでは上位に位置するであろうバトルツリーをへし折る力はないだろうと踏んで、瞬間的に出現させる
ストレージから出して、1分間は効力を発揮できないとはいえ、素材自身の耐久力がなくなるわけではない
まあ、ちょっと傷ついたが
そして、反対側から隙だらけの胴体に斧を打ち込む
「グガァァァァアアア!!!」
ガオルドスの叫び声が響き渡る
ギロリとオレの方を睨みつける
既にHPは半分も残ってないが、戦意は衰えないらしい
後ろには女の子がいるのでよけるわけにはいかないが
「うーーー!」
ガオルドスが攻撃に移るよりも早く、カバ太の鎖鎌が体に巻き付き反対側に引っ張る
ズガァン
ちょうど石砲の射線上にずれ込んだガオルドスに、一発打ち込んでやった
あまりの衝撃に倒れこむガオルドス、さすがはランク4といったところか、僅かにHPは残っている
「リーを忘れてもらっては困るでし」
そこにやっと追いついたリーフと
「うーーーー!」
カバ太の追い打ちによって、程なくしてガオルドスは今晩の生産と料理の材料になった
戦いの後、褒めてと言わんばかりに擦り寄ってくるカバ太の突進を何とかよけ
撫でながらも防具のチェックをする
「あ、あの、助けてくれてありがとうございます」
ガオルドスを倒したあと襲われていた少女、シエータがオレに向かってお礼を言ってきた
「気づいたのはオレじゃない、礼を言うならカバ太に言ってやれ」
実際カバ太が気づかなければ、彼女は今頃ガオルドスのご飯になってるところだっただろう
というか、よくわかったな
よりしっかり撫でてやると、カバ太は「うーーー」と一層嬉しそうな声を上げて鳴いた
「あの、助けてくれてありがとう」
そんなカバ太にシエータが再度お礼を言う
「ここのところを撫でてやると喜ぶぞ」
「ふわぁ、やわらかくて、あったかい」
「うーーー」
そうなのだ
いくら鍛えても、カバ太枕はポヨポヨで最高の寝心地を提供してくれる
相変わらず白い謎生物だが、本当に役に立つ相棒だ
既に簡単な料理ならばオレより上手い
そのうち会ったら、シーチに習わせるのもありかもな
「師匠ー、リーを置いていくなんてひどいでしー」
そして、リーフも不満をたらたら言いながらそばに寄ってきた
やっぱりこのサボリ精霊、だいぶ体力を残していやがったな
あとで防具の増量をしておこう
そんな時
「おい貴様ら、儂のマイエンジェルに何しとんじゃぁああああああああ!!!!!」
と、森の奥から一匹の毛むくじゃらの変態が出現した




