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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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聖域を守るための結界

 聖域を区切るために必要なものは、物理的なものではない。それをしてしまえば、ユニコーンを閉じ込めるという風に見られてしまう可能性がある。

 セレーネにその意思はない。逆にユニコーンを守るという考えしか持っていなかった。

 そんなセレーネが考えた聖域を区切る方法は、ナタリアが開発した下水道に施している魔術陣にある。

 対象を選択して、その対象のみに魔術を働かせるという術式。条件起動と似ているが、条件起動は起動のタイミングの指定となる。

 ナタリアが開発した対象指定は、対象のみに働かせる。つまり、同時に対象でないものが通ったとしても、そちらには一切の影響がないというものだった。

 魔術としてはかなり異質な術式のためか、その魔術陣はかなり複雑になっている。ナタリアは、これを他の街でも使えるようにするために多重化せずかなり複雑だが誰でも使えるような魔術陣にしていた。

 セレーネはそういった配慮をせずに即座に多重化して魔術陣を考える。そもそもこれは魔術として使うのではなく、魔術道具として使うもの。使いやすさなどよりも効率的に小型化させる方が利用しやすいのだ。


(元々考えていた【装甲結界】で壁の補強をする魔術陣が役に立つ。これで、選択した人だけに対して結界で弾くことが出来るはず。そのためには、思考機を使わないといけないけど、コアと【空間探知】が出来る機構だけで良いはずだから、ある程度小さく出来るはず。聖域に入るのは、私、マリアナ、スピカの三人。私達が対象から外れるための物を持っていれば良い。一応もしもの時のためにカノンにも渡しておくかな。それ以外を排除する形にする。本当は陛下達も含めたいけど、そもそも入る必要性がない。聖域に入るということになったら、その時に対応すれば良い。後は、この結界を張ることをユニコーン達に伝えて許可を貰えれば良い。よし。この形で進めていこう)


 必要なものは、結界の発生装置および思考機。結界を張る対象を識別するための【空間探知】は、結界発生装置に組み込む。認識するものは、それが人であることおよび目印となるものを持っているかいないか。

 ナタリアとの船の識別の話で、魔力結晶及び魔術結晶は、転移を使えば他の素材と融合してしまうことがわかった。これを利用した識別用の道具として、魔術結晶を組み込んだ木札もしくは金属札を用意するという形になる。

 それらの設計図が出来上がったところで、セレーネはナタリアの元に向かう。こうしたものの最終確認は、ナタリアに任せるのが一番だからだ。


「ひとまず、侵入しやすい場所を覆う感じ。情報を取得して分析させ続けるわけじゃないから、思考機も小さくて済むよ」

「聖域の中に設置する形ですか……」

「正確に言えば外だけどね。本来の聖域は一回り小さいから」

「なるほど。それであれば問題ないかと。スピカが視察する際に魔力結晶の交換だけすれば、魔力切れの心配もないでしょうから。聖域を区切ることで、冒険者達の侵入を阻む事が目的で間違いありませんね?」

「うん。この前の方法を使って、札を作るからそれを許可証にするつもり。聖域の出入りなら、これが一番良いと思うから。ネックレスタイプなら、外側に出さないでも大丈夫だし分かりにくいと思う」

「そうですね。私もそれが良いかと。ただ、やるのであれば徹底して行いましょう。聖域の全体を調査し完全に覆うという形が良いと思います」


 そう言って、ナタリアはこの一帯の地図を取り出した。細かな地形などは分かりにくいが、どこに何があるのかが分かるような地図だ。

 ただし、聖域の内部に関しては、ほとんど白紙の状態である。これは王令により、基本的に聖域への侵入が禁止されているからだ。例外はセレーネ達のように管理を任された者及び王族のみだ。

 空白である部分は、聖域の内部のみであるため、その外周だけはある程度判明している。カルンスタイン辺境伯領に面する方向と反対側には、崖が広がっている。

 これは、ユニコーンの骨がある洞窟のさらに向こう側となる。セレーネもそこまでは見に行っていないため、その地形を完全には把握できていなかった。


「この崖にも必要かな?」

「いえ、ユリーナに頼んで調べてもらったところ切り立つどころか反ってすらいるようですので、こちら側には必要ないかと。態々危険を冒してまで崖を登る必要もありませんから」

「わかった。それじゃあ、森を区切る形で設置した方が良いって事ね。マリアナとも相談してくる」

「はい」


 セレーネは、ナタリアの元からマリアナの元に向かう。そして、ナタリアと相談した内容も含めてマリアナに相談する。


「確かに崖側に関しては、あまり調査をしていませんでしたね。この辺りはカルンスタイン領の最北端にあたる場所です。この向こうにも別の領がありますが、湾を挟んでいますので、交流はほとんどありません。港が出来れば交流も盛んになるかもしれませんね」

「そうなんだ。一応、挨拶の手紙とかは送ったところだよね?」

「はい。本格的な交流は街が出来てからとなります。まだ招待する事ができるよな状態ではありませんし、長く空けておく事ができるような状態でもありませんから」


 まずは自領の安定化が優先となる。領主の引き継ぎなどであれば、もっと早く動くこともできるが、新しい領を作り上げるということになれば、こちらを優先しなくてはいけない。そもそも領地が成り立つかどうかの問題にもなるからだ。

 辺境伯領という事もあり、王家や公爵家からも出資を受けているため、開発資金には余裕がある。カルンスタイン領が、安定化し運営できるようになれば、この地の守りが固くなる。出資は当然のものだった。


「それじゃあ、頑張らないとね。私は、これを作ってくるから、何かあったら屋敷の方に来て」

「はい。かしこまりました」


 設置場所などの確認を終えたセレーネは、必要な個数などを計算して製作に掛かる。

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