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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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街に必要な施設

 それから一週間が経つと、セレーネ達も新しい屋敷での生活に慣れ始めた。

 フェリシアは、ナタリアと共に海の敵に対する防衛機構の開発を行っている。基本的に氷魔術を使ったものであり、防衛後の事も考えての開発となっていた。そのため、少々苦戦を強いられつつも少しずつ進んでいる。

 ユイは、各地から送られてくる降雨量測定魔術道具と水位測定魔術道具の調査結果をまとめながら、学術都市における教育課程を練っている。学術都市において、その名前に相応しい教育を受けられるようにするためだ。これは、セレーネとマリアナから頼まれた事であるためにユイも真剣に取り組んでいた。元々自分の研究内容だったという事もあって、その時に得た知識などを総動員していた。

 ミュゼルは、フェリシアが担当していた水質調査魔術道具と空気質調査魔術道具の調査結果をまとめている。それと並行して、撮影機の改良などを進めている。光魔術を用いた閃光による暗闇での撮影など撮影に便利な機能を付けようとしているのだ。これらはセレーネの助言を受けながらの改良となっている。

 ナタリアは、総合研究室主導の研究として、大型漁船の開発を行っていた。大型の魔物による襲撃等に耐えられ、釣り上げた魚を保存する機能及び乗員が生活出来る空間の確保。マリアナから要求されたスペックはかなり高いが、それでもナタリアは不可能とは言わずに研究をしていた。それらが可能になれば、より安全に漁獲が可能となるからだ。運用が難しくなる可能性もあるため、その辺りはマリアナとの相談により決まってくる。

 スピカは、聖域にて調査を担当する。先の儀式魔術による浄化の影響やユニコーン達との交流、調査魔術道具の点検などを担当している。これらは教会の聖女としての仕事にもなるため、教会の仕事をこなしているというようにもみなせる。


 セレーネは、これらの報告を受けつつ、街に必要な施設などの吟味を行っていた。


「魔術道具を使うから、発電施設とかは必要ないね。ひとまず、ゴミの処分場かな。後は排水設備は?」

「現在街道予定地を決めているところですので、それが終わり次第作業に掛かる事になります」

「そっか。他に必要なもので言えば……冒険者ギルド?」


 いつまでも騎士団に魔物の処理を頼む訳にもいかない。街の内部は衛兵達が対処するとはいえ、魔物以外の脅威へと対処しないといけない騎士が魔物退治を行っていれば、いざという時に動けないからだ。

 だが、これにも少しだけ問題がある。


「そうですね。聖域への進入を防ぐ術が欲しいところです」


 聖域への侵入は、なるべく避けなくてはいけない事だった。これに関しては、ずっと前からどうするかという話になっている。セレーネとスピカがユニコーンの機嫌を取れるとはいえ、聖域を荒らせば怒りを覚える可能性は高い。

 悪意のないものであれば、ある程度対処は可能かもしれないが、中には悪意を持って聖域を侵す者もいるという風に考えられる。そういった悪意の塊をセレーネは知っている。


「う~ん……出来なくはないかな。そっちはそっちで研究して良い?」

「はい。お願いします」

「急ぎだとそれくらいなのかな。銀行は?」

「既に話は通してありますので、土地の相談をしてからというところです」

「そこら辺はマリアナに任せるね。私よりもマリアナの方が適してると思うから」

「はい。他にセレーネ様が必要だと思うような施設はありますか?」


 マリアナの確認に、セレーネは少し考える。街として機能させるために最低限必要なものと考えて出て来たのが、ゴミ処理施設、排水設備、冒険者ギルド、銀行の四つだった。


「う~ん……冒険者がいるなら工房とかが欲しいけど、それは私達が運営するよりも鍛冶職人が開いてくれるのを待つのが良いだろうし……」

「声掛けはしておきます」

「知り合いがいるの?」

「そうですね。高等部卒業後に工房に弟子入りした子がいます。あの子は優秀でしたので。独立しても問題がなさそうであれば、こちらに来るのはどうか確認してみましょう。もう一つ、私の部下としてフィアンナが明日到着予定です。引き継ぎなども済ませているようですので、その辺りはご安心ください」

「そっか。マリアナには色々と頼みすぎてるもんね。でも、そんなに早く独立出来るものなの?」

「どうでしょうか。あの子なら、独立出来るまで力を付けていても可笑しくはないと思います。なので、声掛けはしておきますね」

「うん。鍛冶工房が出来るなら、衣類の工房も欲しいね。そっちの伝手はある?」

「あるにはありますが、同じように高等部時代の友人になりますね」

「マリアナの伝手って高等部時代の友達だけ?」


 セレーネはここまでマリアナが集めた人材が、全てカノンも含まれる高等部時代の友人だという事に気付き、その伝手が高等部の友人に偏っているのではと考えた。

 それに対して、マリアナは苦笑いしながら答える。


「いえ、友人という点では他にもいますが、必要な人材となると高等部時代に偏ります。あそこでは、分野が偏っていませんでしたので、広い分野の人材が集まっているのです」


 アカデミーになれば専門的な学問を扱うが、学園では満遍なく様々な学問を学ぶ事になる。そのために学園時代の友人の方が様々な分野に精通している。必要な人材が一つの分野に偏っていれば、もう少し変わっただろうが、現状多くの分野の人が欲しいために高等部に偏っているのだった。


「ふ~ん……私は特別クラスだったから、そういう人脈は全然ないかも。王族くらい?」

「別の意味で凄い人脈ですね。取り敢えず、この街で服を作る事が出来るように工房を建てるでよろしいですか?」

「うん。他の街から輸送して貰う事もあるかもしれないけど、こっちで作れても良いと思うし、その方向で進めていこうかな。領運営じゃないから、その部分はしっかりと伝えてね」

「かしこまりました」


 街に必要な施設と人材は、マリアナの伝手で進める事になった。ある程度の方針と必要なものが決まれば、後は報告を待つだけとなるため、セレーネは執務室で情報を整理してまとめてから、聖域を区切る魔術道具の開発に挑む事にした。

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