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先祖返りの吸血鬼は、気ままに研究がしたい  作者: 月輪林檎
領主

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聖域の根幹

 ユニコーン達は【投影結界】に映し出される地図を興味深げに見ていた。


「気になる? 聖域の地形だよ。これが分かると、聖域の安全な場所とか危険な場所が分かったりするんだって。雨が降ったときに水が溜まりやすいとかね。皆はそういう場所に心当たりとかない?」


 セレーネの問いに、ユニコーン達が顔を見合わせる。そして、一番大きな個体がセレーネ達を先導するように歩き始めた。セレーネ達が付いて行くと、少しだけ水が溜まっている場所に着く。


「窪地になっているようですね。周囲の木々によって日光が遮られていますので、先日の雨が溜まっているのでしょう。それにしては濁りなどもありませんが」

「ユニコーンの力かもね。ここにも魔術道具を置いておこう。良くない水になっていたら、すぐに対処出来るようにしたいから」


 そこからユニコーンに先導されるようにして、窪地となっている場所及び日があまり差し込まない場所に向かって行き、魔術道具を設置していく。その間も【空間探知】を使い続けて測量は続けている。セレーネが解除しない限り使用し続ける事になるので、持つのはセレーネでなくても構わない。なので、設置している間は、スピカが持っていた。


「ん? セレーネ様。この近くに洞窟のような場所があります」

「洞窟? 山があるの?」

「小さなものですが、あちらの方角に。木々によって隠されていますが」

「そうなんだ。行っても大丈夫かな?」


 セレーネはユニコーンに確認する。ユニコーン達は互いに顔を見合わせてから頷いた。


「よし。じゃあ、その洞窟に行こう。スピカは、その洞窟について何か聞いてる?」

「いえ、聖域に関しては、これ程まで深く調べたという記録はありませんでした。マリアナとも確認しましたので間違いはないかと。そもそも聖域を侵す事になりかねないという事がありますので、調べる事は出来ませんでしたから」

「そっか。警戒はしておこう」

「はい」


 ユニコーンが案内するという事はある程度の安全は確保されているはずだが、それでもセレーネ達にとって安全とは限らない。そのため警戒だけはしておかなければならなかった。

 そのまま十分程歩いて行くと、洞窟が見え始める。洞窟は、五メートル程の崖にあった。


「砦からは見えないくらい奥?」

「進んだ距離から考えてそうでしょう。ここは他の場所よりも何か強いものを感じますね」

「うん。私達は中に入っても大丈夫なの?」


 セレーネの確認に、ユニコーン達が頷く。ユニコーン達が更に先導するので、セレーネ達はゆっくりと洞窟の中に入っていく。セレーネは【空間探知】で洞窟の全貌を確認していく。


「この先に天井が割れてる場所があるから、空気的には大丈夫そうかな?」

「なるほど。念のため、空気を流すようにしておきます。毒が溜まっている可能性もありますから」

「あ、そっか。空気よりも重かったら、天井が空いていてもあまり意味ないもんね」


 スピカが風魔術で空気の循環を促す。最大限の安全を確保しながら先へと進んでいった。すると、洞窟の天井にある切れ間から陽光が差し込む場所に着いた。そこから奥に進む道はなく、行き止まりになっている事が分かる。

 その中央に凜として立っている一頭のユニコーンの白骨死体がいた。セレーネがどこをどう見ても骨だけになっているが、それが崩れる事もなく立っている。

 異常さもあるが、それ以上に神秘的な光景になっていた。


「ひひ~ん!!」


 ユニコーン達が嘶いて頭を下げていく。セレーネとスピカもつられるようにして頭を下げる。すると、洞窟内に高い音が響き渡る。それはセレーネ達にとっても不快な音ではなかった。

 音が消えた後に、セレーネ達は顔を上げて周囲を見回す。陽光に照らされている骨は、風化しているようにも見えず、雨で濡れている様子もなかった。


「太陽が差し込んでいるのに、雨の被害は受けていないのかな?」

「乾燥が早いにしてもおかしいので、その通りかと思われます。ここが聖域の中心なのかもしれません」

「あの泉は? 偽物?」

「いえ、あちらもあちらで力は感じ取れました。ですが、こちらの方が強く感じ取れます」

「ふ~ん……まぁ、いいや。取り敢えず、ここの外に設置しておこう。こうなると空気の検知機能とかも欲しいよね」

「空気の汚染を調べるのなら必要になりますね」

「ちょっと改良して入口に置いておこうかな」


 セレーネは、雨量測定魔術道具を設置した後、水質調査魔術道具を改良して成分分析対象を空気とした空気質調査魔術道具を即席で開発した。それを洞窟の入口に設置して、内部の空気の成分分析を出来るようにした。


「ここが安全な場所かを調べるためのものだよ。次に来た時はお花とか持って来た方が良いかな?」


 セレーネの問いにユニコーンは首を押し付ける。セレーネは、その行動を肯定的に捉えた。その理由は、クロが同じような行動をする事が多いからだった。


「それじゃあ、次に来る時はお供えするための花を持ってくるね」


 セレーネはユニコーンを撫でながら伝える。すると、ユニコーンは一旦セレーネから離れて、五頭全員で頭を下げる。それが感謝を伝えているという事にセレーネとスピカも気付いた。


「どういたしまして。じゃあ、また案内をお願いして良い?」

『ひひ~ん!!』


 セレーネとスピカは、ユニコーン達に案内されながら聖域を歩き回っていき、魔術道具の設置を進めていった。一通りの設置を終えたところで、二人はユニコーン達に別れを告げて、聖域を出て行った。総じて五時間程の作業となった。

 セレーネ達がカノンの元に戻ると、牛型の魔物を解体しているところだった。


「カノン、ただいま」

「おかえりなさいませ。長かったですね」

「うん。意外とユニコーン達が協力的だったから。沢山設置できたんだ。色々と気になる事もあったけどね。あそこが聖域と呼ばれてる訳が、泉の他にもあった事が分かったよ」

「それは……外に出して大丈夫なものですか?」

「ううん。私とスピカとマリアナだけで共有する。その方が良いでしょ?」

「はい。情報を持つ者は少ない方が良いですから。特に聖域に関しては」

「うん。まぁ、ユリーナの耳には入るだろうけどね。それじゃあ、砦に帰ろう」

「はい」


 聖域への調査用魔術道具の設置を終えたセレーネ達は砦へと帰還していった。

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