第5話 崩壊
毎週午後6時に投稿することにします。
曜日は決まっていませんが週1~7回更新予定です
カンカン・・・カンカン
城の中央にある鐘が鳴り響いた、今日の訓練終了の合図だ。
音が収まると同時に多くの騎士が訓練場から立ち去りあっという間に俺とクーヘンの二人だけになった
「今日で一週間か、最初のころからお前は強かった。だがここ最近ますます強さに磨きがかかっている、騎士団の中でもお前は上澄みだろう」
「けど、まだまだ上がいるんだろ?」
「ああ、本気でやれば私はお前に勝てる・・・けど時間の問題だ、いずれ追い抜かれる日が必ず来る。」
嬉しそうな複雑そうな、そんな顔をしながらクーヘンは腰を下ろした。
さっさと帰宅したかったが何か話があるとばかりの態度をとっている奴を見て俺もその場に座ることにした
「もう訓練時間は終わったぞ?帰っていいんだぞ?」
「あんたが話をしたそうだったからな、手短に終わらせてくれるのなら聞いていく」
「フッ・・・察しがいいな、言いたいことがある・・よく聞いてくれ」
いつにもまして真面目な表情をしてクーヘンはこちらを見た、最初に出会ったあの時よりも真面目な顔をしている。
何かとんでもないことを言い出しそうな予感がした。
「お前は十分強い、私の想像を遥かに超える強さを持っている・・・ここで2年間も修行をする必要はないだろう、半年もあればお前なら旅立つことができる」
「半年?いくらなんでも早すぎるんじゃないか?」
「いいや、十分だろう・・お前の目的は本当の母親を探すことだ、モンスターと戦い世界を平和にするわけじゃない。
半年もすればお前は世界各地を旅することができる。」
そうだ、俺の目的は本当の母親を探すことで世界平和とかをするのが目的じゃない。
邪悪な魔王を倒すのは俺の役目ではないのだ
俺は強い、だが所詮は一般的な強さであって魔王退治やこの世界を平和にするほどの力は持ち合わせていないのだ。
俺はただの一般人にすぎない、浮かれていてその事実を忘れそうになっていた。
「この世界には魔王と呼ばれるモンスターたちの王がいるみたいだが、魔王を倒すのは勇者と呼ばれる英雄の役目だ、俺達みたいな普通の人間は各々の人生を歩み悔いなく過ごすのが正しい在り方だ。
お前もまだ18歳、半年後に旅立てばこれからの人生を謳歌するほどの時間があるハズだ。
旅先で伴侶を見つけるのもよし、新たな地で過ごすのもよしだ。」
これからの人生、俺はただ村で平和に暮らしたいだけだったがいつの間にか多くの選択肢が生まれてしまっていた。
ただ一本のレールの上を歩く、それが不安や不満を抱えず平和に生きるための在り方だと思っていたからだ。
「俺はこれから先もあの村で過ごしたいと思っている、あそこが俺の故郷だからな」
「世界は広いぞ?多くの王国や町があり・・・いや、お前の人生に口出しすべきではないな、お前が生きたい道を進むのが一番だろう」
「な、なんだよいきなり落ち着いて・・」
「お前は親友の息子だからな、だがお節介が過ぎたな。」
クーヘンは一息つき、話をつづけた
「お前の父親は大変な人生を歩んだ、騎士団に入団するために50回以上試験を受けたり、入団をした後も三流騎士として大したこともできず雑用の仕事ばかり。
結婚し子を設けたと思えば妻は行方不明・・・最期には自分自身も・・。」
「苦労してきたのはわかったが50回以上の試験が気になる」
「昔は騎士団も入団するのには試験があったんだ、今では人手不足ということもあり誰でも歓迎だがな。
俺は一発合格だったがあいつは何度も落ち最終的に50回目でやっと入団できたんだぞ。
あいつの記録はいまだに打ち破られたことがない数字だ」
俺は呆れた、何も知らないとはいえ自分の父親が50回も試験を受けていた事実に酷く呆れた。
そこまでするのなら別の道を進んだほうがいいと思う、俺が知らないだけでどうしても騎士になりたい理由があったのだろうか。
それともただの大バカ者だったのか。
「けどあいつはとてもあきらめが悪い奴だったぞ?お前の母親でもあるミネルバは教会のシスターをやっていたんだ、あいつは毎日毎日教会に通い詰めてお祈りとミネルバに思いを伝えていた。
最初はミネルバも呆れていたが次第に仲良くなり最後には本当に結婚してしまった」
「あきらめが悪いというより迷惑なだけじゃないか?」
「ハッハッハッハッハ!まあだが諦めなかったからこそあいつは望むもの全てを手に入れることができた!・・・まだどこかでミネルバのことを探しているかもしれんな・・。」
嬉しそうな表情、だがどこか悲しそうな表情をしながらそうつぶやいた。
まだどこかで生きているかもしれない、そう思わせるほど自分の父親は図太い奴らしい。
俺達が会話を続けて数分経った、他愛のない会話ばかりだったが俺も悪い気はせずクーヘンが満足するまで付き合った。
話をし始めて1時間近く経過したところ、クーヘンがつぶやいた。
「ふむ・・もうこんな時間か、そろそろ来てほしいもんだが」
「なんだ?誰かを待っているのか?」
「ああ、大切な話がもうひとつあるんだが・・・お前にだけ先に伝えてしまうか、明日・・」
そう言いかけたところ入り口の扉が開いた、そこには疲労して今に倒れそうなミーンと満足な顔をして嬉しそうなフォーリアスがいた
「遅かったな、訓練時間終了はとっくに過ぎているぞ?」
「すまないな、思いのほか盛り上がったものでな。」
「おい、大丈夫か?フラフラしているが」
「だ、大丈夫大丈夫・・・」
いつもの元気が一切感じられないほど疲弊している、訓練をしていたんだろうが何をしていたかまでは聞かなかった、まるで壊れた笛のようにヒューヒューと呼吸をしている彼女を見て問いかける気がしなかったからだ。
「さて、では改めて伝えよう、二人に大切な話がある」
疲れているミーンを気にせずクーヘンは話を始めた
「明日お前達二人には王国の外に出てもらい、モンスターを退治してきてもらう」
本来騎士というのは一か月間王国で鍛錬を積み、そのうえで念入りに準備をし、日程を整えその時の天候を考慮したうえで初めてモンスター退治の試練を課せられるらしい。
だがあろうことかこいつはまだ一週間程度の俺達にモンスター退治を命じてきた。
「い、いきなりすぎるぞ!俺はまだ一週間程度しか訓練していないんだが!」
「いいやもう十分だ、今のお前ならこの辺りのモンスターを退治することができると私は思った。
ミーンはまだ力不足なところがあるがそれでも十分だ。」
「ゼロン?お前は私達が思っていたよりずっと強い、騎士団の中でも凄腕新米騎士がいると噂になっているぞ?」
クーヘンもフォーリアスも問題ないといわんばかりに俺のほうを見て会話を続ける
「ゼロン、お前は明日王国の外に出てモンスターを退治をしてくるんだ。
ミーンも同行させる・・・そしてお前がミーンのことをちゃんと守ってやるんだ」
「騎士は誰かを守るのも仕事、ミーンはまだ力不足・・・だからこそ体を張って守ってあげるんだ、明日の試練をこなすことができたらお前はクーヘンの隊に正式加入させる」
「まじかよ・・・」
「マジだぞ」
真面目な顔をしている以上冗談のつもりは一切ないようだ、ミーンを守りながらモンスターを退治してくるなど実戦経験がない俺にできるのだろうか?
また不安と緊張の気持ちで不快な気分になった。
「だ・・だ・・・大じゅおぶ!足手まといになら・・・ないからあ!」
ミーンは荒い声を上げて問題ないといっているが今のこの姿を見て大丈夫だと思うほうがどうかしている。
命をかけるような試練なんだからむしろついてきて来ないでほしいとまで思った。
「伝えることは以上だ、明日は正門前に行き待機していろ。では解散!」
そう伝えるとクーヘンとフォーリアスは訓練場から出ていった。
「まさかこんな早くにモンスター退治して来いといわれるなんてな・・」
「で・・・でも・・・が・・・頑張ろ・・・!!」
不安しか感じないが、俺はミーンと共に酒場で食事をし家に帰ったらすぐに寝た。
次の日の朝、天気は晴天でまだ人声も少ない朝の時間に俺達は正門前に集合した。
「なあ、お前はその・・・戦いになったら後ろに下がっていろ、モンスター退治は俺がやる」
「馬鹿にしないでよ!私だって一週間ちゃんと訓練したんだから足を引っ張らないわ!」
今まで俺はこいつの元気と強引な性格に助けられていた。
だが今だけは心の底からその元気を内にしまってくれと思っていた。
遠くのほうから人影が見える、こちらに近づいてきている。
背丈からして男性ではあるがクーヘンではないようだ。
「おっす!ゼロン~!ミーンちゃん~!クーヘン団長からの伝言だぞ~!」
男はなれなれしく語り掛け、ひょうきんな態度で続けた。
「え~、お前達にはオークを討伐してきてもらう!討伐の証明としてオークの槍を1本持ってくるように!オークは王国から出て北に進んだ広い森の中にいるから迷わないように!・・・とのことだ」
「オークっていうのは豚みたいなモンスターだよな?本で見たことがあるが」
「実際のオークは見たことがないわ、私達」
「まあ田舎からきたお前らじゃ見たことはないだろうな、といってもあの森でオークなんてそう珍しいもんじゃないからすぐ見つけられるだろ。しかし一週間足らずでモンスター討伐の試練をやってこいだなんて団長もめちゃくちゃいうよなぁ~!まあこの俺ダストン様も入団一か月後には同じことをしてきたわけだがぁ~!あの時はフォーリアス様が監督をしてくださったからいいけどお前たちの場合は先輩がついてくれないから不安しかないだろうなあなぁ~!」
ダストンという男は早口で喋っていたが、とりあえずオークは森の中では普通にいることはわかった。
「・・行くか、ミーン」
「そうだね、いこっか」
「ああ帰ってきたらちゃんとオークの槍を団長に見せるんだぞ!じゃあ俺は帰るからあとは頑張れよ~!」
ダストンの最後の言葉を聞いて、俺達は城の門を開け外に出た。
ここから先はモンスターが現れる、そんな未知と恐怖の世界だったが俺達はそんなことも忘れてしまいそうな広大な景色を目の当たりにした
「うわぁ・・・すごい景色・・・!」
目の前には草原が広がっていた、草原など村ではよく見ていた・・・だがそれとはスケールが違った。
どこを見渡しても緑一面の絨毯が広がり風に吹かれなびく草はまるで一つの生き物のようにそれぞれが一糸乱れぬ動きをしていた。
世界は広い、その言葉の意味がすぐに分かり俺は感動を覚えてしまった。
「森は北にあるって言っていたよね?このまままっすぐ進めばいいのかな?」
「ああ、そうだな・・・行くか」
ミーンに嬉しそうな表情を悟られぬよう俺は足早に森がある北のほうに歩いた。
草原は俺達の足首程度の高さしかなくとても見渡しがよかった、緑いっぱいに広がる草原は歩いても歩いても同じ景色しか見せてくれない、しかしいくら見ても飽きない光景だ。
村の草原なんかとは比べ物にならない広大な草原にいつまでも目を奪われ続けている。
だが忘れてはいけない、この辺りにはモンスターがいるのだ。
モンスターのことなど何も知らない俺達からすれば奴らがどこから襲い掛かってくるかなど見当もつかない。
モンスターの背丈が俺達と同じならまだいい、だがこのわずかな草原に身を潜めることができる程度の大きさならば?草に似たモンスターがいたりしたら?
あらゆる可能性を考えだしたら先ほどまで神秘的だと思っていた草原は途端に巨大なあり地獄のように思えてきて俺は手を腰かけている剣の傍においた
「油断はするな?いつどこからモンスターが現れるかわからないからな」
「う、うん、わかっているわ」
俺達はあたりを見渡しながら北のほうに進み続けた。
歩き始めてどれだけ経っただろうか?時間がわからぬまま辺りを警戒しながら歩いていたら巨大な森が見えた。
「あれがオークが住んでいる森かしら?すごい広そう・・・」
森に近づくにつれて無数の木々は俺たちのことを見下ろすかのように上に伸びていく、森の奥は暗く巨大な迷路のように入り組んでおり入ったら二度と出られない。
神秘的な草原とは違い恐怖を感じさせるような作りになっていた。
「ここから先はオークの住処になるだろう。本当にお前もついてくるのか?」
「二人に課せられた試練なんだから当然よ。ちょっと不安だけど貴方に守ってもらうから大丈夫。」
何が大丈夫かなのか、それだけ俺の力を頼りにしてくれているのか。
それとも何も考えていないのか。
前者ならまだいいがそれでも俺が絶対に守れる保証もない、だが幼馴染をケガさせたりなんかしたら母さんに絶対にどやされる。
何があろうとも守ってやらないといけない。
俺は後ろを振り返る、遠くには俺達が王国が見える。
「ここまできて帰る選択肢はない・・」
決心がついたところで森の中に足を踏み入れた、森中からは木々が揺れる音に鳥の鳴き声が聞こえ至って普通の光景だがよく見ると木のところに何かで斬りつけたような跡が残っている。
「こ、この木には穴が開いているけどオークがあけたのかしら?」
ミーンの方向を見ると確かに木にはそこそこの大きさの穴が開いている。
切り跡に穴跡、オークは武器を扱えるだけの知能を持っている可能性が高い。
もしかしたら罠を仕掛けているかもしれない、あらゆる可能性を考え出すとまた極度の緊張を不安が俺を襲う。
だが戦場において冷静さを失うのは一番危険だ、何度も何度もクーヘンにそう教えられたことを思い出し俺は深呼吸をしいったん落ち着いた。
「森の奥のほうに行けばオークがいるかもしれない、もう少し進もう」
「う、うん、お願いね」
ミーンは震えた声に青ざめた顔をしながら俺の服の袖を掴んできた。
わかっていたことだがやはりミーンにはまだ早すぎた。
俺は特別扱いをされていたから団長直々に教えてもらっていたが本来ならばまだ武器の持ち方を覚えた程度の新米。
しかも女性ともなれば不安でいっぱいな気持ちになるのは当たり前のことだ。
いつもは引っ張ってくれていた幼馴染を俺が引っ張る側になるとは。
ミーンが転ばぬように歩幅を合わせながらゆっくりと森の奥へと進んでいく、生い茂った草木を剣で切り裂きながら奥へ奥へと進んでいく。
視界が悪くなり前も後ろもわからなくなるほどに同じ光景が続いておりまた不安と緊張が俺を襲いだした。
呼吸を整えて前を見ているがそれでも不安がぬぐいきれなくなってきている。
「ね・・ねえ、オークってどこにいるの・・・?全然見かけないけど」
ミーンがかすれた声でそうつぶやいた、確かにそうだ。
ダストンの話ではオークなんてすぐに見つけられるとのことだったがかなり奥に進んだにもかかわらず一匹も遭遇していない。
すでにこちらに気づいておりなにか仕掛けようとしているのか?
それともオークの集落がありそこに集まっているのか?
森から出ていき別の場所に行ってくれたのなら平和的でいいが。
だがそんなことを考える余裕がなくなるほどの音が聞こえてきた。
「ね、ねえ!後ろから何か来ている!何かいるよ!」
足音が徐々にこちらに近づいていている、確実にこちらのほうに向かってきている。
「いよいよか・・・!俺の後ろにいろ、大丈夫だ絶対守ってやる」
「う、うん!わかった!」
絶対に守ってやる。
普段ならば自分で言うにしては少しこっぱずかしいセリフだと苦笑いをしているところだったが今はそんな余裕はない。足跡はもうすぐそこまで来ている。
剣を力強く握りしめいつでも攻撃できる態勢にした。
戦いの準備が整ったその瞬間、足音の正体は俺たちの目の前に現れた。
「お・・・おいまじかよ!これがモンスター・・!」
王国で大男を見かけたことがある、身長が2メートルほどで威圧的な顔をしていた。
同じ人間でありながらどうすればそこまでの巨体になれるのか不思議に思うほどの大きさだった。
だがこの豚のようなモンスターはそれ以上だった、3メートル近い巨体に人間とは比べ物にならない太い腕。
手に持っている槍は人間一人分以上の大きさもあり先端は僅かに赤黒くなっている。
間違いない、こいつがオークだ。
「あ・・・あわわ・・こ、こんな大きなモンスターが・・・!」
想像以上の大きさに面をくらったが絶対に守る。
その言葉を思い出し俺は奮い立った。
「よし!行くか!」
こちらを見て動かないオークの懐に潜り込み、力いっぱい剣をオークの胸を貫いた。
グウウゴオオオオオオオオ!!
オークの鳴き声が森の中に響き渡る。
心臓を確実に貫いた、思いのほかあっさりだった
その直後俺の腹に激痛がはしった。
「ゴハッ!?」
オークが俺のことを蹴り上げたのだ、心臓を確実に貫いたはずなのにそれをものともせずにオークは反撃をしてきた。
そうだ、こいつは人間じゃない、モンスターだ。
俺はものすごい勢いで木に頭を打った、あまりの衝撃に一瞬目の前が真っ白になり体中が麻痺するような感覚に陥った。
「ぜ、ゼロン!ど、どうしよう!どうしよう・・!」
ミーンがこちらを見て慌てていたが俺は動揺しなかった
いや何も感じていなかった。
あまりの痛みに目の前のことに何も考えることができなかったのだ。
オークが槍構えこちらにもう突進を仕掛けてくる
「ハッ・・!」
槍は木を貫きバキバキと音を立て折れ地面に倒れた。
あぶなかった、ギリギリ交わせたからよかったもののあんなのをくらったら確実に死ぬ。
我に返った俺はまた剣を構えオークのほうを向いた。
だが最初と違いオークも槍を構えこちらの動向をうかがっている、隙を見せまいと威圧的な目線をとりながらジリジリと距離を詰めてきている
俺もオークの目を離さず奴が近づいてくるにつれて少しずつ詰め寄る。
(今度こそ確実に仕留める、懐に潜り込み剣を突き付ける・・)
オークとの距離がどんどん縮まっていくにつれてオークは槍の先端をこちらに向けてくる、向こうも俺のことを貫こうとしているようだ
オークとのにらめっこが続く中ふとミーンが静かなことに気づいた、俺は一瞬だけミーンのほうを向いたがそこにミーンの姿はなかった
「あいつどこに!?」
完全に視線を外した瞬間オークが超スピードでこちらに詰め寄ってきた
「しまった!」
死を覚悟したその瞬間、オークはまた鳴き声をあげた
グウウゴオオオオオオオオ
何が起こったのか、不思議に思った瞬間オークの後ろからミーンの声が聞こえた
「今よゼロン!」
その声を聞いた俺は全身全霊の一撃をオークに叩き込んだ。
先ほど切りつけた場所と同じところにもう一度剣を突き刺し今度は思いっきり斬り上げた。
服や顔に赤い液体が飛び散ってきた。
モンスターとはいえ血は赤い、それが分かった瞬間でもあった。
オークは倒れピクリとも動かなかった、どうやら倒せたらしい」
初めてモンスターに勝てた、しかもあんな巨大な相手に・・・だが俺が感じたのは嬉しさや悲しなさではない。ただ純粋に恐怖を感じた。これから先も何度も何度も命を懸ける戦いをすることになる。
その事実が俺の頭の中に残り続けた。
「よ、よかったぁ~!勝った!勝ったわよ!」
不安な表情の俺とは違いミーンは嬉しそうに語りかけてくる。
「どうよ!私のアシスト!背後から攻撃したことによって隙が生まれた!十分活躍したでしょ!」
「あ、ああ、ナイスアシストだった」
「えへへ・・・足手まといになりに来たわけじゃないんだからね!これで堂々と二人で成果報告できるわ!」
そうだ、とりあえずこれで試練は終わったのだ。
試練完遂の証明としてオークの槍を持ちかえり団長に報告をする、それでこの試練では終了だ。
「こうしてみるとオークの槍は貴方と同じぐらいの大きさなのねぇ・・・持って行ってくれるわよね?」
「わかっている、さっさと戻ろう」
「うん!フフ!帰って団長とフォーリアスさんに報告しましょう!どんな反応をしてくれるか楽しみだわ~!」
ご機嫌なミーンと共に来た道を戻り森の入り口まで戻ってきた、草原にモンスターの姿はなかったからもう戦うことはないだろう。
少し安心をした俺は疲れながらも森を出て城のほうを見た。
まだ太陽は真上にある、夕日が出ている時間ではない。
だが城は真っ赤に燃え上がっていた
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