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 それからしばらくして、ファルネーゼ枢機卿の悪事についての詳細な情報が、各地の有力者に届けられる。教皇の寝所にまで、彼の不正を暴く手紙が置かれていた。ファルネーゼ本人は不正を否定したが、結局彼は枢機卿を引退し表舞台から退くこととなる。

 そしてファルネーゼの後継者の元に、差出人不明の手紙が一通届けられた。そこにはただこう書いてあった。


「カラスはお前の頭上にいる」


 と。その下には一つの意匠が描かれている。鍵をくわえたカラス。裏社会の伝説――灰色烏の印だった。



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