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 収穫祭。カラブリアにとっては大災禍に見舞われてから最初の祝祭だった。今年は収穫はなく、人々はやつれているが、絶望しきってはいない。そして、その中心にいるのがイヴェットだった。


「ここにいたんですね、ウォーレスさん」


 再建途中の市庁舎を見ていた俺に、イヴェットが声をかけてきた。相変わらず男のような短髪だ。しかし今日はきらびやかな鎧を身に着けている。華やかさと凛々しさ、何よりも優しさがある。


「少し飲みすぎたからな。風に当たっている」

「よいお酒でしたからね。久しぶりにいただいてしまいました」


 イヴェットもほんのりと頬が赤い。


「あんたも酒を飲むのか」

「ええ。酔いすぎない程度に」


 俺の隣にイヴェットは立つ。カラブリアに来たばかりの時よりも、彼女は痩せたようだ。でも、その瞳は前よりも美しくなった。


「あんたの髪、短いままだともったいないな」


 酒のせいでつい口が滑った。


「あの時は驚いたよ。いきなり自分の髪を切るんだからな」

「騎士として、必要なのは容姿ではなく勇気と真摯さですから」


 俺が真面目な顔をして言うと、彼女はそう答えた。


「もし私が髪を伸ばす時が来るとすれば、それはカラブリアの復興が一区切りついた時。そして――良き殿方に、髪を伸ばしてほしいと頼まれた時でしょうか?」


 冗談だろ、と笑い飛ばすつもりだったが、俺はその機会を逸した。



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