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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第五章 妖しい瞳に ご注意
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城下のあれ、・・・・あれ?

ごぶさた

イルミダ・リンデン・サカエ、18歳。ダークブラウンの髪、細身で色白の容姿ではあるが、精悍さも持ち合わせている。


サムニウム族の姫であり、先ごろのサムニウム族蜂起の当事者である。本人は実はヒストニア王国に対して蜂起するなどやりたくも無かったのだが、成り行きで担ぎ上げられてしまった経緯がある。


ひとつには、彼女がもたらした前世知識が火薬を産み出し、銃の製造を可能にした事。

そしてもう一つには、彼女の血筋が部族を束ねる王の家であった事。

そして彼女自身に、部隊を動かす才能があった事。


(だが、全てはもう、終わった事だ・・・。)


今の彼女は魔法使い。サムニウム族にとっては唾棄すべき存在である。それもこれも全て、サムニウム族の神の申し子、バンドーを冒涜してしまったが故なのだ。


牢獄につながれて極限の状態でバンドーに従うように言われた訳であるが、部屋と食事を与えられて落ち着いた気持ちで、我が主バンドーを観察してみても、その考えに変わりはなかった。


何となれば、彼は魔法を受け付けない。交戦時の巨大な魔力の光をみた彼女としては信じられないのだが、どうやら本当に魔力を所持していないようだ。それでいて、見る限りあらゆる魔法攻撃を分解吸収する。それがスキルによるものなのか、あるいは何らかの特殊な種族に起因するものなのか判断は付かないのだが、その事実は事実。それでいて、数多の魔法使いを従えている。イルミダには判るのだ。彼女の持つスキル、『深淵を探求するもの』はレイと同じく、スキル持ちを看破する。ある程度のステータスも鑑定可能。

だが、それをもってしてもバンドーが持つスキル『魔力分解』の効果までは類推できない。もっとも、彼女にとって『深淵を探求するもの』というスキル自体、、サムニウム族の至宝『ゴルツの鏡』が割れた事による二次的効果であったが為に、未だ完全に使いこなせないでいるせいでもあるのだが。


交戦時に一緒にいたティアと名乗る少女、空飛ぶ盾を操るフィーネしかも彼女はヒストニア王国の王族であるらしい。召使のようにふるまう幼い少女カスミも鑑定する限り侮れない才能を持ち合わせているし、アメリアという純血エルフの女も高位のエルフ種族固有魔法を持ち合わせている。


「イルミダは、魔法ギルドに行って第2位階を好きに覚えてきていいぞ。」


「はっ? ・・・はい! 」


思索にふけっていた自身の思考が一瞬で吹き飛ぶ。ここは冒険者ギルド前、自分は今日の朝、バンドーに連れられてデスパレスの街にいる。


どうやらイルミダの魔法習熟度は常人より上がりが速いようで、覚えた第1位階の魔法習熟度はいつの間にかMAXに達していた。実はそれは彼女の持つスキル『大魔導師の末裔』のせいで、習得経験値が半分で済んでいるのだが、初めて位階魔法を学んでいる彼女には、それは自覚できない。


「バンドー様はどちらに? 」


「俺はちょっと、冒険者ギルドでレイ教授に相談する事があるんだ。悪いけど、ひとりで魔法ギルドに行って、好きな第2位階魔法を憶えてくれよな。金は渡したよな? 」


イルミダは、ぶんぶんとうなづく。


そうして、バンドーは冒険者ギルドの建物内に消えていった。

ひとりになったイルミダはきびすを返す。冒険者ギルドの真正面に位置する魔法ギルドに向かおうとしたのだが、違和感を感じて立ち止まった。


(あれは・・、フィーネ殿ではないか? )


後ろ姿ではあるが、フィーネを特徴付ける銀髪と小柄で華奢な背中。薄ピンクのレースが肩に付いたワンピース。


イルミダが小首を傾げた、その時。フィーネらしき後ろ姿の上半身が不意に揺らめくと中空に吸い込まれるように消えた。


(えっ?! )


気が付けば、吸い込まれるように中空に消えたフィーネの後を追うように、イルミダはその場所にしゃがみ込んでいる。


不意の事ではあるが、サムニウム族は元からお山に住まう者。狩りは生まれながらにお手の物であり、消えた獲物を追いかけるのには不自由しない程度のスキルは持ち合わせている。


(・・・・ない? )


痕跡がないのだ。自分は確かにフィーネの後ろ姿を見たはず。けれど、彼女が確かにいた痕跡が感じられない。匂いさえ。


(・・・・私は幻影を見たのか? )


一瞬、探知範囲内に別の存在を認める。だが、イルミダはそれを周知のものと感じ、あえて無視する。


(・・・・わずらわしい・・。だが仕方がないか。)


その程度の感覚である。それよりも何よりも、それ以外。見かけたはずのフィーネは最初からいなかったかのように、存在が感知できない。


(・・・・気のせいなのか? ほんとに?  )


中空に消えたその先、空を眺めてみたものの、それ以上の知覚は得られなかった。是非もない。


(是非もないが、・・我が主に知らせねば。)


様々な可能性を頭にめぐらせながら、イルミダは踵を返すと魔法ギルド内の建物に消えた。










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