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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第五章 妖しい瞳に ご注意
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もやもや靄(もや)

短いです。ちょっと残業で時間が厳しいんだよ。年の瀬ですから。

深夜、バンドーは叩き起こされた。


家に戻り、自分の部屋で眠っていた時の事である。


「あれ? バンドーさんはここにいますよ? 」


カスミと、アメリアさんだった。


「何だ、お前ら? 夜這いか? 」


嘘です、冗談です。カスミのジト目をかわし、バンドーは咳払いしつつアメリアさんに確認する。


「冗談抜きで何だよ? 俺はずっとここにいたぜ? 」


「そのようだな、ちょっと来てほしい。」


背中をかきながら、バンドーが連れられた先はフィーネの部屋の扉の前だった。


声が聞こえる。


「だ、駄目です、バンドーさん?! あああっ?! 」


何だこりゃ? 


「先程から姫の悶え声がするのだが、いささか踏み込みかねてな。見損なったぞ、バンドー! 幼き姫をかどわかすなど! 」


「いやだから、俺はここにいるだろ? 」


「確かに、どうやらそのようだな。しかし、これは・・。」


こいつは一体、何を言ってるんだ?


気持ちよく眠っていたところを踏み込まれて、いささかバンドーの機嫌は悪い。アメリアさんとカスミが躊躇ためらう中、バンドーは扉に手をかける。


「何だ? 開いてるじゃねーか。フィーネ? 入るぞー? 」


部屋に入り、真っ先に目に付いたのが開け放たれた窓だった。ちなみにフィーネの部屋は2階の一番奥にあたる。そして、肝心のフィーネが眠っているはずのベッドに目をやると、フィーネの姿が見えない。


(何だ、こりゃ? )


いや、見えないのではなく、何やら黒いもやのようなものがベッドの上に覆いかぶさっていた。

わずかにフィーネの目元だけが黒い靄からのぞき、額に薄っすらとかいた汗が見て取れる。閉じられた目元を歪ませ、嫌々という風に首を振る。


黒い靄は、不規則に形を変えながら、フィーネの身体の上で蠢き続けていた。


「てめぇ、何してやがる!! 破邪! 圧殺! 」


魔力的なものを感じたバンドーは、次の瞬間には身体中に気を込め、一足飛びで破邪の掌底を黒い靄目がけて撃ち込む。


ベッドの上に揺蕩たゆとうていた黒いもやが、やや身じろぎした。躊躇することなく、撃ち込んだ破邪の掌底から『魔力分解』を発動させる。


「消えやがれ!! 」


黒いもやは細かい稲光を発するかのように明滅すると、やがて縮小して消え去った。


(・・・こいつ以前、似たようなのを見た・・・か? )


一瞬、バンドーは何かを思い出しかけたが、ベッドの上の銀髪の少女が咳き込むと同時に彼は声を発していた。


「フィーネ? 」


フィーネが荒い息を吐きながら横になっている。顔は紅潮し、額には汗。だが意識は無いようだ。


「おい、フィーネ? 」


バンドーは片手をフィーネの背中に、もう一方の手をフィーネの頬に当てて揺さぶった。


「大丈夫か? 何があった? 」


フィーネは薄目を開けてバンドーに手を伸ばそうとするが、やがてぐったりとしてしまう。


「おい? 気を失ったか? 」


「バンドー、後は私がみよう。」


ふと横を見ると、カスミが開け放たれた窓を閉め、鍵をかけている。アメリアさんが詠唱し、フィーネに純血エルフ固有回復魔法の『ホーリーライト』をかける。


「どうなってやがる? 」


バンドーは静かにフィーネの身体をベッドに置いた。アメリアさんがフィーネの顔を覗き込み、額に手を当てて体調を確認する。


フィーネの息は、まだ荒い。


「ふむ、これは見る限り、魔力枯渇の症状に近いな。」


「はあ? 」


改めて、バンドーもフィーネの様子をみる。言われてみれば、そうかもしれない。


「という事はだ、さっきの変なもやはフィーネの魔力を吸ってたのか? 」


「だろうな。うかつだった、よもや姫の部屋に魔物のたぐいの侵入を許すとは。隣りの部屋にいながら、面目ない。」


魔力を吸収する魔物は確かにいる。サキュバスやインキュバスも、そのたぐいだ。イルミタニアには他に、ヴァンパイア系の亜種も、それに当たる。だが、さっきのあの黒いもやが、そうかと言われれば判断に困る。


「カスミー、今夜はユメはいるのか? 」


「今夜は、盗賊ギルドの方に泊まるとかで、いませんね。」


だろうな。ユメがいたら、魔物の侵入に気付いたかもしれないと、ふと思う。思いながら、バンドーはアメリアさんの方を見た。


「明るくなったら、いろいろできる事はあると思うんだ。魔石を使って結界を張る方法もあるし、レイ教授に相談してみるのもいいだろう。とにかく、今夜は迷宮キャンプのつもりでローテ組まねえか? 」


「ふむ、いいだろう。取りあえず、私はこの部屋で起きている。編成はどうする? 」


「イルミダが心配だ。とにかく、連れてくる。カスミは、ここにいろよ? 」


バンドーは、そう言い放つとイルミダの部屋に様子を見に行く。幸いなことに、彼女は自分の部屋で何事も無く眠っていた。

イルミダが被っている毛布を引きはがし無理矢理起こす。


「うひゃ?! バンドー様? わ、わたくしに何用でしょうか? 」


「おう、敵襲だ。行くぞ?! 」


「ええ?! 」



結局、フィーネの眠る部屋にありあわせの毛布や綿布を持ち込むと、3交代でキャンプを張る事にする。ようは旅の途中の要領だ。


「まあ、今夜だけだからがまんしろよな? カスミ、寝てろ。」


まだよく判っていないカスミとイルミダを寝かしつけると、アメリアさんとバンドーは明日に行うべき事を相談するのであった。



































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