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君はあるがままに なるように  作者: 風神RED
第四章 ティアとバンドーの出会い
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カザフィという男

すまねぇ、もしも待ってくれてる人がいたらごめん。仕事やら何やら忙しくて、これくらいしか書けないんだ。


トレイシーさんは家を出た時と服装がやや変わっている。騎士の剣とハーフプレートを着込んでいるのは変わらないが、緑色のフードを頭から深々とかぶっていた。


「召喚者狩りを予想していたというのに、遅れてすまなかった・・。」


「そんな・・トレイシー様、私はいつもあなたに助けられてばかり・・。」


マユミが、ようやく言葉を絞り出す。先程まで、不意の襲撃に言葉も出なかったのだ。


「ケイン君、よく頑張ったね。」


色々と聞きたい事はあるが、まずは彼女の話を待つ。


「ここ、ジューダスには至近に冒険者ギルドがない。ならばと思って、国境を越えてレミオール公国側の冒険者ギルドに助力をお願いしたんだ。」


召喚者の獲得は冒険者ギルドが優先されるからね、と付け加えながら、先程カザフィと名乗った冒険者を振り返る。


「とは言いつつも、まさかカザフィ様がジューダスまで来てくれるとは、思ってもいなかったんだけどね。彼はね・・、」


「トレイシーちゃん、」


流し目で沈黙を要求され、トレイシーは途中で言葉を切った。


「冒険者稼業も後二日ほどで終わりなんだわ俺。最後にどかーんとあってもいいべ? なっ?! 」


素晴らしい笑顔を見せられ、トレイシーはもう何も言えない。


「まあ、とにかく王国の内政派がさらった女の子を取り戻す事、だろっ? 」


軽いノリの割りに、カザフィの目は笑ってない。間違いなく、この男は争いを欲するタイプだ。


「とにかくさ、抑えた奴から聞いたところ、森の広場に王国の治安兵は集結してる。そこに正面から殴り込みをかければいいんだよ。」


さらっと恐ろしい事を言う。


「俺も手伝うよ! 」


バンドーの言葉にニカっと笑い、カザフィは乱暴にバンドーの頭をなでる。


「おうよ、来い来い少年! 」


いくつかの話し合いの末、意識を失っている神殿守護のゼフィリヌスは、街道に放置する事になった。


「賢明な処置です、カザフィ様。さすがにジューダス神殿守護を殺す訳にもいきませんしね。いずれ誰かが見つけて解放しますよ。」


先程まで、玄関前を警戒していた若い男が部屋に入ってきて、そう意見を述べる。


「こいつはよ、若く見えるけど俺より10も年上なんだぜ? 」


「ああ、カザフィ様! 余計な事を! 」


カザフィに、そう言われた男はどう見ても10代前半くらいにしか見えない。ちょっと見た感じでは女の子と見まがうほどの可愛らしさなのだが、


「まっ、ハーフリングってのは若く見えるってこった。」


さらっとカザフィに言われて、男は自己紹介する。


「カトルと言います。皆さまよろしくお願いしますね?」


聞けば所属は王国のデスパレス冒険者ギルドで、たまたま公国のギルドに任務で遠征に出ていたらしい。


「トレイシーさんから、召喚者狩りの話を聞いて協力する事にしたんです! 僕はそう言うの、許せませんから! 」


可愛らしい頬を真っ赤にしながら怒っている。


「カザフィさんって、いくつ何ですか? 」


バンドーに聞かれ、カザフィは答えた。


「俺か?俺は当年22歳だぜぇ? ちなみにカトルはこれで、30過ぎのおっさん~」


「ああ、また! 」


カトルがカザフィをぽかぽか叩いている。


「まあ、とにかくだ。捕えた兵士が言うにゃ、ゼフィリヌスは明日の朝までここにいるつもりだったらしい。朝までゆっくりしてても問題ないだろうぜ? 」


異端者紋と異端者認定の取り消しは神官にしかできない。それを餌に、ゼフィリヌスはマユミを朝まで楽しむつもりだったらしい。後は捕虜になった兵士にも命の保証を与え、森の広場に駐屯している王国内務省の治安部隊の配置について、いくつか情報を引き出す。捕らわれている召喚者は20名弱程いるらしい。


「まだはっきりと、召喚者を奴隷に落とすと決まった訳ではない。恐らく内務省の既成事実つくりだろう。」


「この際だ、全員、公国冒険者ギルドにいただくぜ? いいのか、トレイシーちゃんよ? 」


「ちゃんは止めてくれ。私はこれでも、エルフとして300歳は年を経ている。さすがに恥ずかしい。」


カザフィは高笑いしている。


「気にすんな。俺はエルフが大好きなんだ。お前が、エルフの証を捨ててまで願った気持ちを絶対に無駄にはしねえ。」


ストレート過ぎる表現で言葉にしながら、カザフィはトレイシーの背を軽く叩くと、言葉を続けた。


「俺がギタギタにしてやるよ。まあ、終わったら王都に案内してくれよな? 」


________________________________________________


朝が来た。にもかかわらず、ゼフィリヌス様は戻って来ない。ティアはもう限界だった。


「・・もう、これ以上は。」


ティアは顔を真っ赤にしている。そう、いろいろ限界なのだ。主に下腹部が破裂しそうなくらいに。

ティアは腰を落として低く構えると、気の力を全身に巡らせ、さらに右手の平に魔力を乗せて全力でゼノ式『破邪の掌底』を撃ち出す。


『マジックロック』を掛けられ、閉じられていた扉が無残に吹き飛んだ。


(ごめんなさい! )


所用を済ませ、手早く神殿を出ると、ちょうど神殿に入ろうとしていた若い兵士から丁重に声を掛けられた。


「修道女様、ゼフィリヌス様はお戻りではありませんか? 」


「まだ戻っておられませんよ? 」


ティアは正直に答える。


「そう・・ですか。」


男はくるりと踵を返し、何処かに行こうとするようだ。


(そうだ、この男の後をつければ何か判るかもしれない! )


神の導きと思える。ティアは気付かれないように、男の後をつけるのだった。




































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